先日、筆者が生葉を摘採して工場に持っていくという話を書きました。
▼参照記事:兼業茶農家とは?実際兼業茶農家ってどういう感じで茶と関わっているの?
兼業茶農家である筆者は一番茶を摘採し、工場に出荷。
残念ながら煎茶を作る、という作業はありませんがその後も茶畑の仕事は続きます。
あくまでも兼業茶農家としての畑仕事となりますが、茶畑で行う作業は様々ありますので、まずは更新について実際に行った作業をご紹介したいと思います。
更新とは?
「鋏摘みを繰り返すと、枝条が細くなり、新芽数は多いが百芽重が小さくなりすぎる。
そのようになった場合や樹高が高くなり過ぎて摘採作業が困難になったときに、枝条の若返りや樹高を下げるための操作が更新である。」
▼参照:<図解 茶生産の最新技術>より引用
要するに、新芽が伸びた部分(木の表面)だけを茶刈りしていくと、上の方の枝がどんどん細くなり、弱い芽ばかりが増えてしまいます。(芽数(がすう)が増えると言います)
そのため、芽の数は少なくなりますが、しっかりとした強い芽を出させるために細い枝を刈り落とします。(芽重(がじゅう)型の芽を作るため)
また、機械で刈るときに樹が高すぎると、刈り取るのが大変なため、刈りやすい高さに揃えるという作業でもあります。
一番茶が終わった後に刈るケース、二番茶の後に刈るケース、茶農家によっても、茶木の状況によっても様々です。
実際にはどういうことをするの?
筆者のところでは、可搬型機械で刈り落としを行いました。
とは言っても、摘採で使用した機械とは違う「浅番刈機(あさばんかりき)」を使用して葉の下にある枝を刈りました。
▼参照記事:日本のお茶刈り(摘採)について‐手摘み?ハサミ?機械?なんのこと?
▼参照:落合刃物工業株式会社HP
【更新前】
【更新後】
五分刈りだった頭を坊主にしてしまったような感じ?違う?
まだまだ伸びている新芽があるので、刈り取るのは心苦しいのですがこれをすることによりまた数年元気に良い芽を出してくれる(はず)です。
脇が汚いのは後日また別途刈り取ります。。
筆者の畑の茶木はもう経済年齢をとうに過ぎているのと、写真の畑の場合は紅茶、烏龍茶用のため肥料をやっていません。
そのため、更新をしたとしても芽が充実するかは正直不明です…。
【補足】芽数(がじゅう)型と芽数(がすう)型について
先ほど記載したように、多少新芽の力が弱いものの数で勝負の芽数型か、新芽自体のパワーは強いものの数は少ない芽重型か、という感じです。
どちらを選ぶのかは茶農家によって違いますし、作りたい茶によっても異なってくるかと思います。
言葉で書くと非常に飲み込みにくいのではないかと思いますので(筆者がそうでした…)漫画で描かれているサイトのリンクを貼っておきます。
非常に分かりやすいのでお勧めです。
筆者のところはかなり樹高が高くなったため一番茶終わってすぐに更新をしました。
二番茶も摘採する場合は二番茶後に更新を行う場合もありますし、浅く刈って(浅刈り)二番茶の成長を邪魔しないようにする場合もあります。
更新の頻度、時期、刈り取る深さ等は茶木の状況を見ながらの茶農家の判断に寄ります。
結び
茶畑の仕立て方についてはまだまだ勉強すべき点が多くあります。
筆者のところはほとんどが紅茶、烏龍茶用の畑のため煎茶の仕立て方と変えた方が良いのかも知れませんし、品種によっても対応方法は違うのだと思いますのでこれから試行錯誤です。
一つ一つの作業に意味があり、良い葉を育てるまでの工程は農家によって様々です。
茶農家の考え方を聞いてみるのは非常に勉強になるでしょう。
「なぜ、こういうお茶を作ろうと思ったのか」
「このお茶を作るためにどういった畑の管理をしているのか」
皆さん、それぞれに信念があり、考え方も異なります。
茶を売る側は特に農家の考えを正しくヒアリングして、顧客に伝えなければならないと思います。
それがなかなか難しいのですが…←経験者
他を批判するのではなく、他の考えを参考に、自分なりのやり方を確立していければと思っています。
苗や種が育つのはまだまだ先なので…。汗
▼参考文献:茶園管理12か月 生育の見方と作業のポイント 木村政美著(農文協)
▼参考文献:図解 茶生産の最新技術ー栽培編ー 社団法人静岡茶業会議所
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