【大人の社会科見学】ビート資料館―白砂糖は悪?-





北海道帯広市にあるビート資料館へ行ってきました。

「白砂糖は体に悪い」「白砂糖は体を冷やす」等の話を以前からよく聞き、隙あらば謎の健康食品を勧めてくださる方たちがいらっしゃるのですが、本当に体に悪いのか、体を冷やすのかは甚だ疑問です。

科学(化学、物理、数学…)に滅法弱い筆者は正直具体的なことは分かりませんし、分かろうともあまりしていません。
そこはどうでもいい、というところが本音です。

ただ、≪自分の目で見たものを信じる≫という信念があるため、ひとまずビート資料館に行ってみることにしました。

というかそもそも、砂糖は紅茶と切っても切れない縁があります。
その辺りの勉強を進めていきたいため、まずは資料館へ。

ビート資料館(日本甜菜製糖株式会社)

ビート資料館は日本甜菜製糖株式会社(以後日甜と表記)の創立70周年を記念して、平成元年にオープン。

てんさい糖の栽培、製法から日甜の設立から歴史、てんさいが北海道にもたらした経済効果など、様々なことが学べます。

ちなみに、館長さんのお話は是非聞いた方が良いです。
知識の豊富さ、日甜への愛に溢れていて、非常に勉強になります。

【場所】
〒080-0831
北海道帯広市稲田町南8線14

外観はこのような瀟洒な建物。
敷地内には鉄道のレールと模型、コーリス式蒸気機関および発電機などが展示してあります。

また、昭和天皇行幸の際の記念碑も鎮座しています。



てんさいの栽培

てんさい(甜菜)は和名で、サトウダイコンとも言います。
英名はシュガービート。
ヒユ科、フダンソウ属です。

ヒユ科の仲間にはほうれん草があるようです。

形は大根とかぶの中間のような感じですね。


なんだろう、このキャラ…。おそらくシュガーちゃん…。そしてなぜ縦にならないのか…。

「砂糖」には≪てんさい(甜菜)≫と≪さとうきび≫原料のものが二種類あります。
今回はてんさいの砂糖について。
自身が見た限りですが、札幌市内のスーパーに流通している砂糖はてんさい原料がほぼ100%に見受けられました。←実は地味に必ずチェックしている

春に種を撒いて、秋(10-11月くらい)に収穫されます。

サトウキビは暑い地方でしか栽培されていませんが、てんさいは寒冷地で育つので現在北海道のみの生産で、北海道の特産品となっています。

さて、てんさいの栽培ですが、日甜ではオリジナルの栽培方法を確立し、オートメーション化を進めてきました。

例えば、ロングピッチチェーンポットというものを利用し、苗を育てます。

こちらの一つ一つの枠に種を入れて、苗を育て、そのまま畑に植えられるとのこと。
ロングピッチチェーンポット自体は時間が経つと自然に土に還りますし、他の種に成長を邪魔されずに根を伸ばせるという利点があり、現在全体の75%ほどのビートの育苗に使用されているそうです。(道内で7万haほどのビート畑があるそうですので、相当量ですね…)
※他の野菜にも多数使用されています。



こういうものを見ると、「茶では使えないんだろうか…」とつい考えてしまうのですが、そういえば品種によって下に根を伸ばすものと、横に根を広げるものとあることを思い出し、「茶は無理かも」とぼんやり思っていました。
※実際のところはどうなのか知りたいので、もしご存知の方がいらしたらお教えください。

【追記】
「図解 茶生産の最新技術‐栽培編‐」にロングピッチチェーンポットと同様のポットを使用して苗を育てている写真が掲載されておりました。
ただし、3-4か月ポットで苗を育てると、根がかなり伸びて土に植える際には断根をしなければならないため、ポットの底面以下に根を伸長させないよう、「コンテナ内ポット育苗法」が開発されたそうです。(2019/08/08)

てんさいから砂糖へ

見た目大根のようなかぶのような植物からどうやって砂糖が作られるのでしょうか。

最初に申し上げたのですが、「砂糖は悪」と考えている方に「砂糖は漂白しているから体に悪い」「白砂糖は体を冷やすので三温糖を使っている」等を伺ったことがあります。

こちらの館長は力を込めて、「漂白などしていません!」と訴えておられました。
それだけたくさんの方に言われているんだろうな…。お気の毒…。

ビート資料館内でも多くの映像を見ることができますが、Youtubeでビートの育成、砂糖への加工等の映像がありましたので、こちらを貼っておきます。

石灰を混ぜて、不純物を取り除くところが問題なのでしょうかね…。
(異物混入的な?)

例えば漂白剤を使用して黒い砂糖を白くしているところなどは映像にありません。
化学変化を利用して、不純物を取り除いている、ということです。

筆者はその辺りの化学変化等はよくわかりませんが、上記映像で砂糖の栽培や製法は理解できました。

また、館長がこちらも声を大にして仰っていましたが、「三温糖が白砂糖より体に良いというのは迷信」ということ。

映像の中にもありましたが、てんさいを細かく切り(コセット)、70℃のお湯に漬けて糖分を抽出します。
抽出された糖液に石灰を加え、炭酸ガスを吹き込んで不純物を取り除きます。
その後イオン交換樹脂を用いて、残った不純物を取り除き、糖液を熱で煮詰めさらに濃い糖液を作ります。
そこに、結晶の元となる粉糖を加えて、結晶化を進め、ブドウ糖と果糖が結びついて砂糖が出来上がることになります。

結晶化した砂糖と蜜を遠心分離機で分離して、最初に出来上がるのがショ糖分が高い(精製度が高い)「グラニュー糖」。

残った蜜にはまだまだショ糖が残っているので、再度煮詰めて結晶を取り出すという工程を何度か繰り返します。

三温糖はグラニュー糖を取り除いた後の蜜を煮詰めて、結晶化させる工程を三回行った際に、加熱によってカラメル化し、茶色く着色されたものです。
※三回加熱するので、「三」という数字がついているとか。

よって、三温糖は他の砂糖よりミネラルが多く含まれているから茶色という訳ではありません。
※灰分が0.25なので、グラニュー糖(0.01)よりは多いですがごく微量。

グラニュー糖は三温糖よりショ糖の純度が高く、無色透明のショ糖の結晶が光を乱反射することにより白く見えているだけです。

プリンのカラメルなどを思い出すと分かるかと思いますが、強い甘味が感じられますよね。
カラメル化している三温糖は甘味を感じやすいため、煮物などに向いているといわれます。(中ザラ糖も同じ原理でカラメル化されています)
多分「健康に良い」とか人気があるから価格も若干高いのだと思われます。何か騙されている感じ…

砂糖からミネラルを多く摂取したいなら、所謂不純物(ミネラルを含んだ)を精製していない砂糖を選ぶのが良いと思います。


とはいえ、砂糖はそもそも調味料であって、料理の脇役。
あくまでも甘味をつけるためのものです。

ミネラルが取りたいなら、海藻や野菜等をきちんと摂取すればいいのでは?という話です。

以下は今回見学に行ったビート資料館を運営している日甜が出している商品ですが、館長曰く「お客様からのご要望が多く、割と最近市場に出るようになった」とのこと。


結び

紅茶とペアリングする砂糖の種類については今後も学びを深めていきます。

例えばはちみつを紅茶に入れると黒ずむのははちみつ中の鉄分と紅茶のタンニンが結びつくためと言われています。(ちなみにはちみつも筆者は大好物で、また記事を書く予定です)

それと同様にミネラルが多い砂糖を紅茶液に入れた時の水色や味わいの変化等を、実際に試しながらまとめていきたいと思っています。

実は紅茶と砂糖は歴史的にも切っても切り離せないところがありますので、その辺りももっと深めたいです。
砂糖がなければ今日の紅茶はなかったかも?

また、筆者が大切に持っている砂糖の本をご紹介しておきます。
砂糖の歴史について詳しく書かれているので、サトウキビ栽培や奴隷制度等砂糖にまつわるエトセトラを知りたい方には必読の書かと思います。

機会がありましたら、ビート資料館へも是非足をお運びください。


お茶にまつわるものを調べだすと面白くて止まりません。

お茶って本当に良いものですね~。
さよなら、さよなら、さよなら~。←