紅茶の選び方②~シングルオリジン?orブレンド?~

紅茶の選び方①を書いてからずいぶん経っていることにはっと気づいて、②を書くことにしました。
記事を書いていて以前の記事にリンクを貼り付ける時に「今度書きます」のコメント多すぎて驚愕しております。。

紅茶の選び方①でご紹介したのはアールグレイなどに代表される<フレーバードティ>でした。
▼参照記事:紅茶の選び方①-アールグレイなどのフレーバードティについて-

今回は香り付けされていない紅茶の選び方をご紹介したいと思います。



そもそも「紅茶」って?

製法やら細かいことは今後書いていきたいと思っていますが、ISO(国際標準化機構)による紅茶の定義の冒頭は、

「3   Terms and definitions
For the purposes of this document, the following terms and definitions apply.
3.1
black tea
tea derived solely and exclusively, and produced by acceptable processes, notably withering, leaf maceration, aeration and drying, from the tender shoots of varieties of the species Camellia sinensis (L.) O. Kuntze, known to be suitable for making tea for consumption as a beverage」

となっています。
▼参照記事:南九州市知覧の茶商が初めてのFSSC22000取得。日本茶はますます海外へ。

ISOで定めた紅茶の定義が世界の標準となります。
このISOに基づいた中国国内の茶の定義については合同会社ティーメディアコーポレーションがセミナー等を行っており、非常に明確です。
日本での紅茶の定義について調べたのですが、JASでもヒットせず、日本紅茶協会でもヒットせず、筆者には分かりかねます…。誰か教えてください…。

筆者が認識している限り、紅茶は[萎凋⇒揉捻⇒(酸化)発酵⇒乾燥]という工程で作られたものが「紅茶」とされていますが、その「紅茶」の中でも様々な種類があります。

そのため、「好きな紅茶はなんですか?」と聞かれたときに非常に様々な回答が返ってきますし、ペットボトルの紅茶飲料も含めてしまうと非常に種類が多く複雑です。

そこで香りで認識しやすいフレーバードティの「アールグレイ」が「好きな紅茶はなんですか?」の回答の一番に挙げられるのだろうと思います。
おおよそ次は「ダージリン」「アッサム」と続き、他には「○○メーカーの<△△>」という回答が多いです。



まずは「紅茶」について整理する


筆者が紅茶のセミナーや教室でまずお伝えすることがあります。

①紅茶は農作物のため、全く同じ(ロットの)紅茶はない

②味を一定に保つためにブレンドを行う
③紅茶に香り付け(着香)をしているのがフレーバードティだ

①紅茶は農作物であるということを念頭に置きましょう

紅茶、中国茶台湾茶、緑茶がすべてチャノキ(学名:カメリアシネンシス)というツバキ科の常緑樹から作られているということはご存知の方が多いと思います。

例えばトマトを買った場合のことを考えてみてください。

「今年のトマトは甘いね」
「去年は価格がすごく高かったけど、今年は安いね」

というようなことが起こりますよね。
天候によって左右されるのが農作物です。
そして、収量により価格が左右されます。

農作物である紅茶も同じです。
どうしても天候の影響を受けて、収量が変化してしまいます。
また、天候は如実に味に影響を及ぼします。

例えば今年のとある茶園の紅茶の味があまり良くなかったという場合、輸入をされる方(バイヤー)は他の茶園の紅茶を当たるかもしれません。

それでもいつも注文しているところの紅茶を手に入れたければ、仕入れ価格が上がってもその中でクオリティの高いロットを仕入れるかも知れません。

そうなると、毎年同じ価格で販売するというのはどう考えても難しいですよね?
そもそも、毎年同じものなんて存在しませんよね?

こちらがシングルオリジンと言われる紅茶になります。
ロットそれぞれが唯一無二のものであり、生産茶園、製造日などがはっきりしているものであるからです。

②でも、いつも同じ味の紅茶もあるよね?

そう、あるんです。
通年通して同じ味の紅茶。

大手のメーカーの例えばリプトンの「イエローラベル」。
他にもフォートナムメイソンの「イングリッシュブレックファースト」やフォションの「モーニング」というような昔からずっとある有名な紅茶もそうです。

それはなぜか。

各メーカーには「ティーブレンダー」という職業の方がいらっしゃいます。

リプトンの「イエローラベル」の味をいつも同じ味、いつも同じ価格で提供するために「ティーブレンダー」はブレンドを行います。

でも先ほど書きましたが、茶は農作物です。
いくら技術がある農園で毎年全く同じ製法でも100%同じものはできません。
そして、天候にどうしても左右されます。

そこで「ティーブレンダー」の登場。

世界中から集めたサンプルをテイスティングし、その中から(例えば)「イエローラベル」を作り出すためのブレンドを行います。

筆者にはティーブレンダーの知り合いもいなければ、やったことも見たこともありませんので、正確なところはお伝え出来かねますが、価格なども絡んでくるでしょうから相当に大変な作業だと想像できます。

世界中の人たちがいつ飲んでも同じ紅茶を作り出すティーブレンダーはまるでマジシャンのようです。
そのために、毎日同じ生活をし、同じものを食べ、自分の味覚がぶれないように大変なご苦労をされているという話を聞いたことがあります。すごいですよね…!

③さらに、「シングルオリジンの紅茶に着香しているもの」と「ティーブレンダーがブレンドした紅茶に香り付けしているもの」がある

シングルオリジンの紅茶に香りをつけている紅茶もあります。


非常に分かりやすいので、あえて国産のアールグレイを引用させていただきました。
屋久島の屋久島大崎農場(有機JAS認定農場)で6月に作られた屋久島在来紅茶にベルガモットの香りをつけたものとなっています。
これは「シングルオリジン」の「フレーバードティ」ということになります。ワカリヤスイ。


そしてこちらは「ティーブレンダーがブレンドした紅茶」にベルガモットの香りをつけた紅茶です。
「トワイニング」というメーカーで、専門のティーブレンダーさんが年間通して同じ「トワイニングのアールグレイ」を作っているものになります。
とはいえ、詳細はわかりませんのでもしかしたらシングルオリジンで着香しているかも知れません。おそらくないとは思いますが…。

さて、その中であなたが興味を持ったのはどういう紅茶?

■唯一無二のシングルオリジン紅茶?

■いつも同じ味で安心するブレンドティ?

■それともフレーバードティ?

この三択くらいまでまとめておけば、ご自身が飲みたい紅茶がどの方向のものなのかがなんとなく想像できるのではないでしょうか?

とはいえ、これだけでは味の想像も何もかもわからないと思います…。
この後細分化して紅茶の産地などをまとめていきたいと思っています。
きっと、多分、気力があれば…。

頭になんとなくの分類を整理した上で、あとは気になった紅茶をただひたすらに飲んでいくのが良いのではないかと思います。

今Twitterなどでよく見かける、「持ち寄り茶会」というようなものは、お茶好きな先輩たちがお茶をたくさん飲ませてくださることが多いです。

筆者もお茶に興味を持ち始めた頃、持ち寄り茶会でとにかくたくさんの種類のお茶を飲んで、「これが美味しい」「これは渋い」とおしゃべりしていました。
そしてその時の楽しさは忘れられません。

是非足を運んでみてください。
お茶好きな人たちと知らないお茶にたくさん出会えるはずです。
様々な場所で行われていますので、行きやすい場所で行われているお茶会を探してみてくださいね。

とにかく、飲む!
気になったものはひとまず購入して飲む!
お茶会に参加する!
イベントに参加する!
▼参照記事:日本でも紅茶が作られている?-和紅茶の歴史やイベントなどについて-
▼参照記事: お茶のイベント【2018年8月25日26日北の茶縁日和~ぶらり喫茶小道~】
▼参照記事:3年に一度の茶の祭典!「世界お茶まつり2019」に行ってきました。<概要編>

それがお茶を知る一番の早道です!(^^)/



紅茶界の巨星墜つ-紅茶研究家 磯淵猛氏の訃報-




2019/2/21 16:08
紅茶界の巨匠、紅茶研究家の磯淵猛さんが亡くなりました。

そのニュースを知り、そっと涙を流している方は少なくないはずです。
日本中、いえ、韓国や中国までファンがいらっしゃる方ですので、SNSでもお悔やみの言葉が多く流れてきます。

筆者自身、紅茶にはまるきっかけとなったのは磯淵さんの本でした。
磯淵さんのセミナーに行くようになり、スリランカの紅茶に興味を持ちました。
思えば、スリランカの紅茶を意識して初めて購入したのは彼のお店でした。
(意識しないで購入したのは某メーカーのティーバッグ等ですが)
その後、スリランカのツアーにもご一緒させていただいたことがあります。

自身の店のことや、つまづいた時、悩んだ時、磯淵さんに相談させていただいたこともあります。
その度に、温かい言葉で励ましていただきました。

紅茶研究家 磯淵猛さんの功績


紅茶専門店ディンブラ HPより

1951年愛媛県出身。
学生の頃出会ったスリランカ人と商社に勤めていた時代に再会し、紅茶の輸入をするようになり、紅茶専門店ディンブラを開業。
のちに株式会社ティー・イソブチカンパニーを設立。(1994年)

多数の著書、テレビ、ラジオ等で紅茶の楽しさやすばらしさを広めてきた人物です。

特別紅茶好きでなくても、実は多くの方が無意識のうちに彼の紅茶に触れています。
モスバーガーやマザーリーフ、キリン午後の紅茶のプロデュースやアドバイザーをされていたのは磯淵さんです。

株式会社モスフードサービスの「マザーリーフ(Tea&Waffle motherleaf)」のコンサルタントやキリンビバレッジ株式会社「キリン午後の紅茶」のアドバイザー。

また、ご自身でマザーリーフでのティーセミナーやキリンの紅茶セミナーなども精力的に行っておられました。

また、日本創芸学院「紅茶コーディネーター養成講座」の主任教授でもあります。

“紅茶について知りたい”と思った時に、彼の存在を避けては通れないほどではないでしょうか。



磯淵猛さんの著書

磯淵さんの著書は非常に多いです。
残念ながら、今や絶版になっている本も多数。
(筆者おそらくすべて持っています。紅茶専門店ディンブラで直接サインもいただけました。)

最近では、以下の本でしょうか。




紅茶を飲んでみたい、自分で淹れてみたい、そんな方たちには必見の著書です。
最新の紅茶の産地の情報や紅茶の種類や味などの紹介、またアレンジ方法等も多数載っています。
筆者は個人的に彼のエッセイが好きなので、是非読んでいただきたいと思っています。
温かい人柄がにじみ出ている、とても心温まるお話ばかりです。

「金の芽」「紅茶の国 紅茶の旅」などはスリランカやインドへ行ってみたくなるお話が満載で、何度も読み返したことを今も思い出します。(どちらも絶版)

また、筆者が店で紅茶のアレンジを考える際、紅茶の教室を行う際に今でも参考にさせていただいている本が多数あります。

結び

個人的な思い出はこちらには書きませんが、これを書いているうちにたくさんのことを思い出しました。ここ数年、藤沢の紅茶専門店ディンブラにも足を運べず、磯淵さんにもお会いしていません。
ですが、ブログや著書でご活躍は拝見していたため、今でも信じられません。

紅茶界にはたくさんの巨匠がいらっしゃいますが、筆者が一番言葉をかけていただいたのは磯淵さんだと思います。
たくさんのお言葉をいただきました。
そして、茶の縁もたくさん繋いでいただきました。

多くの方を紅茶の世界に導いてきた彼の功績はあまりにも大きく、悲しみが尽きません、彼から学んだこと、教えていただいたことを次代に微力ながら繋げていきたいと思っています。
筆者なりに、細く長く。

長らく紅茶業界をけん引してきた磯淵さん、本当にお疲れ様でした。
どうぞ安らかに…。