中華民国(台湾)の行政院に属している、行政農業委員会(日本の農林水産省にあたる)茶業改良所が2019/8/6に新品種台茶24号が発見されたというニュースをアップしています。
日本の茶業試験場、茶業研究所と同じイメージですが違っていたらどなたか教えてください。
台湾の茶業界では「タイワンマス(中華民国指定国宝魚)」ほど希少な在来種が発見され、19年間育種をしてきたものだそうです。
原木は氷河期時代にあったものだとのこと。
マッシュルーム、アーモンド、珈琲のような独特な香りを有しているそうです。
台茶24号って何?
台湾の茶の品種には通し番号がついています。
台茶1号、2号、3号…今回の台茶24号。
筆者が個人的に馴染み深いのは「台茶18号」です。
通称、「紅玉」と言われる、紅茶用品種です。
※りんごではありません
初めて≪台湾の紅茶≫と聞いて飲んだのがこの「紅玉」で、スリランカのウバのようなサリチル酸メチル(スーッとした薄荷のような香り)を感じ、強く印象に残っていました。
紅茶を例に出したので、日本の紅茶品種で見てみますと「べにふうき」という品種があります。
「べにふうき」は<べにほまれ>と<枕cd86>を親に持ち、鹿児島県枕崎の茶業試験場で育てられました。
1993年には≪茶農林44号≫として品種登録がされています。
ちなみに、農林水産省の品種登録ホームページにていつ登録されたのか等が検索できます。
そもそも育種って何?
そうそう、そもそも育種って何?という方もいらっしゃるかと思います。
筆者もよくわかっていませんでした。(今も細かいところは分かりません。やったことないから)
かなり前に試験場に話を伺いに行った際、お話を伺ったことがあります。
“チャノキ”(学名カメリア・シネンシス)は基本的に自家受粉しません。(他花受粉)
つまり、花が咲いて、自分のおしべとめしべ同士では受粉しないため他の個体の花粉を必要とします。
そのため、茶業試験場では茶の花が咲くと、育種したい品種の花粉を取り、違う品種に受粉させます。
そして、他の花粉が混じらないように花に袋を被せ、実が成るのを待つそうです。
結実しないこともあり、結実したものを土に植えても発芽しないものもあり…。
さらに、発芽して数年経っても枯れたり、うまく育って新芽を取って茶を作っても病害虫に弱く品種として登録できなかったり…。
さらに言うと、ある程度病害虫に強いとか耐寒性があるとか、新品種として特徴があるものは、農家さんに里子に出され、実際その土地でどのように育つのかを調べます。
よって、たった一つの品種が生まれるのにも十数年かかるということでした。
話を伺っているだけでも途方に暮れました…。
研究員一人が一つの品種を生み出すだけでも奇跡に近いんじゃ…?
品種って簡単に言うけど、ものすごいたくさんの方のたくさんの貴重な時間が費やされて生まれているのだと思うと堪らなく愛おしく思えます。
と。
ちょっと余談が過ぎました。。
今回の台茶24号は原木が氷河期のもの、とのことですので種が見つかったのでしょうかね?
それを茶業改良所で大切に大切に育てて、挿し木で増やして…とやったのではないかと勝手に推察します。(違ったらごめんなさい)
【追記】
中央通訊社の記事に記載がありました。
氷河期の遺存種で、「台茶」シリーズの中で初めての在来種の山茶となるそうです。(2019/8/8)
結び
台茶24号の≪マッシュルーム、アーモンド、珈琲≫の香りが、緑茶、烏龍茶、紅茶と作り分けた時にどのような変化を見せるのか、味はどうなのか、非常に気になります。
台茶23号もデビューしたばかり。
※こちらは紅茶用品種とのこと。
日本の新しい品種も全く飲めていないっていうのに、世界中でどんどん新しいお茶が出てくるから大変です。←
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チャノキに限らず、お米や野菜なども美味しいものや珍しいものが年々増えていくのは、農業試験場(研究所)の方々のおかげですね。
農業(茶業)の奥深さを感じつつ、今後も新品種の動向を追っていきたいと思います。
▼参照:行政院農業委員会茶業改良所HP
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