昨日たまたまテレビを付けると「林修の今でしょ!講座」でお茶を特集していました。
こういった特集があると知ると、勉強のため、新しい知識を得るために必ず観るようにしています。
しかしながら、観てがっかりする場合も多々あります。。
今回も後からSNSを見ると、あちこちからお茶好きな方たちの突っ込みやら悲鳴やらが上がっていました。
筆者は仕事をしながらだったので今回はほとんど観ることができませんでした。
ある意味残念だったような気がします…。
茶=薬?
お茶の教室や、茶のイベントに参加させていただくと一番聞かれるのは「茶の健康効果」かも知れません。
「がんの予防に聞くと聞いて興味を持ちました。」
「コレステロール値が高いから、飲むようになりました。」
等々。
確かに《茶》にはガン予防や血中コレステロール低下等の効果があります。
先日茶の風邪予防について書きましたが、確かに上記のような効果のある成分が《茶》には含まれています。
決して間違いではありません。
しかしながら、実際にガン宣告をされた方が緑茶を毎日飲んだからと言って、ガンが治るでしょうか。
毎日大量の紅茶を飲んだとして、LDLコレステロールが間違いなく減る、と言い切れるでしょうか。
当然そのようなことはありません。
茶は薬ではありませんので、『絶対に効果がある』とは言い切れません。
薬も効かないことはありますし、薬を飲まずに治るという奇跡ももちろんあるのでしょうが、一般的なお話としては現代の医学では薬を飲まないと病気を治すことは難しいのだろう考えられます。
古来茶は薬だった?
現代の科学の力によって《茶》の効果が様々あることは分かっています。
そして、遥か昔、茶=薬でした。
中国で発祥したと言われる茶は、薬として扱われていました。
西暦500年前後の書物に《神農》という人物が登場します。
神農は多くの人が病で倒れていく中で、ありとあらゆる植物を自分で食べる(舐める?)ことによりその効果を一つ一つ検証していきます。
一日に100の草木を食べ、72の毒に当たったとも。
そして、解毒作用のある葉が《茶》であることを身をもって証明しました。
そのため、神農は『喫茶の祖』であるとされています。
西暦800年代に唐から戻ってきた最澄や空海も茶を薬用(儀式用)として日本に持ち込みます。
最澄は滋賀県大津市の日吉大社に種を撒き、空海は比叡山に種を撒いたという言い伝えが残っています。
日本書紀では西暦815年に永忠という禅僧が嵯峨天皇に茶を煎じて献上しています。
当時は蒸した葉を固めたものをすりつぶして飲む、というようなスタイルだったようです。
その後鎌倉時代に臨済宗の祖である栄西(1141-1125)が宋に留学し、当時の茶を日本にもたらします。
栄西は日本で初めての茶についての専門書である『喫茶養生記』を著します。
茶の効能について多く語られている本で、この頃の茶は蒸して固めたものを砕いて粉にし、抹茶のように飲んでいました。
そこから、王侯貴族の間で茶がもてはやされ、茶の栽培が盛んになり、千利休の手によって茶道が確立され、のちに抹茶だけではなく煎茶等が生まれてきます。
確かに茶は『茶=薬』と考えられていた時代もありました。
特定保健用食品とは?
現代では、
「茶は薬です。
がんが治ります。」
と言うと『薬事法』に抵触します。
しかし、最近は「○○に効果がある」というように書かれた『特定保健用食品』のペットボトル茶がたくさん販売されていますね。
▼特定保健用食品とは
食生活において特定の保健の目的で摂取する者に対し、その摂取により当該特定の保健の目的が期待できる旨の表示を行うもの。
■特定保健用食品として食品を販売するには、その表示について消費者庁長官の許可を受けなければならない
(健康増進法第26条第1項)。
■表示の許可に当たっては、食品ごとに食品の有効性や安全性について国の審査を受ける必要がある。
▼特定保健用食品の表示方法
■特定保健用食品とは、からだの生理学的機能などに影響を与える関与成分を含み、健康増進法第26条第1項の許可を受け、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)※をする食品
■平成30年9月3日現在、1,053件の食品が特定保健用食品の許可を受けている。
※保健の用途の表示とは・・・「お腹の調子を整える」、「コレステロールの吸収を抑える」、「食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」
等の表示が挙げられる。
▼参照:消費者庁HPより
「特定健康保険食品」は薬ではありません。
ですが、特定の症状(脂肪の燃焼等)に対して効果が見られる可能性があるということが研究によって明らかになっているので、国が認可することにより「特定健康保険商品」として販売することが可能となっています。
なお、似たものに「機能性表示食品」というものがあります。
こちらは、消費者庁が認定しているものではなく、販売する企業や団体が効果があるという研究成果等を消費者庁に提出することで表示することが出来ます。
(企業や団体が消費者にもその研究成果等を公開することが必要)
国は認定してはいないけれど、「ある一定の効果がある」ということを立証出来ているものとなります。
▼参照:消費者庁HP
こうしてみると、同じメーカーで同じように「緑茶」を販売していても様々な種類のものがあるので難しいですね…。(;^_^A
トクホマークがついているかいないか、というところで判断するのが一番分かりやすいかも知れません。
結び
茶をたくさん飲むことにより効果がある場合もあるでしょう。
前回ご紹介したように風邪予防の効果や、他にもカフェインの覚醒効果などは明らかです。
ですが、効果があるとは言われていても、やはりその病気に対して直接的に改善をさせる医療用の薬とは効き方は異なります。
個人的に思うのは、茶には本能的に体に良い成分が入っているから、人間は数千年もの間、茶を愛しているのだということです。
例えば茶が「めざまし草」と呼ばれて、禅僧の修行の合間に飲まれていたというのはカフェインの効果が科学的ではなく体感的にわかっていたからです。
茶処に長寿の方が多いということも統計的には分かっています。
ですので、自身で飲んでみて、「体が美味しい」と感じるものは薬用ではなくとも効果があるのではないかと思っています。
個人的なことですが、筆者は毎日大量に茶を摂取していますがどこか調子が悪い時は茶が美味しく感じられず自然と量が減ります。
茶=薬、ではありません。
そして、お茶は美味しいから飲むのです。
美味しく飲むこと、楽しく飲むこと、誰かと幸せな時間を過ごすお茶の時間によって、心の健康が保て、ストレスの軽減効果はあるでしょう。
ストレスは病気を助長させますので、それを減らすことにより長生きにも繋がるのかも知れません。
(2020/2/5 一部追記編集あり)
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