茶畑には様々な仲間がいて、また敵も多くいます。
猪や鹿、ハクビシンのような動物もいます。
カマキリのように虫を食べてくれたり、ウンカ(チャノミヒメヨコバイ)のようにお茶に良い効果をもたらしてくれる虫もいます。
雑草の中には食べられるものも。
逆に人間に害を及ぼすものたち(=敵)もたくさんいます。
猪や鹿は人に害のあるマダニや蛭などを茶畑に持ってきてしまう場合もありますし、蜂に刺されるという被害も多くあります。
そんな彼らのご紹介をこれから少しずつしていきたいと思います。
※筆者はまだ経験が浅いので、あくまでも筆者目線で体験したことに限ります。
スズメバチ戦の前に現在の筆者(相方)の茶畑について
相方は10数年前から茶畑を借りて新規兼業農家としてやってきていますが、最初のうちは農薬を撒いて防除、除草等を行っていました。
いわゆる、「有機栽培」に対する言葉として「慣行栽培」です。
規定内の農薬や化学肥料を使用している農法です。
数年前から紅茶や烏龍茶を作るため、農薬や化学肥料を与えず、有機栽培に切り替えました。
というのも、紅茶や烏龍茶の場合は肥料(特に緑茶の場合多く与える窒素肥料)を減らした方が味や香りが良い傾向にあり、購入してくださるお客様の意向もあったとのこと。
また、「有機栽培」「オーガニック」と謳うためには許可がいりますので、うちは「勝手に有機栽培」という状況です。
それにより、今まで農薬によって防げていた病害虫は急増。
兼業茶農家ですので、茶畑に足を運ぶ回数は専業農家に比べて圧倒的に少ない訳でして、管理は非常に難しいです。
病害虫の兆候が早めに見つかれば対処方法はあるかも知れません。
ですが、タイミングを逃して全く茶を摘めなくなるいうことも残念ながらあります。
炭疽病やもち病で壊滅したり…。
世界的な兆候としては「有機栽培」に傾いていますが、実際に関わってみると正直簡単には言えない状況が多々あります。。
このあたりはまたきちんと調べて記事にしていきたいと思います。
今回は状況説明まで。
今回はvsコガタスズメバチ
蔓を取っている最中、相方が「ぎゃ」と声をあげました。
見てみると…
蜂の巣が枝の隙間から顔をのぞかせています。
アシナガバチは今までも何度か茶畑の中に巣を作り、知らずに茶刈などを行って刺されたことが数回あったそうなのですが、アシナガバチとは明らかに違う巣…。
筆者もカフェをやっていた頃、店にスズメバチが大きな巣を作っており、確かにこのマーブル模様は見覚えが…。
スズメバチだとするとこれは大変…!
揺らしたりすると危険なのでそっと見てみると、筆者が知っているスズメバチの巣は球形でしたが、どうもフラスコをさかさまにしたような形をしています。
早速検索。
すると、恐らくコガタスズメバチの営巣初期であろうことが判明。
さて、どうする???
筆者が店にスズメバチの巣が出来た時はどうしようもなく駆除業者に頼みましたが、数万円かかってしまい大きな痛手を負いました。
茶農家は通常早めに自身で駆除することが多いようで、これは頑張って駆除せねばいかん、と戦う決意をしました。
自身で駆除するならば…と以下のことを話合いながら近くのホームセンターへ急ぎます。
1,間違いなく営巣初期であること(確認)
2,完全防備をすること
3,刺された場合のことを考えておくこと
1,間違いなく営巣初期であること
▼コガタスズメバチの生態|巣の特徴や自分で駆除できる基準について (hachi-seo.jp)
▼プロが教える:コガタスズメバチの巣と駆除、注意点 (minhachi.jp)
上記のようなサイトをいくつか確認し、フラスコ型の状態であれば女王バチしかいないということが分かりました。
フラスコの下の口の部分がなくなって球状になってしまうと、働きバチがいるので非常に危険です。
こうなってしまうと働きバチがじゃんじゃん出てくるそうな…。
フラスコ型であること、6月前(直前でしたが)であれば危険性は少ないことを確認しました。
2,完全防備をすること
来週の土日では対応が遅くなってしまうので、見つけた日に駆除するため必要備品を急遽買い揃えました。
(手痛い出費…)
■殺虫剤
当然スズメバチ用のものを探し、こちらの商品にしました。
速攻成分4倍、反撃されない成分で安心という言葉を信じてレジへ。
■防護服
本来はこういったものが欲しかったのですが、まぁ近くのホームセンターにはないでしょうから、あれこれと考えて購入しました。
厚手の雨合羽で全身を覆って、首や顔を刺されないように防虫用のネットと、草払いの時にかける保護眼鏡、刺されないタイプの手袋と完全防備。
暑い…!
以前にも数回蜂に刺されている相方は若干テンションおかしくなって、なぜかポーズを決めています。なぜ??
3,刺された場合のことを考えておくこと
もし中から女王バチ(万が一働きバチ)が出てきて、刺された場合どうするかということも話し合いました。
①ハチたちが離れるのを待ち、刺された箇所の確認。
②必要であれば常備しているポイズンリムーバーを使用
③近くの救急病院を確認して、搬送する
ポイズンリムーバーはこういったものです。
今のところありがたいことに使用経験はありませんが、緊急事態のために用意しています。
応急処置として針と毒を取って、病院に駆け込むのが最善です。
車も念のため出しやすいように乗りやすいように準備しておきます。
いざ、出陣!
まずは気づかれないように外側から巣全体に殺虫剤を噴射。
一旦逃げて、遠くから様子を伺いますが羽音は聞こえません。
今度はフラスコの口から改めて噴射。
あれ?
…女王バチ不在???
枝ごと切り取ります。
こちらが出入口。
割ってみると巣があります。
蜂の子がいます。
取って食べる方もいらっしゃいますが、殺虫剤漬けですので止めておきます。
かわいそうですが、茶畑の中に巣を作ったのがいけません。
しっかりと踏みつぶして終了となりました。
結び
コガタスズメバチ、という名ではあるものの小型ではないようです。
スズメバチの中では温厚とのことですが、大きくなった巣を駆除しようとすれば働きバチに刺されてしまうのは目に見えています。
早めに見つけられて御の字としか言いようがありません。
相方曰く「10数年茶畑やっていて、スズメバチに巣を作られたのは初めて」とのことですので、筆者も見られたのは良い経験になったと思います。
無農薬栽培を行っている茶農家から話には聞いていましたが、刺されると考えると怖いものです。
茶の生育のため、生産量を確保するために農薬や化学肥料を使用することは慣行栽培茶農家が生き残るためには必要なことです。
当然、規定内の量で安全が確保されなければなりませんが。
今新植茶園の苗に農薬をかけていますが、農薬をかけるのは労力も必要で、しかも価格も高いのです。
貧しい(おまけにケチw)筆者としてはできるだけ農薬も肥料も使いたくないくらいです。
ですが、筆者のところのようにごく小規模で趣味程度の茶畑ではない、生活がかかっている農家は「虫がついちゃったから今年は収穫できませーん」なんて言えないのです。
防除が必要だったら行うべきですし、収量も確保した上で、有害生物から自分たちの身も守らなければいけないのです。
先日も某週刊誌で「日本茶は農薬まみれ」というような煽り記事があったようですが(読んでません)、茶関係者はみな激怒でした。
筆者も農薬のことはまだあまり詳しくありません。(通常はほとんど使用していないので)
ですので、今のところ記事にするのは控えています。
学ぶことが必要です。
何をするにしても。
さて、次のネタはもう決まっているのですが、こちらも敵なので楽しくないんですよね。(;^_^A
仲間についても早くまとめたいものです。
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