ジュンチヤバリ茶園の紅茶を先物買い(先物取引)?ワインのプリムールと同じようなシステムが紅茶でも登場

ジュンチャバリ紅茶 茶のニュース


「先物買い」というと何を頭に浮かべるでしょうか。

「先物買い」は一般的に将来値上がりすることを見越して、早くに購入をしておくことを指します。

筆者はその言葉だけを聞くと、投機目的で損失を出したり莫大な利益を出すというような光景が頭に浮かびます。

それとは若干異なりますが、生産者から茶をいち早く購入するような新たな取引方法を行っていく会社があるそうです。

農作物の先物買いで有名なものはワイン

ワイン
ボルドー地方では価格が上がることが確実なワインを先物取引「プリムール」で購入するということは昔からある取引方法だそうです。

プリムールとは、フランス語で新しい(Primeur)を意味しており、市場に出回る前の若いワインを購入し、そのおよそ2年後に手に入れることが出来るというワインの先物取引です。

ワインは葡萄の圧搾、発酵、木樽での熟成ののち、様々な人の手を介して市場に出ることになります。
市場に出回るのは収穫から3年後以降になることがほとんどです。

プリムールが行われるのは通常収穫された翌4月。
樽に入ったばかりの若いワインを試飲して、購入を行います。

以前は個人でプリムールで購入するのはかなり難しかったようですが(自身で現地に行き、これから成長するワインを見極め、税関への手続き等も購入者が行うため)、今は代行を行っている業者があり、そこで1本からでも購入が出来るようになっているようです。
しかも、プリムール試飲会を行うのも現地に行かず日本で参加可能になっているとか。
▼参照:徳岡ワイン

なお、これからボジョレー・ヌーボーが11月に解禁されますので楽しみの人が多いかと思います。

ボジョレー・ヌーボーは言うまでもなくボジョレー地方で作られた新酒を指します。

「プリムール」という言葉はボルドー地方では先ほどまで述べた「樽熟成中のワインの先物取引」を指しますが、ブルゴーニュ地方では「ヌーボー」と同じ「新酒」の意味を持つそうです。


このように書かれていると、分からない人は混乱してしまいますね。
筆者も下戸なのでワインは詳しくありません。。

ネパールのジュンチヤバリ茶園とは?

先日あるニュースを見ていたところ、ネパールにあるジュンチヤバリ茶園の秋作りの紅茶(2020年)を先物買いするという会社の記事がありました。

ネパールのジュンチヤバリ茶園は、筆者も個人的に大ファンです。

インドのダージリンの紅茶製法をベースに、世界各国の製茶法を学び、それらを応用しています。

小規模な茶園ながら、東方美人のような紅茶だったり、台湾の蜜香紅茶のようなものだったり、日本の釜炒り茶だったりと様々なロットのお茶(緑茶や烏龍茶も)を輩出しており、世界的にファンが多いです。

また、茶園従業員へのフォローも厚く、オーガニックで栽培していることも合わせて人気が高い茶園です。

オーナーが非常にフランクな方で筆者も何度かお会いしたことがあります。
日本が大好きだそうで、日本の文化なども非常に詳しい素敵な方です。


こちらは2014年産。

同じロットかは分かりませんが筆者も当時店で2014年の春のものを置いていたのですが、非常に好評でした。
香り高く、非常に美味しいです。

筆者の茶棚にまだわずかに残っているのをちびちび飲んでおります。

他でも通年ではなく不定期の場合もありますがジークレフ一芯二葉など(他にも多数)でも購入できますので、最近のもので気になるものがある方は是非一度試してみてください。

紅茶の先物買い?


そこで、紅茶の先物買いとは?という話です。

冒頭にワインのお話をしましたが、それと同じようなシステムで紅茶の先物買いを行う会社があるそうです。

ロンドンの会社であるRARE TEA COMPANYの社長は今までの大手企業による茶園支配と搾取をなくし、新しいお茶の流通を作りたいと語っています。

その会社にはジュンチャバリ茶園の紅茶を先物買いするというフォームがあり、以下のように書かれています。(2020年10月当時)

IMPORTANT: please note that anything added to your basket with this product will not be delivered until December.

A unique Autumn harvest black tea from Jun Chiyabari Nepal. Plucked and hand-crafted exclusively for us from the finest autumn tips.

An exceptional tea of the highest quality from one of the best gardens in the world.

Available only to PRE-ORDER until 31st October. This is a limited harvest; please place your order quickly to ensure availability. Delivery globally December 2020 (in time for Christmas).
▼参照:RARE TEA COMPANYのHP

“10/31までに事前購入をすれば、収穫した紅茶はクリスマスに間に合うように12月発送します。”

そして、気になる価格は
◆1Kg £365(約50000円)
◆500g £185(約25000円)
◆300g £110(約15000円)
となっています。(2020年10月現在)

売上の一部はチャリティに回されるそうです。

そう考えると決して値段は高くありません。

通常紅茶の場合はオークションを通してブローカーやバイヤーの手に渡っています。

このRARE TEA COMPANYの購入システムの場合、生産する量に対する資金を先に集めることができますので生産者は安心して生産を行うことが出来ます。

また、多くの人手を通過しないため消費者の手にお茶は早く届き、消費者は生産者と直接繋がることができます。(RARE TEA COMPANYを通してはいますが)

どちらにとってもメリットは大きいように感じますし、ワインとは異なり投機の意味合いは薄くなるように感じます。

結び

RARE TEA COMPANYの新しい仕組みが今後どうなっていくのか、非常に興味深いです。

筆者の少ない脳みそで考える限り、デメリットとしては、以下でしょうか。

◆販売会社(今回はRARE TEA COMPANY)の破綻
◆販売会社(今回はRARE TEA COMPANY)の独占販売
◆先に購入することにより、質の良し悪しは二の次

チャリティ要素が強くなってしまうと、質の低下を招きかねないという不安があります。

農作物ですので、出来不出来はどうしても発生するものです。
それにより価格が変動するものですし、そこが面白いところでもあります。

とはいえ、美味しいお茶を作ってくれている茶園労働者たちが幸せであることは消費者である筆者も第一に願うところです。

また、RARE TEA COMPANYのHPを見る限り、日本の煎茶も静岡の森内農園のものを使用しており(他は生産者が書かれていませんでしたが写真を見る限り良質な葉でした)知識やこだわりがあることを感じられました。

今後も新しいお茶の取引等があればご紹介していきたいと思います。

流通の知識がありませんので、ご指摘等がございましたらメッセージいただけると幸いです。

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