筆者お勧めの本①‐「人とミルクの1万年」‐

ひつじちゃん レビュー

筆者は非常にミルクが好きです。
前にも熱くなり過ぎた記事があります。よろしければこちらをどうぞ。

紅茶とミルクが切り離せないものであるということもありますが、ただ単純に昔から好きだったという理由です。
コーンフレークにもドバドバかけます。(ミルクボーイ、M1優勝おめでとう!2019)

そんなミルク好きな皆様に筆者お勧めの本をご紹介したいと思います。
紅茶好きな方にはきっと役に立つ本だと思います。

人とミルクの1万年

20代後半を青年海外協力隊としてシリアで過ごした著者は、牧畜で生計を立てているアラブ系牧畜民のベドウィンに出会います。

夏には50度以上にもなるシリア砂漠で牧畜をしながら暮らしている彼らから乳の活用方法を学び、興味を持ち、世界中の乳文化についてフィールドワークしたものをまとめた本です。

タイトルの「人とミルクの1万年」は、現在(こちらの本が発行された時点)、人間が牧畜を始め、乳製品の加工をしていることが確認されているのは紀元前7000年前くらいまでだそうです。

科学的に明らかにされている人類の乳製品の利用は8000~9000年前まで遡ることが出来ています。

しかし、今後新たな土器や古代の彫刻等が出てきて、事実が明らかになっていくとに希望を抱いて、【1万年】としているとのこと。

西アジアで発生したと考えられている乳文化が世界に広がり、どのような変化を遂げていったのか…。

筆者おススメポイント

モンゴル草原
cheetahさんによる写真ACからの写真

筆者はこの著書を何度読んでも感動するポイントがいくつもあります。

①家畜利用を始めた人間の知恵

②家畜たちの生命の神秘

②母乳の活用の仕方

などなど。
もうそこかしこに面白さが隠れているのですが、そこは是非読んでいただきたいので、少ないポイントに絞ってご紹介したいと思います。

家畜利用を始めた人間の知恵

紀元前8700年~8500年ほど、狩猟をして野生動物を捕らえることから家畜を飼って肉を得るという生活に変化します。

4000種以上いる野生の哺乳動物の内、家畜化された動物は20種類ほどですが、
①群れを成す
②気性が(割と)大人しい、家畜化すると大人しくなる
という特徴があります。
羊とかヤギとか、牛とか…。

家畜を飼ってその肉を食べるということは、年間通して飼料が必要となりますので、それならば野生動物を狩る方が楽であったはずです。

それなのに、なぜ家畜を飼うのか。

その理由は本文から引用します。

「それでもなぜ、人は効率的ではない反芻動物を飼おうとしたのでしょうか。
ここで、ミルクの登場です。
ミルクを利用するという生業は家畜を殺さず、生かしたまま食料を利用するという活動、つまり、家畜という元本を残しておき、ミルクという利子によって生き抜いていくという生存戦略です。

筆者はこの一文を読んで震えました。

酪農や牧畜というものがあることは当然知っていましたが、人がより良く、効率的に生きていくための進化によって生まれたのだということを知り、感動を覚えました。

日本のほとんどは農耕民族ですし、温暖な気候の上、海にも囲まれているため食料に困ることはなかったのではないかと思います。
(貧富の差などは別として)

しかし、乾燥地帯、砂漠地帯に住む人たちにとって、反芻動物(牛や羊のように4つの胃を持ち、栄養価の少ない草を反芻しながら生きていく動物)の乳を利子として活用することは本当に理にかなっています。

人間の知恵って本当に素晴らしい…!

家畜たちの生命の神秘

家畜たちは家畜であるが故に、人に管理されて繁殖等を行っていきます。

本の中で紹介されているシリアでは、羊やヤギが主で家畜として飼われています。
そしてベドウィンたちは生活の多くをそのミルクに依存しています。

しかしながら、母乳というのは当然子供が生まれたら出るようになるもので、子供を守るために母親が血液から作り出すものです。

母親は8月以降の少し日照時間が短くなる頃から発情し、交尾、妊娠。
およそ5か月、子畜をおなかに宿して、1月2月の一番寒い時期に出産します。

シリアは地中海性気候のため、雨季と乾季があり真夏はかなりの高温で、植物も枯れ果ててしまいます。

一番寒い冬に出産し、しばらくの間母畜は子畜に乳を与えます。
3か月ほどして哺乳時期が終わると、気温も上がり草木が茂っています。

この頃には子畜たちは体も大きくなり、乳から草木を食べるようになるのです。

その土地の気候に合わせて、発情、出産を行う動物たちにも感動です。
牛乳は常にスーパーにあるものだから、そういう自然の摂理を忘れてしまうのでしょうね…。

③母乳の活用の仕方

母畜がまさに命を張って子畜を守るために出す母乳を、人間は横取りするのです。(こう書くと酷い…ってなる)

その横取り方法がなんとも興味深いのです。

まず、子畜に哺乳させます。
その後、子畜を引き離し、母畜に顔が見えるように繋ぎ、人間がこっそり母乳を搾取。
やっぱり、酷い…。

そして、搾乳した乳を人間は様々な方法で加工をし、食料不足や冬に備えて備蓄するのです。

シリアでは、母乳からまずヨーグルトを作り、ヨーグルトからバターを。
バターからバターオイルを作り、バターを作った際に残ったバターミルクからチーズを作ります。

温暖差があるシリアとは違って、年間暑く家畜がいつでも発情するインドでは、生乳でチャイを作ります。

ヨーグルトからバターを作ったりもしますが、チーズは作りません。
年中ミルクが採れるからです。(保存の必要がない)

そして、インドは乳菓子も作ります。

シリアなどの西アジアで発生したと考えられている乳文化が広がり、各地で乳製品の加工が行われるようになり、それぞれの国で様々な加工方法が発達します。

野生動物を家畜化し、その生存サイクルに合わせて人間が工夫をして利子(母乳)を利用する様が圧巻です。

他にもポイントはいっぱいあるのですが、とにかく読んでみてください…!!!読んだらわかる面白さ!!!

結び

少し前にクロテッドクリームを作った記事を書きました。
クロテッドクリームはヨーロッパ(イギリス)で発達した乳文化です。

そしてイギリスは酪農が盛んで、昔から紅茶にもミルクを入れる文化があります。

また、ヨーロッパの一部で作られているチーズは西アジア等で生まれたチーズとはまた別のものだそうで、こちらも興味深いです。
チーズも大好物…!

茶に興味を持つと、茶にまつわるものにも興味を持つようになり、永遠に勉強だなぁと日々思います。
そしてそれが非常に楽しいのです。

雑多なブログになりつつありますが、ご興味持っていただければ非常に光栄です。
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