「茶の湯の歴史を問い直す」シンポジウムに参加して①

茶の湯の歴史を問い直す2 日本茶

少し前になってしまいましたが「茶の湯の歴史を問い直す」シンポジウムに参加してきました。

■日時 2023年7月29日(土)13時~16時半
■場所 日本教育会館8階会議室

お恥ずかしいことに、茶に長く携わりながら筆者は茶道も習ったことがなく、茶の湯の歴史もほとんど知りません。

禅語や茶道の精神性は時折耳にはするものの、その世界に足を踏み入れたことがない故に縁遠いものとなってきました。

そんな筆者が「茶の湯の歴史を問い直す」のシンポジウムで何を感じたのか、率直に素人目線で感想などもお届けしたいと思います。

「茶の湯の歴史を問い直す」とは?

昨年(2022年)筑摩書房から出版された本のタイトルになります。

14名の研究者の方たちが様々な分野から茶の湯について考察した本になっています。

以前にもご紹介していますが、「筆者おススメの本④ー茶道教養講座14 日本茶の歴史ー」筆者の橋本素子先生。

東京国立博物館主任研究員の三笠景子先生、九州歴史資料館学芸員、神奈川県立歴史博物館学芸員、北海道大学文学部教授などなど。

興味深いことに「茶道家」というような肩書の方は主におらず(茶道をなさっている方はいらっしゃいますが)、多分野の専門家が客観的に茶道の歴史を研究していることが分かります。

第1講「茶の湯の歴史を問い直してみた!」(橋本素子)

橋本素子先生は専門が日本中世史。
2001年より新しい研究分野である「日本喫茶文化史」を提唱。

喫茶文化史とは?
➡中国から伝来した喫茶文化が、寺院社会を窓口として日本に受容され、遊芸・宗教儀礼・政治儀礼などの経路で戦国期までに庶民層にまでに受容される。その中から「茶の湯」などの新しい喫茶文化が生み出され、それが「日本文化」となるまでの歴史。なお分析の際、すべての茶に関わることがらを対象とし、生産・流通・消費を一貫してみる。
▼引用:シンポジウム茶の湯の歴史を問い直す配布資料

代表的な著書には先ほどご紹介した
■茶道教養講座14 日本茶の歴史
■中世の喫茶文化史
がある。
▼参照:筆者おススメの本④ー茶道教養講座14 日本茶の歴史ー

■茶の湯の原型■

1,茶の湯の意味

茶の湯の意味は次第に意味が加わり、史料ごとにも意味が異なっている
南北朝期には<茶を立(点)てる湯>のことを指していたが、戦国時代には<後の茶道に繋がる芸能・芸道>になっていった。

2,茶の湯の原型とは?

足利将軍が臣下の屋敷や寺社に行き飲食・芸能のもてなしを受ける<御成(おなり)>であろう。

①<御成(おなり)>は<茶の湯>のプログラムに似ている
②茶道具の種類が共通している
③<茶の湯>に引き継がれた作法がある

3,「式正御成(しきしょうおなり)」プログラムには「茶会」はないし、「書院」という建物もない

※式正御成(しきしょうおなり)は寝殿と会所というところでフルコースのもてなしを行うもの(3回酒ご飯を繰り返し、また食事を食べ、御菓子というつまみを食べ、また酒とご飯を4回~10回ほど繰り返す)

3回酒とご飯を食べた場所から移動して御休憩する場所に茶の湯の道具が置かれている。
中世喫茶文化より
▼引用:中世の喫茶文化史P114より

足利将軍は盛大な茶会を催したと一般的には言われてきたが実は違う。
御休憩の際にうがい(うかいちゃわんが置かれていることから)をしたり、お茶を所望した時に出せる程度に茶の湯の用意があったようだ。
(たくさん食べたり飲んだりした際の二日酔い予防や消化促進に使われている?)

■茶の湯の成立■
1,「茶の湯」の定義➡茶室・道具・手前・膳部(食事)・茶から成り立つ

「御成」のもてなしから「茶の湯」への変化
御成の時には御休所、御茶湯が茶室へと変化し、既存の家具が「茶湯棚」となり、手前(点前)を見せるように変わっていく。

戦国期から武家儀礼「御成」のもてなしと「茶の湯」が併存する

これら二つの文化を大名はどのように見ていたのか。
大名からの視点でこの二つの文化を調べていく必要がある。
☞次の梯先生の話に繋がっていく

(疲れたので梯先生の内容は次回へ!)

「茶の湯の歴史を問い直す」シンポジウムに参加して①の結び

橋本素子先生の著書を数回目を通していますが、その度ごとに新たな発見があります。(多分見ても頭に入ってないだけ汗)

また、オンライン講座も時折受けています。
もちや文庫

正直、本を読んでみてオンライン講座を受けてみても、はじめはキョトンという感じだったのです。(;^_^A

しかし、少しずつ少しずつ何度か目にしたり耳にしたりしているうちに次第に頭の中がクリアになっていき、点と点がつながっていきます。
この感覚、とても気持ちいいんですよ!

茶道をやっている人も、お茶好きでも歴史はあまり…という筆者のような方にも是非読んだり聞いたりしていただきたいと思っています。

今回のシンポジウムはあくまでも「茶の湯の歴史を問い直す」を読み解くための簡単な説明をしてくださっている内容ですので、本を改めてしっかり読みたいと思っています。

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