2017年のストライキから1年。ダージリンは今…

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紅茶好きな方にとって、丁度昨年の今頃(2017年6月~9月)に起こったダージリンのストライキは記憶に新しいと思います。

ダージリンの中でも一番クオリティが高いと言われ、ファンの多い「セカンドフラッシュ(夏摘み)」の収穫前に勃発したその事件。

日本でも多くの紅茶好きな方たちやバイヤーが注目したニュースでした。

ストライキの概要

ダージリンはネパール、ブータン、バングラディッシュにはさまれた非常に小さな地域で、世界中の人に愛される紅茶の名産地です。

ストライキの発端は、ダージリン地方を含む「西ベンガル州」がベンガル語の教育義務化を決定したことに始まります。

ダージリンには隣接するネパール系の住民が多く、茶園労働者もネパール系の方が多数を占めています。

西ベンガル州の公用語はベンガル語ではありますが、ダージリンに住むネパール系の方たちはネパール語や英語を学校で教えていました。

実は数十年前から、ダージリン地方に住むネパール系住民の多くが西ベンガル州からの独立を望んでおり、言語の強制という屈辱に怒りをあらわにした方たちが暴動を起こしました。

西ベンガル州から独立し、ゴルカランドという別の州を作ろうと立ち上がり、抗議デモの参加者側に死者が出るという状況まで陥りました。

ネパール系の茶園労働者の多くは抗議に参加し、ダージリンの茶園(87茶園)はすべて閉鎖となります。
残念ながらこの時紅茶の生産はほぼすべてストップ。

事態を重く見たインド中央政府が介入し、9月には収束したものの、数か月放棄された紅茶作りの再開には時間がかかり、2017年中の回復は難しいと噂されていました。

今ダージリンは?

ダージリンの茶畑
※写真はイメージです。

結局、2017年のセカンドフラッシュは9割ほど出荷量が落ちたそうですが、オータムナル(秋摘み)になる頃には再開する茶園も増えていました。

2018年のファーストフラッシュ(春摘み)からは生産量はまだ少ないものの、日本では割りと出回っているように思います。

ダージリンは世界中の方たちが愛してやまない産地です。

どれほど愛されているかと言えば、ダージリンの茶園で作られている量より、市場に流通している量の方が圧倒的に多いことからもわかります。
▼参照記事:インド、アッサムティの地理的表示(GI)保護制度

日本人にはわかりづらい人種問題で、今後も問題はあるのだろうと思いますが、いつまでも美味しい紅茶を生産していただけるよう、少しでも購入を続けていきたいものですね。

ダージリンは世界中の方に幸せを届けているのですから。

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