旅の思い出2019年5月‐京都府茶業研究所②(製茶機械)‐




もう8月となってしまいましたが、5月の旅を振り返りたいと思います。(いまさら感が酷い…)
先日ご紹介した<旅の思い出2019年5月‐京都府茶業研究所①(玉露の本ず栽培)‐>の続きとなります。

さらに昨日アップしたインド紅茶局の方が作った小さい製茶機械の記事も合わせてご覧いただけると幸いです。

小ロットで製茶ができる機械セット~インド紅茶局スタッフが作った小さな製茶機械セット~

蒸し製煎茶の作り方

宇治新茶 八十八夜茶摘みの集いに伴う京都府茶業研究所の見学には、蒸し製緑茶の製茶機械の説明がありました。

写真多め、説明少な目(?!)で製茶機械のご紹介をしていきたいと思います。

日本で主流の<蒸し製緑茶>は生葉を収穫して、すぐに酸化酵素を熱で壊し、そこから揉んで、形を整えて作られます。

工程としてはざっくり以下となります。

<摘採(茶葉を摘む)>

<蒸熱(茶葉を蒸して急冷)>

<葉打ち、粗揉(水分を切りながら、軽く揉む)>


<揉捻(水分を均一にするため揉む)>

<中揉(ほぐしたり、軽く揉んだり整えたり)>

<精揉(形を整えながら、乾燥を進める)>

<乾燥(茶葉の水分含有量を5%くらいまで乾かす)>

 

ざっくりが過ぎますが、このような流れです。

製茶工場見学(京都府茶業研究所)

では、製茶の機械を見ていきましょう。

こちらが蒸し機です。
<蒸熱(じょうねつ)>の工程に当たります。

生葉を入れ、高温の蒸気に当てて葉の中の酸化酵素を一網打尽にします。


なぜかどうしても縦になってくれません…。

<粗揉機>は飛ばして、<揉捻機>です。
こちらでは茶葉に圧は加えますが、熱は加えません。
茶葉全体の水分を均一にする目的があります。

35Kですので、かなり小さいです。
メーカーによっても違うのかも知れませんが、寺田製作所では、35K、60K、90K、120K、200K、250Kとあるようです。

そして、<中揉機>。
<揉捻機>から出た茶葉は丸まっていたりするので、ここでほぐしたり、さらに軽く揉んだりします。

手揉み茶を体験すると、非常にこの流れがよくわかるようになります。
手揉み茶の記事はこちら

こちらは<精揉機>。
茶葉を細く撚る工程となります。
合わせて、乾燥も進めていきます。


なぜかどうしても縦になってくれません…。パートⅡ

<乾燥機>です。
棚型の乾燥機でした。
この工程で13%ほど残っている水分を5%まで下げます。

 

で。
ざっくり写真を入れて説明をしてみたのですが、ところどころ無い(粗揉機とか)機械もありますし、わかりやすいように動画を探してきました。←今までの説明全部無駄w

ちなみに、筆者は製茶工程がなかなか覚えられず、某インストラクター試験の前はYouTubuで動画を見まくりました。
下の動画に出てくる工場は3年前ほどに伺いましたが、製茶機械もそれほど大きいものではなく逆に工程が分かりやすいかと思いますので、参考にどうぞ。




マニア涎垂の…

ここまではどこの茶工場でも大きさは異なりますがあります。

筆者がテンション上がりまくったのは上記機械のミニチュアです。

2Kって!!!
先ほど寺田製作所の最小が35Kな訳ですよ。

それが2K!!!
欲しい。←漏れ出る本音

ちょっとした実験用に使用したりするそうです。
以前静岡の金谷に行ったときも同様の機械があり、欲しい欲しい欲しい…とずっと言っていたのを記憶しています。

昨日インド紅茶局の方がお作りになった製茶機械の話もそうですが、ミニチュアが昔から好きな筆者は小さい、というだけで胸がときめきます。←

ということと別に、ちょっとだけ製茶をしたいという時にこのサイズは非常に良いなぁと思います。(小ロットで様々な種類のお茶が作れるから)

欲しい。
ただ、欲しい…。

結び

製茶機械は個人の方が所有している小さな機械も見たことがあります。
とはいえ、茶工場では1日に処理する生葉の量が多いので、大きい機械がメインかと思います。

5月の旅はすべて書ききれる自信がすでにありません。。
書きたいことは山のようにあるので、少しずつ更新をしていきたいと思います。

そして気づくとどんどん本性が出てきた文章になっているな、と実感中。
最初は固い感じで書き始めたんですけどね。
最近の軽いこと軽いこと。

まぁ、いいでしょう。

全然関係ない結びでした。←




旅の思い出2019年5月-京都府茶業研究所①(玉露の本ず栽培)-

GWに茶旅をしてきました。
プロフェッショナルの友人にアテンドしてもらい、あちらこちらに連れて行ってもらいました。
頭が上がりません。ありがとう!!

筆者がまずテンションマックスになった数か所からご紹介しようかと思います。

京都府農林水産技術センター 農林センター茶業研究所

茶業研究所は全国にいくつかあります。
静岡、熊本、三重、埼玉…などなど。

筆者は数年前に静岡の「野菜茶業研究所 金谷茶業研究拠点」の見学をさせていただきました。
その時もテンションが降り切れんばかりに写真を撮りまくりました。

茶業研究所では、その名の通り茶の研究を行っています。
業務内容は多岐に渡りますが、例えば、新しい品種の開発等が行ったり、茶業の指導などを行っています。

今回筆者は「宇治新茶 八十八夜茶摘みの集い」という5/2に行われたイベントに参加し、茶業研究所の見学をしました。
手揉茶の体験、茶摘み体験などなど様々なイベントが行われており、研究所の中も一部のぞくことができます。
なかなか一般人は中に入ることがありませんので、こうした公開イベントは非常にありがたいです。

参照:宇治新茶 八十八夜茶摘みの集い



宇治と言えば…

宇治と言えば、抹茶を思い浮かべる方も多いかと思います。
★以前の抹茶の記事はこちら

もしくは玉露を思い浮かべる方もいらっしゃるかも知れません。

抹茶も玉露もどちらも覆いを被せて、摘み取る前に日光を遮ることによって旨味を増す栽培方法になります。
これを「覆い下栽培(おおいしたさいばい)」と言います。

日光を遮ることにより、旨味の成分テアニンがカテキンに変化するのを防ぐことができます。(ざっくり説明)

その覆いをかける方法にはいくつかあります。

①支柱を立てて覆いをかける

 

②直掛け

「直掛け」はその名の通り、茶葉に化学繊維を直に掛けます。
めくると、緑の葉っぱが元気に出てきます。

この黒い化学繊維は「寒冷紗(かんれいしゃ)」と言います。
霜害を防ぐために掛けることもあります。
こちらでは、いつ頃どれくらいの遮光率のある寒冷紗をかけているのか、実験を行っているようでした。(それぞれに札がついていました)

他にも、野菜のようにアーチ形に支柱を立て、そこに繊維をかける方法もあるようです。(筆者はまだ生では見たことがありません)

野菜を育てている畑などでも見かけるので、見たことがある方は多いかと思います。
最近は色も黒や白だけではなく、様々販売されていますね。

煎茶の場合は、直射日光に当たったまま摘み取られますが、抹茶や玉露、かぶせ茶は摘み取りの数週間前から数日~数週間覆いをし、旨味成分が多く、柔らかい芽を育てます。
※日数や期間などはその年によっても異なりますし、作る茶種によっても異なります。

昔はどうやって作っていたの?

16世紀後半にはこの宇治で「覆い下栽培」が始まったといわれています。
これが千利休をはじめとする、抹茶のスタートです。
※ちなみに、煎茶はさらにあと、江戸中期くらいに作られるようになります。

千利休の頃、さすがに今使用している化学繊維の寒冷紗はないですよね…。
どうやって覆っていたのでしょうか…。

その時代は、「本ず栽培」でした。

「本ず」というのは、<よしず>と<藁>で茶を囲う栽培方法です。
<よしず>はすだれのようなもの。
<藁>は…わらです。

<よしず>は実家の日よけに、昔使っていたのを思い出します。
<よし>の別名は<あし(葦)>というイネ科の植物です。

かの有名な「人間は考える葦である」の<あし>です。
※フランスの哲学者、パスカルの名言



横道に逸れましたが、つまり天然の植物を使用して覆いを作っていました。
当然、今のように支柱は金属ではありません。
竹などを組み合わせ、その上に命綱もつけずに乗っかり、藁を敷きます。

とんでもない手間と労力がかかることは想像に難くないですよね。
風が強ければ、藁は飛んでいくでしょうし…。
当然、化学繊維が現在は主流です。

なんと、今回、茶業研究所でその「本ず栽培」を見学することができたのです。
ここはとんでもなく、テンションが上がりました。(マニア)

<本ず>の中に入ると、少しだけひんやりしました。
丁度前日に雨が降っていたということもあり、下がぬかるんでいました。

歩くと、ふわふわと柔らかい土を足裏に感じます。

一方こちらは、化学繊維の寒冷紗。

半分ずつになっているため、<本ず>と<寒冷紗>をどちらも体験できました。

入り口で職員の方がご説明してくださっていたのですが、寒冷紗の方が黒いということもあり、熱がこもりやすいそうです。
確かに寒冷紗を下から触ると熱いのですが、よしずは熱をほとんど感じません。
そして、よしず下の土は柔らかかったのに、寒冷紗下の土は少し硬い印象を受けます。
おそらく、藁が落ちて土を柔らかくしているそうです。

さらに、<本ず>はなぜか寒冷紗より紫外線を通さないそうです。

茶業研究所での研究結果により、明らかに紫外線量に違いがあることが明らかになっているとのこと。
そして、官能検査による味の違いでも、<本ず>栽培のお茶の方が美味しいという結果が出ているとか。




結び

「本ず体験」をしながら、

昔の人、すげぇ。

と何度呟いたでしょう。
※感想が貧相

職員の方も仰っていましたが、今後もっと科学が進めば<本ず>を越えるほど紫外線を防ぐ寒冷紗も登場するのだと思います。

現在<本ず栽培>を行っている茶畑は、数えるほどしかなく、希少な存在になっています。
数年前には京都府で「本ずづくりプロジェクト」という活動を行っていたようですが、最近はどうなったのでしょう…。

一番最初に<よしず>と<藁>を使って、「本ず栽培」を考えた人もすごいですし、それで作ったお茶が美味しいと分かった人たちもすごいなぁとただただ昔の人の知恵に脱帽です。

昔の栽培と今の栽培を比べることができる、という貴重な体験をさせていただいて感無量でした。

茶業研究所にはまた是非伺いたいと思います。
他にもお伝えしたいことがたくさんあるのですが、今回はここまでで。