茶を作る2020②‐出始めの新芽で作る紅茶‐

カレイの上の新芽 製茶

前回釜炒り茶を作ったのですが、同時進行で紅茶も数ロット作っています。
▼参照記事:茶を作る2020‐出始めの新芽で作る釜炒り茶‐

日本の紅茶は夏に日光をたっぷり浴びた葉で作ると美味しいと昔はよく言われていましたが今もそうなのか正直よく分かりません。。

実際、春摘みで作る紅茶、秋摘みで作る紅茶もたくさん出てきているからです。
実のところ一番茶を煎茶に加工して、売れなくなる二番茶(夏)以降を紅茶に加工するという取り組みが和紅茶出始めの頃は多かったのですよね…。

少なくともうちの畑で作る場合は一番茶を使用した方が美味しく出来るように思います。(相方談)

という訳で紅茶作りをさらりとご紹介します。

紅茶の製法について

紅茶の作り方は、以前にも何度か簡単にご紹介していますが

萎凋⇒揉捻⇒(酸化)発酵⇒乾燥

となります。
▼参照記事:紅茶の選び方②~シングルオリジン?orブレンド?~

【萎凋(いちょう)】

日干萎凋中
写真は日光(日干とも)萎凋と言って、日の光に当てて水分を飛ばします。

静置萎凋というものもあり、涼しいところで一昼夜置く方法等様々です。(併用もあり)

茶葉を萎らせて水分を抜き揉みやすくする工程です。

また、水分が抜けることにより香りの素が形成されます。

香りが良い紅茶には当然品種の違いもありますが、この萎凋工程が非常に大事だと言われています。
化学の力で解明していない部分も多々ありますが、遥か昔からそのように言われています。

【揉捻(じゅうねん)】

揉んでる葉
読んで字のごとく、茶葉を揉む工程です。

揉むことにより茶葉の中にある細胞を破壊し、酸化酵素であるポリフェノールオキシダーゼによって<ポリフェノール(カテキンなど)>と〈酸素〉が結合して(酸化)発酵が始まります。

また、茶葉の中にある水分も外に出してやります。

写真は布にくるんで揉んでいましたが、ザルの上でそのまま揉む時もありますし、もちろん量を作る農家さんは揉捻機という機械で揉んでいます。

揉捻機は煎茶でも使用していますが、紅茶とは揉むことの目的が違うため、若干異なる箇所があります。(下の揉み板の部分についているエッジの形とか)

【(酸化)発酵】

発酵中の葉
良い写真が見つかりませんでしたが、揉捻の時の緑の葉から茶色くなっているのが分かるでしょうか。

この茶色になる変化はりんごを切ったときに断面が茶色になるのと同じものです。(酵素的褐変反応と言います。)

揉捻した際に壊れた細胞から出た、ポリフェノールオキシダーゼ(酸化酵素)によってポリフェノールの酸化が始まった状態です。

煎茶(蒸し製)の場合、ポリフェノールオキシダーゼの働きを最初に止めるため高温の蒸気で蒸します。

最初に酵素を殺してしまうようなイメージのためなのか、中国茶台湾茶では熱を入れる工程を”殺青(さっせい)”と言いますので、なるほどと思います。
りんごの場合もポリフェノールオキシダーゼ(酵素)の働きを止めるため塩水につけたりしますが、これも殺青??

【乾燥】

乾燥紅茶葉
(酸化)発酵を十分に進めたところで、乾燥に入ります。

通常は高い温度で残ったポリフェノールオキシダーゼ(酸化酵素)の働きを止め、その後じっくりと乾燥させます。

茶葉内の水分を5%以下まで減らし、保存が可能な状態にします。

水分が残っていると後から酸味が出てきたり、変なにおいになってしまったりします。

結び

今回はひとまず手作り紅茶の作り方をざっくりとご紹介しました。

新芽を摘んでは、様々な茶を作り、自身の中で製法や化学変化を見て学ぶ日々です。

作り方は生産者によっても、品種によっても様々で、筆者自身も手探りでやっている最中です。

ただ、様々な変化を自分の手の中で感じることができるのは非常に面白いです。

本やインターネットを見て頭の中で想像している限りでは全く分かり得ないことがふと理解出来たりします。

「百聞は一見に如かず」

を常に体験中です。

美味しい茶を作れるようになるまで日々精進です。←何を目指しているのか…

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