カフェインレス、デカフェ、と呼ばれるカフェインが少ない商品がここ数年で非常に増えています。(以前より急激に)
今の技術ではカフェインを完全にゼロにすることはできません。
もし完全にカフェインが入っていないものを飲みたいのであれば、お茶や珈琲は適さないでしょう。
麦茶やルイボスティ、つまり茶の原料である《ツバキ科のカメリアシネンシス》を使用していないもので作られた「茶外茶」、「代用茶」などをお勧めします。
デカフェ、カフェインレスは違うもの?
デカフェ、カフェインレス、カフェインゼロ、等々。
どれがどれくらいカフェインを含んでいるのかはっきりしませんね…。
茶に関しての資料が見つかりませんでしたので、「コーヒーの表示に関する公正競争規約」から引用します。
原材料名の表記として、下記記載があります。
《コーヒーにあっては、その形状にかかわらず「コーヒー」と記載する。ただし、カフェインを90%以上除去したコーヒーにあっては、その形状にかかわらず「カフェインレスコーヒー」と記載する。》
ヨーロッパ諸国では99.9%以上カフェインを抜いたものをデカフェ(=カフェインレス)と呼ぶそうですが、日本では今のところ細かい定義はないようです。
よって、デカフェもカフェインレスも、《カフェインが少ないもの》の意味と考えます。
ちなみに。
キリンの生茶には、デカフェとカフェインゼロの記載があります。
0.001g(100ml当たり)未満を0gとしているとのことですので、カフェイン量は異なりますが、《カフェインが少ないもの》と考えれば同じものと判断することにします。
デカフェ茶、カフェインレス茶はどうやって作られているの?
茶のカフェインは基本的に、下記の方法で除去しているものがほとんどです。
①有機溶媒抽出法
②水抽出法
③超臨界二酸化炭素抽出法
簡単に一つずつご紹介します。
①有機溶媒抽出法
こちらは1906年にドイツで開発された最初の脱カフェイン法です。
珈琲も同じ方法を取ります。
有機溶媒によって、葉(生豆)からカフェインを抜き出す方法です。
主に「ジクロロメタン」という溶媒を使用しますが、この溶媒は皮膚などに接触すると炎症を引き起こしたり、慢性的に摂取することにより肝機能障害を引き起こします。
毒性があるとして、日本ではこの方法での脱カフェインを禁止しています。
しかし、海外の安価な紅茶はこの方法でカフェインを除去しているものもありますので、知らぬ間に摂取している可能性もありえます。
②水抽出法
1930年代にスイスで開発され、1988年に《スイスウォータープロセス法》として商標登録されました。
こちらは生豆からカフェインを抜くところを映像化しているものです。
水に生豆をつけてカフェインやその他の水溶性成分を抽出します。
その後カフェインだけを抽出した後、カフェイン以外の水溶性成分を豆に戻すという方法です。
スイスウォータープロセスだけではなく、他の有機溶媒を使用せずにカフェインを抜く方法も世界中で開発が進んでいます。
茶の場合は、生葉を熱湯に短時間浸し、脱水してから製茶するという方法になります。
※ただし海外のデカフェ紅茶や緑茶もこのように作るのか、調査不足なので今後も継続して調べていきたいと思っています。
知らないだけかも知れませんが、デカフェの中国茶台湾茶って聞いたことないような…。
どなたかご存知でしたら教えてください。
有機溶媒のように、体に影響がないということから水抽出は珈琲業界ではメジャーな脱カフェイン方法です。
ちなみにスターバックスのデカフェもこちらの製法です。
③超臨界二酸化炭素抽出法
超臨界の考え方はもっと前よりあったのですが、1970年代に茶や珈琲からカフェインを抜くということに応用されるようになりました。
割と新しいカフェイン除去方法です。
茶の世界、特に紅茶の脱カフェイン方法としてはこちらが主力ではないでしょうか。
原料を入れた機械に、二酸化炭素を注入します。
温度と圧力をかけて、二酸化炭素を超臨界状態にし、カフェインを抽出して別の機械に移します。
別の機械に入った超臨界状態の二酸化炭素の温度と圧を弱めると、取り込んでいたカフェインが二酸化炭素から分離します。
カフェインを取り出します。
上記のような工程により、カフェインを抽出できます。
こちらは溶剤などが人体に影響を与える心配もなく、元々の茶の味をあまり変化させずにカフェインを抜くことができる方法として、現在多くの企業で使用されています。
ただし、有機溶媒抽出法などに比べると、今のところ茶の価格は高いです。
結び
デカフェ茶、カフェインレス茶についてご紹介しました。
今のところ、超臨界二酸化炭素抽出法が一番茶の味を壊さずにカフェインを除去できる方法と言われています。
デカフェを選ぶときはその辺りを気にしてみると良いかも知れません。
今でも着々とカフェインの研究は進められていることと思います。
もともとの茶の木からカフェインを抜いてしまおうという研究もなされています。
品種改良が進み、カフェインが含まれない茶の木がいつか誕生するのかも。
カフェイン中毒な筆者としては悲しいような気もしますが、デカフェを求める方は急増していますので、今後もますます研究がされ新商品も出てくるでしょう。
興味深い分野なので、今後も追っていきたいと思います。
【追記 2019/11/22】
リプトンのカフェインレス紅茶が発売されたというニュースリリースがありました。今後も気軽に家でも飲めることが増えてきそうですね。
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