【世界の茶事情】紅茶大産地ケニアの茶価格は下落、一方小さな茶園は増加の兆し


大寒となり、まだまだ寒い日は続きますね。

そろそろ寒茶を作りに行こうかなと考えているところです。

さて、タイトルの件ですが先日対局にあると感じられる記事が二つありました。

一つは紅茶の大産地であるケニアでは3年連続紅茶の価格が下がっているというもの。
もう一つはイギリスで小さな茶園を作っていることについて。

最近日本でも見かける気がしているこれらの内容について考察してみたいと思います。



ケニアの紅茶の価格が3年続けて下落

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【記事概要】
Kenya Tea Development Agency (KTDA)は2021年1月18日、3年連続でケニアの紅茶価格が下落していることを明らかにした。

2019年と2020年の同時期を比較して、小規模茶生産者の収穫した生葉は0.7%少なくなっている。
また、モンバサティーオークションの同時期の2019年と2020年を比較すると価格は14%減少とのこと。

ケニアでは長年茶の作付面積を急速に増やしていたため、生産過剰になっていることと世界的な茶の供給過剰が重なったのではないかと見られている。

新法によって価格が安定することが望まれている。
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こちらは先日も記事にしましたが、新しい茶法が制定されてケニア茶の価格や小規模茶農家の待遇が改善していくのではないかというニュースと関連があるようです。
▼参照記事:【続】ケニアの茶産業について‐茶法改定とTea Board of Kenya (TBK)とTea Research Foundation (TRF)の再設立‐

細かいところは筆者もまだまだ勉強不足で理解しきれていないものの、Kenya Tea Development Agency (KTDA)の従来体制に恐らく問題があり、ケニア茶が低迷しているところを改革していく途中であるのだろうと考えています。

新法はケニア政府に承認されており、今年の生産から適用になるものと思います。

今年からのケニア茶全体がどうなっていくのかを今後も追っていきます。
▼参考記事:Kenya’s tea prices fall for 3 consecutive years amid global glut

イギリス ジャージー島での茶生産

イギリスのジャージー島で茶を栽培している方の記事を見ました。

ジャージー島って…?
となったので調べてみるとこちら↓

イギリス本土よりは下の方ですが、緯度およそ50度。
これを日本に当てはめてみると…。
あてはまりませんでした。(-_-;)

ほぼ同緯度だと樺太の真ん中より下くらいです。

日本の場合は北海道でも一部茶を育てているところがありますが、経済的北限としては従来と変わらず新潟茨城を繋ぐ線上あたりであろうかと思います。
▼参照記事:日本最北の茶木は北海道にあった。ー北海道古平市へー

ジャージー島はイギリス王室の属領であるそうです。
また、有名なジャージー牛はここで生まれているとか。
ジャージー牛のミルクや乳製品(クロテッドクリームなど)は乳脂肪が多く、とてもおいしいです!!

イギリス本土で茶を育てていると言えば、お茶好きな方は皆さんご存じかと思いますが「Tregothnan Estate(トレゴスナンエステート)」。

2005年に初のイギリス国産紅茶を販売して話題になりました。
※このあたりはまたまとめてみたいと思います。

今回の記事のJersey Fine Teaは2017年から栽培をスタートし、昨年からようやく茶を生産したとのことです。

現在は6エーカー(およそ2.4ha)をすべて種子から栽培し、これからまだ増やす予定。
現在白茶、緑茶、紅茶を販売中。

2018年の植え付け直後に冬の寒さで苗がずいぶんやられてしまったようですが、今シーズンは製茶機械も届きいよいよ本格始動とのこと。
■詳細はこちら→JerseyFineTea.com.



ケニアとイギリスの茶生産から見えること

紅茶の大産地として突き進んできたインド、スリランカ、ケニアが少しずつ茶生産者が離れて行っているという話を時折耳にします。

現在は世界的にみると茶生産が以下のようになっているのではないかと感じます。

1,1800年代から始まった「ティーエステート」型の大規模茶園経営の後退
2,資本のある小規模茶生産者の独立
3,今まで産地ではなかった場所での茶園増加
4,「安価で大量」から「高級(プレミアム)で少量」な茶の製造
5,茶種のバリエーションの増加

現在はインターネットで世界中の情報が手に入り、また世界中のレアなお茶も手に入るようになりました。
中国の山奥とかは無理そうですが…

翻って見ると、日本も戦後から少し前までは共同工場で大量に安価なお茶を作ってきていましたが、今は小ロットでプレミアムなお茶が求められている傾向にあるかと思います。

対して「安価で大量」な茶はペットボトル飲料の原料として使用されており、両翼を担っているようにも見えます。

世界的にみても「安価で大量」と「高級(プレミアム)で少量」に分かれていっているのではないかと。

今はクラウドファンディングで寄付を募ることができ、インターネットで世界中に販売することさえできます。

世界的に茶生産を眺めてみると茶の栽培や販売も知能戦になっているように見えるのは筆者だけでしょうか。

また、茶種も生産地に関わらず作られるようになっていることを痛感します。

インド=紅茶だけではなく、緑茶や烏龍茶も作っているところがあります。
世界的に様々な茶種を試行錯誤している状況です。

今後緑茶や烏龍茶、紅茶という枠を超え、その土地に合った新しい茶種も生まれていくのかもしれません。

短い目で見ると、日本も含めて茶業は頭打ちだと言われますが若い芽はぐんぐんと力をつけて伸びて行っています。

今後も長い目でみていきたいと思います。

結び


個人的にはJersey Fine Teaに興味津々です。

6エーカーを種から全部育てていると考えるだけでものすごい熱意だと思います。

種がどこから来た品種なのかも非常に気になっております…。

また、一年目の冬に幼苗がやられてしまったというところは胸が痛いです…。

筆者たちも今年苗の植え付けなので、あの大切な子供たちが今年の冬に枯れてしまうと思うだけで涙が出るほど…。(´;ω;`)

ジャージー島の平均気温を調べたところ、年間平均11.8℃だそうです。
日本の茶栽培に適した気温より若干低いですが頑張ってほしいと願います。
そしてお友達になりたい。。

茶を育てるのは本当に大変です。
茶農家は本当にすごいんです。

作られたお茶も購入してみたい気持ちでいっぱいです。
どなたかシェアしませんか?!←本気

筆者も3月くらいからは本気出して畑仕事をしていくことになります。

まずは美味しい茶を作るところからですが、将来的にどうしたいのか、どうなりたいのか、何をしたいのか模索中でもあります。

目の前のことを着実に行っていけばきっと明るい未来があると信じて頑張ります。

どうぞ長い目で応援していただければ幸いです。



【続】ケニアの茶産業について‐茶法改定とTea Board of Kenya (TBK)とTea Research Foundation (TRF)の再設立‐







(アイキャッチ画像はスリランカの茶畑です。ご了承ください。)

いつものごとくお茶のニュースを見ていたところ、ケニアの茶の記事がありました。

以前ケニアの茶産業についてちらりと書いた記事があるのですが随分と情勢が変わっていたようで、改めて筆者自身の備忘録を兼ねて調べてみたことをまとめたいと思います。
▼参照記事:ケニアの茶産業

ケニアという産地については上記の記事に簡単にまとめてありますのでご覧ください。

記事の概要

先日みつけた記事を読んでいると「ティーボード再設立」とありまして、「再設立???」となりました。
▼元記事:Kenya Reestablishes Tea Board

以前ケニア茶の生産などについて記事を書こうと調べていた時にティーボードのHPを見ており、ティーボードが無くなっているということに気づいていなかったのです。。
▼参照記事:ケニアの茶産業について

ティーボードの再設立に関して、記事は以下のように書いています。

■ケニア政府は茶業の抜本的な改革を目指して茶法(珈琲法も)を12/1に承認

■合わせてTea Board of Kenya (TBK)とTea Research Foundation (TRF)が再設立される

■茶法(珈琲法も)は茶を販売した直後に農家に支払いをしなければならないという法律(DSS)

■茶のブローカー、バイヤー、モンバサのオークションは購入後14日以内に売上の送金をしなければならず、茶工場は売上の50%を茶農家に支払うというもの

おまけにTea Board of Kenya (TBK)とTea Research Foundation (TRF)は2014年に解散になっているという…。
勉強不足でした…。

現在、Tea Development Agency (KTDA)は民間でありながら大きな力を持っており、それに対抗する措置としてEast African Tea Trade Association(EATTA)の協力なバックアップで茶法を改定したように記事からは読み取れます。

Tea Development Agency (KTDA)は小規模茶農家が所有する民間持ち株会社で、およそ70万人の小規模茶農家と70ほどの製茶工場を経営しておりケニア茶の60%を担っています。

East African Tea Trade Association(EATTA)は茶の生産者、仲買人、バイヤー、梱包業者を結集する団体で、「モンバサオークション」はこの協会の後援で開催されます。

国内で生産を担う団体vs茶商というような構図でしょうか…。

茶法改定、Tea Board of Kenya (TBK)とTea Research Foundation (TRF)の再設立から何が見える?





記事の中には、「The nation’s 700,000 tea farmers generally support reforms to right perceived wrongs they say are perpetuated by KTDA.」とあり、Tea Development Agency (KTDA)に対する不信感が茶法改定を生み出したように書かれています。

Tea Development Agency (KTDA)がどういったことを行っているのか調べてみると、こういった資料がありました。

特に紅茶では、ケニア茶開発機関(Kenya TeaDevelopment Authority – KTDA)が直接 NPK 肥料を安く輸入し、農家に提供、代金を収穫後の生産物から回収するシステムがあり、肥料の使用量が多くなっている(例えば 2014/2015 年は KTDA が 7 万トンをロシア等から直輸入)。
コーヒーや園芸作物では、農家が自由に販売先を選択することから、そういったシステムはないが、換金作物であるため、肥料使用のインセンティブがある。
しかし小規模に穀物栽培を行う農家の場合は、作付け時期に手元資金が不足し、肥料使用を削減し、結果として収穫が減少するという悪循環がしばしばみられる。

アフリカにおける二国間事業展開支援事業-ケニア-

Tea Development Agency (KTDA)は安い肥料を輸入し、それを農家に提供、代金は生産物を収穫後に回収しているとあります。

KTDAは民間企業ですから価格の安い肥料を小規模茶農家にたくさん渡し、肥料代と称して収穫した茶を搾取してしまうという構図は安易に想像できます。
もしかして肥料過多になる可能性もあるのでは…?

小規模茶農家としては権力のある企業に逆らって茶が売れなくなるのは非常に困る訳ですから、従わざるを得ません。
(これらはあくまであり得る、という話でありもう少し調べる必要がありますが…)

また、最初の記事の中では茶農家が消費者に対して直接販売することが許されないとあります。

このままの状態を続けてしまえば、小規模茶農家は資金繰りができずに苦しいばかりで暴動などが起こらないとも限りません。

そのため、茶法を改定し小規模茶農家にも見える販売ルートや生活の保障を確立していくためにTea Board of Kenya (TBK)とTea Research Foundation (TRF)の再設立が行われるものと考えられます。

結び


法の改定とTea Board of Kenya (TBK)とTea Research Foundation (TRF)の再設立によって何が起こるのか、というのは筆者にはまだわかりませんが、今後例えばスリランカやインドのティーボードで行っているような地理的表示保護制度を推進していったり、付加価値商品の開発が行われていったりするのではないかと思います。
▼参照記事:インド、アッサムティの地理的表示(GI)保護制度

肥料を安く購入し、農民にそれを売りつけ、代金と称して作物を奪い取る。

ということは世界各国どこでも行われているものだと悲しい気持ちになります。

もちろんそれは日本の茶業界でも。
筆者も耳にしたことのある話です。

しかしながら、茶業の難しさも同時に痛感します。

筆者自身が生葉を売りに行っている小規模茶農家な訳でして、茶価が下がれば売上も落ちます。
おまけに土地も借りています。
▼参照記事:兼業茶農家とは?実際兼業茶農家ってどういう感じで茶と関わっているの?

製茶工場に生葉を持っていくだけで、その後どうお茶が作られてどんな人が口にするのかもわからないのです。

市場に左右されず、最初から最後まで茶を作って販売したい!と思ったならば、小規模でも製茶工場を作らなければいけません。
それには当然多くの資金が伴います。

美味しい(目を引くような)お茶を作らなければ売れない。
顧客をつけるのに大変な苦労が必要。

小規模茶農家の悲哀はここにあります。

日本でも茶業の新規就農はいまだ非常に厳しい状況です。
⇒何代も続く茶農家だけが生き残る…。

では、どうしたらいいのでしょうか?

答えが分かれば、茶業がこんなにも衰退するはずはなかったでしょう。

世界中の茶産地で生産者が離れていっていると聞きます。
どこも抜本的な改革が必要なことは誰が見ても明らかです。

ケニアの話からずいぶんと離れてしまいましたが、筆者のような一個人に出来るのは「茶の素晴らしさ」を一人でも多くの人に伝え、茶を飲んで、知って、購入してもらうこと。

悲しいかな、それしか出来ません。

最初は安いものでも良いでしょう。
そこから、生産者の見えるような茶を購入してもらえるようになれば…と思います。

生産者の見える化には、こういったものが活用されるようになれば良いのでしょうね。
▼参照記事:茶の情報をネットで確認できる時代に?インド紅茶局のトレーサビリティ(茶情報追跡)に関する試み

今後もケニアの茶産業を追っていきたいと思います。



アメリカで茶を育てている?USLTGや各地の生産者たちの活動について






アメリカでの茶に関する気になる記事を見つけて色々と調べていました。

アメリカで茶が流行しているのはこのブログでも何度か紹介しています。
▼参照記事:Cuzen Matchaが大注目!自宅で手軽に抹茶が飲める時代到来!抹茶の革新
▼参照記事:簡単にお茶を飲めるグッズ②-【追記あり】Teplo “The Smart Bottle”と”IoT teapot teplo”-
▼参照記事:NYで大人気「Macha Bar」!缶商品「Hustle」はどんな味?

よく耳(目?)にするのは抹茶ですが、茶を育てているところもあると聞いたことがあるものの検索したことはほとんどありませんでした。

少し見ていきたいと思います。

【注】何度も書いていますが筆者は英語がからきしできませんので、間違いがありましたらどうぞご指摘ください。

USLTGとは?

アメリカにはUSLTGUS League of Tea Growers)米国茶生産者連盟という団体があります。

庭師の方、茶生産を行っている方、茶の研究者の方などが集まって様々な研究や茶の普及を行っています。

茶は植えてから育って生産できるまで非常に長い時間がかかります。

それを補うために、各地の生産者同士を繋げてより良い栽培のアイデアやアメリカに適した品種の創出、各地のテロワールを感じられる製茶について共有をしていくための組織だそうです。

HPには生産者が写真を持ち寄り、茶の栽培中に発生した虫害や病気について話合うイベントも設けられています。

この組織から関連して調べていくと実に多くの方がアメリカの茶産業に関わっているのだと気づかされます。

The Great Mississippi Tea Companyとは?

USLTGを調べていくとThe Great Mississippi Tea Companyにぶつかりました。

こちらのオーナーJason McDonaldは2015 Tea of​​ the United StatesAwardsで4つもの賞を取り、他にも様々なコンテストで受賞、茶の販売から茶畑のツアーなどを行っています。

1時間程度の入場と案内がセットになった10ドルのツアーから、2日間かけて製茶を行うプラチナツアーまでいくつかのツアーが紹介されていました。

プラチナツアーは295ドル…今の価格で約30500円。(2020/12/17付)
食事がついていて、摘採から乾燥まで行い、緑茶、紅茶、烏龍茶を製造するようです。
体力的になかなかハード…。でも参加してみたい…!!!

アメリカは以前から輸入に頼ってきていますのでこうして茶が育っているところを見て、生の茶葉と触れ合う機会というのは非常に貴重だと思われます。(一部生産を行っていたところもあるそうですが…)

The Great Mississippi Tea CompanyのFBを見ていると、台湾から種を輸入して、挿し木をしている様子なども出てきます。

オーナーのJason McDonaldはUSLTGの顧問?か何かをされているようで、オレゴン州での茶生産を促進するセミナーなども行っていたようです。(2020年1月)

オレゴン州では1988年から茶の生産を行っていたようで、ブルーベリーが有名なため同じ弱酸性土壌を好む茶もオレゴン州には適しているのではないかということでした。なるほど。



結び

USLTGから派生してアメリカ各地の生産者のブログやFBなどを見ていると筆者と同じようなことを書いていました。

「いつもは蒸し製の緑茶を作っているけど、今回は炒ってみた。
香り高く美味しいお茶が出来た。」

というような。

筆者は以前北国に暮らしており、雪深く茶が育たたない地でした。

そのため、茶生産地に足を運ぶだけでも感動の嵐でしたし、自分で苗を購入して室内で育てていた時も毎日観察しては楽しんでいました。

同じように今まで茶に触れあったことがなかったアメリカの方たちの喜びが手に取るように伝わってきます。
言語の壁を越えて友達になれそう…。

少し前にご紹介した「グッドバイ」という本でも描かれていますが、明治期にアメリカに輸出されていたのは緑茶です。
▼参照記事:筆者おススメの本⑤ーグッドバイー

空前の「茶ブーム」により、アメリカは母国であるイギリスから茶が原因で独立することになります。(ボストンティーパーティ事件より)

合理主義のアメリカですから、茶の生産にも革命を起こしてくれるかも知れません。

茶がアメリカで、そして世界中でブームになることを切に願います。



「お茶で新型コロナを無害化」研究報道に関するあれこれ






数日前、Twitterのタイムラインを席巻した「お茶で新型コロナを無害化」研究報道。

お茶に関わっている人たち、お茶好きな方々の反応自体は全体的に「ああ、またか」という感じでした。

反応も含めて、少し見ていきたいと思います。

以下の記事も参考ください。
▼参照記事:【新型コロナウイルス関連】進められている研究ー果たして「茶」は新型コロナウイルスに効果があるのかー
▼参照記事:「緑茶に含まれるカテキン類が新型コロナウイルスに効果的 」という文言はアウト!消費者庁の注意喚起。



研究の概要

奈良県立医科大学微生物感染症学講座の矢野寿一教授らによって11/27に明らかにした研究結果。

実験では試験管内に新型コロナウイルスと様々なお茶10種類(ペットボトルと茶葉から煮出した紅茶、奈良県産の大和茶(奈良県産の緑茶?)等)をそれぞれ混ぜて一定時間経過後にウイルスがどれだけ残るかを測定。最も効果が高かったのは茶葉から淹れた紅茶で、感染力のあるウイルスは1分間で100分の1、10分間で千分の1以下にまで減少したとのこと。

現在のところ商品名は企業の了解を得てないため明かしていないこと、またあくまでも試験管内での結果であることを強調しつつも、今後も研究を継続していくそうです。▼参照:奈良県立医大 お茶の成分でウイルス無害化を確認

 

世間の反応は?

様々な意見が飛び交う中でよく見かけたのは、

①あくまでも試験管内での話
②同様な効果を人体で行うには1分間お茶に浸かっていなくてはいけないのでは?
③なぜ感染力が弱まったのかのメカニズムが明らかにされていないこの段階で「茶がコロナに効果的」と謳うのは時期尚早
④商品が明らかになったらまた買い占め、転売ヤーの問題が起こるのでは?
⑤一日何杯も紅茶を飲むイギリス人に感染拡大が広がっているのだから説得力がない

というようなところでしょうか。

中には「毎日お茶飲んでてよかった」「お茶もっと飲もう」というような肯定的な意見も数多くありました。

商品名が明らかになるのはどうなの?


ペットボトルにせよ、紅茶葉にせよ、商品名(企業名)を出してしまった場合、様々なメリットデメリットがあるのではないかと思われます。

毎回「また?」とは思うものの、イソジンにせよ渋柿にせよ買い占めが起こっている状況ですので(渋柿は筆者はあまり見かけませんでしたが)買い占めが起こるほどには売れるのではないかと思います。

企業としては嬉しい悲鳴でしょう。

上述したように、買い占めとセットで転売ヤーも動き出すことでしょうからやはり「またか…」ということになりかねません。

そして、その商品を信じて飲み続けたのにも関わらず新型コロナウイルスに感染してしまった場合、逆恨みを受ける可能性も考えられます。

風評被害にも繋がりかねません。
長い目で見て現段階での商品名公表はデメリットにしかならないように思います。(目先の利益を求めるなら良いですが)

結び

筆者としては前回書いた記事と同様、効果があることを願うばかりです。
▼参照記事:【新型コロナウイルス関連】進められている研究ー果たして「茶」は新型コロナウイルスに効果があるのかー

ですが、今回の発表は正直完全に中途半端だったような気がします。

研究者の方たちのご苦労もありますし「新型コロナウイルスに茶が効果ある」と早く断言していただきたいのはやまやまですが、まだ試験管内の話と言う時点で時期尚早ですよね。。

紅茶のインフルエンザウイルス効果についても多くの研究結果は出ているものの未知の部分は多いままですから、薬ですらまだ世に出ていない新型コロナウイルスに対して効果があると謳ってしまうのは危険です。

お茶屋さん、茶業関係者の方でもご注意いただきたいと願うばかりです。
そして、マスコミの方たちが煽らないでほしいですね。

まぁ、そんなことは右から左へ聞き流しつつ、結局のところ今日も好きなお茶を飲むだけなのですが、筆者は。 ^^) _旦~~



茶の新品種が今後はスピーディに増えるかも?-静岡大がDNA情報から茶の新育種技術を開発ー






お茶好きな方でしたらあちこちでこのニュースを目にしたのではないかと思います。

そして、とても期待を持って読んだことと思います。
筆者も当然その一人。

本を読んだり、実際に育種を行っている農家や茶業研究所の話を聞いて育種がどれほどの時間と労力がかかるのかを認識しています。
▼参照記事:台茶24号誕生!台湾生まれ台湾育ちの新品種?!

新しい品種が生まれるまで20年~30年は普通にかかってしまうため、自身が生きている間にあといくつの品種と出会えるのだろう、と思ったことがあるくらいです。(笑)

それが今回の研究によってかなりスピーディに今後新品種に出会えるようになるのではないかと期待しています。

育種について

筆者も現在種から茶を育てています。
▼参照記事:茶を育てる‐種から育てる編-
▼参照記事:茶を育てるー種から育てる編②ー
▼参照記事:茶を育てるー種から育てる編③ー

以前の記事中にも流れは書いているのですが以下のような流れです。

①めしべに交配させたいおしべの花粉を受粉させる
②1年後に結実したらその種を植える
③芽が出てきたらそのまま5年ほど育てる←筆者はイマココ
④芽が摘めるようになったら、少量で緑茶、紅茶、烏龍茶等を作ってみる
⑤適性がありそうだと判断すれば、挿し木をして増やす
⑥苗を農家にも配って、活着具合や耐寒性等を判定する
⑦合格すると名前がつけられ、農林認定品種の登録がされる

※民間育種もあるので、これ通りではない場合もあります。
※あくまでもざっくりであることをお許しください。

①~②の間に1年。
②~④までで5,6年。
⑤で2,3年。
⑥~⑦で8~10年ほど。

この通りにざっくり、スムーズに進んだと考えたとしても15年程度はかかってしまうのではないでしょうか…。

まず①で受粉させても②で結実しないことも非常に多いそうです。

研究員の方たちが育種している間で見られる新品種は数種類ほどしかなく、運が悪ければ一つも見られない場合もあると聞いた時は衝撃でした。。

自分の子どもを産み育てるくらいの覚悟でやらないといけないものだと。

大変…。
その一言に尽きます。



今回開発された新育種技術とは?

今回の論文はこちらで見ることができます。
Genomic predictions and genome-wide association studies based on RAD-seq of quality-related metabolites for the genomics-assisted breeding of tea plants

【概要】

150品種の同時期に出た新芽の一芯三葉を摘み、1時間以内に-30℃で冷凍。

凍結乾燥後、粉末にしたもので実験。
※施肥は日本の緑茶用と同じもの

そこから遺伝子検査を行い、EC、ECG、EGCG、総合カテキン、カフェインの含有量を調査、解析。

発芽して新芽があればこの遺伝子情報を調べることが出来るため、交配して発芽した種の特色を迅速に見通せる。

※具体的な実験の様子などは筆者には分かりかねますのでご自身でお読みください。

これにより、「育種について」で記載した③~⑤くらいまでの時間をごっそり短縮できるようになるのではないか、と言われています。

また、広いほ場も必要がなくなるとのこと。(育てて製茶しなければいけなかったのでどうしても広いほ場が必要だったのです、従来は)

今後、遺伝子情報を蓄積していき、オーダーメードの品種等にも対応していく予定だそうです。

この短い情報だけでも、非常に今後の育種が期待できます。

筆者の気になっているところ

The 150 accessions comprised three subspecies: 83 Japanese var. sinensis, 38 exotic var. sinensis, and 29 Assam hybrids.

論文中にこのようにありましたので、29種類(アッサムハイブリッド)には紅茶や烏龍茶向きの品種も含まれていると考えられます。

日本の気候や土壌で、インドやスリランカのような紅茶を作れる品種が生まれたり、台湾や中国のように美味しい烏龍茶を作れる品種も出てくる可能性があると考えられます。

今現在進行形で茶を育てている人間からすれば、非常に楽しみです。

ただ、今回の研究ではEC、ECG、EGCG、総合カテキン、カフェインのみでしたので、香りや味についてはさらなる研究に期待するしかありません。

また、香りや味は製茶による複合的な産物の場合が多いのでその辺りはやはり農家が実際に作ってみてから判断できることなのかも知れません。

先ほどの研究がそのまますぐに適用され、今後有用な新品種をバンバン作るとすれば「花粉症に効果がある」とか「動脈硬化を防ぐ」というような「機能性成分高含有」品種がメインになるのでしょう。

いずれにせよ、非常に面白い研究ですので今後に期待していきたいと思っています。

結び

多くの人が茶に求めているもの、と考えるとやはり「飲むと痩せる」とか「花粉症状が改善した」というような薬効成分なのでしょうね。

筆者は「美味しいから茶を飲む」派ではありますが、人間の体への有用性があるものの方が進化していくのでしょうから致し方ありません。
▼参照記事:茶を飲むのは体に良いから?茶=薬?特定保健用食品?機能性表示食品?(追記あり)

ですが、そこからもっと美味しいお茶を作れる品種が生まれ、茶のバリエーションが広がるのは楽しいことです。

新型コロナウイルス関連で茶の価格が落ち、茶を栽培している世界中の産地が茶離れを起こしつつあります。

そのためには、不要なものをそぎ落とし、未来に向けた改革がより一層必要になってくることでしょう。

世界中の茶産地でも同様の研究が進んでいくことを切に願います。

品種については以下参照いただければ幸いです。
▼参照記事:日本の茶には様々な品種がある?品種について学びたい!
▼参照記事:世界お茶まつり2019!<セミナー編④>「茶の品種から考える<これまでとこれからの日本茶>」