茶の慣行栽培と有機栽培について②~有機栽培=安心安全か?~

新芽綺麗 茶を育てる

前回の投稿でざっくり有機栽培や慣行栽培についてまとめてみました。
▼参照:茶の慣行栽培と有機栽培について①~農薬や化成肥料などなど~

今回はズバリ、「茶の有機栽培=安心安全?」について触れていきたいと思います。

なんとなく心理的に有機栽培のものは安心安全、と思ってしまうものです。
筆者自身も実はそうでした。

しかし、「有機栽培=安心安全」と安易に紐づけして良いのでしょうか。

茶(食)の安心安全とは?
考えてみたいと思います。

あくまでも筆者の考えるところであることをご了承ください。
ご意見等ありましたら是非ご連絡ください。

「安全」と言う言葉について

「食の安全と言う言葉の定義を教えて」とChatGPTに聞いたところ以下の回答を得ました。

食の安全とは、人が食品を摂取する際に健康への悪影響を引き起こす可能性がないことを保証することを指します。つまり、安全な食品は、人体に有害な物質が含まれていないだけでなく、衛生的に生産され、保存され、調理されていることが求められます。食の安全は、食品生産から流通、販売、調理、消費に至るまでの一連のプロセスにおいて確保される必要があります。また、食品の品質や栄養価についても考慮する必要があります。食の安全は、食品衛生や衛生管理の観点から、法律や規制によっても保護されています。

「茶」も口に入るという意味では「食品」ですから、食の安全についてChatGPTに聞いてみた訳ですが、”人体に有害な物質が含まれていない””衛生的に生産され、保存され、調理されている”ことが「=安全」だと言えるかと思います。

ではお茶に限定した場合はどういう回答になるでしょう。

ズバリ、「有機栽培の茶は安全か?」とChatGPTに聞いてみました。

有機栽培の茶葉は一般的に安全と考えられています。有機栽培は、化学的な肥料や農薬を使用せずに栽培された作物であり、作物が健康であることを確保するために、自然な肥料や防虫剤、除草剤が使用されます。このため、有機栽培の茶葉には、有害な化学物質の残留物が含まれる可能性が低くなります。

ただし、有機栽培の茶葉にも、適切な管理が行われない場合には安全性に問題がある可能性があります。また、茶葉が栽培される土壌や水源が汚染されている場合には、有機栽培であっても安全性に問題がある可能性があります。

そのため、茶葉を選ぶ際には、信頼できる生産者から購入することや、生産者の栽培方法や品質管理について調べることが重要です。また、茶葉の製造過程においても、適切な衛生管理が行われているかどうかを確認することが重要です。

【補足】自然な肥料や防虫剤、除草剤とは?
こちらはBingAIチャットに聞いてみました。
有機栽培で使用してよい農薬や化学肥料は、日本では有機農業推進法によって「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組み換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法と用いて行われる農業」です。つまり、有機栽培で使用してよい農薬や化学肥料は、化学的に合成されたものを使用しないものです。

ここで改めて「有機栽培茶が安全」であると言い切るには、
1,有機農業推進法に基づいた栽培をしているか
2,汚染されていない土壌や水源で栽培されているか
3,きちんとした衛生管理がされているか

がポイントかと思われます。

有機栽培茶は安全であり、安心でもあるのか?

ここで少しややこしいことを書いてみます。
今まで「有機栽培茶は安全か」についてまとめてきました。

ここからは「有機栽培茶は安心か」についてです。

上記でまとめた通り、栽培面、衛生面を合わせて国が定める有機農業推進法に基づいて有機栽培を行っていれば、「有機栽培茶=安全」と言えるのではないかと思います。

しかしながら、近くのスーパーの片隅や小さなお店の店頭には”有機栽培認定されていない(JASマークがついていない)”けれど「安心安全な」「体や自然に優しい」「無農薬」という謳い文句がついた野菜やお茶を見かけませんか?

ネット検索してもたくさん出てきますね。

たくさんの”有機栽培認定されていない(JASマークがついていない)”ものたちについてはどう考えますか?

少し筆者のことを例に出します。

◎無農薬、無化学肥料で茶を栽培している。
◎畑はいくつかあるが、ほとんどは他の畑から離れており人家が隣にあるところもある。(=農薬の飛散はほぼない)
◎(きちんと調べた訳ではないため仮定だが)人が住んでいる地域ということで水の汚染もない。
◎小さい工場はいつも綺麗に掃除をし、茶を製造する時以外には使わないよう衛生管理に気を配っている。
◎茶を詰めるのも手袋をし、マスクや帽子を被って密閉された場所で行っている。
◎袋には乾燥材や脱酸素剤などを入れて出来る限り茶葉が良い状態を保てるようにしている。

有機栽培茶に準じた作られ方をしているように見えると思います。
ですが、”有機栽培茶”とは謳えません。

何が言いたいかというと、筆者のようなマクロ茶農家にとって”有機栽培茶”と認定してもらうのは相当にハードルが高いのです。

細かい規定があり、手間も時間もかかるだけではなく多大な費用もかかってきます。
とてもじゃないけれど、いくら取りたくても、有機JASは取れません。
それを上回る売上を確保できるほどの量を作れません…。

恐らくそういう小さな農家は茶業だけではなく多くいらっしゃるのではないかと思います。

簡単に誰でも有機栽培茶と名乗ることが出来ないということはつまり「有機栽培茶=安全」、少なくとも「一番安全に近い」と言えます。

だからと言って、”有機栽培認定されていない(JASマークがついていない)”茶がすべて安全ではない、とも言いきれないのです。
少なくとも筆者は自身の茶を100%とは言い切れませんが安全だと言えます。

安全なのか?安心なのか?

有機栽培茶でなくても、安心な茶はあるのです。

ここでは「安心」と「安全」は違う言葉であるということをご認識いただきたいのです。

BingAIチャットに「安心」と「安全」はどのように違うのか聞きました。

安心」とは「心配事がなく、精神的に落ち着いた状態が続いていること」を指し、「安全」とは「事故や災害などにより危険にさらされる心配がない安らかな状態」を指す。 「安全」の「全」はすべてという意味があるので、女性が穏やかな生活を続けられる、すべての状態を意味する。 「安全」は客観的なものであり、科学技術やデータを用いて作り上げていく。 安心」は主観的な判断が主であり、信頼するという人間の心に強く関係する。

そうなんです。

「安全」であることは国が定めていることを守って、客観的な判断がなされれば最低限保障されるのです。

しかし、「安心」は国が定めるものではありません。

では、誰が「安心」だとするのでしょう。

それは消費者に違いありませんよね。
我々一人一人です。

例えば、親戚のおじいさんが茶を育てていて、農薬は使わず手で害虫を潰し、汗水垂らしながら毎日雑草を手で抜いている姿を見ているとします。

挨拶すると笑顔で返してくれて、作った茶をくれる優しいおじいさん。

あなたはそのおじいさんを応援したくなりますよね。
その人が作ったものを無農薬だから安心な茶だと思うでしょう。
その人が一生懸命作った茶は濃厚な旨味があって美味しい、と感じるでしょう。

……。
でも、実はおじいさんが実は茶の旨味を多くするため、土壌が汚染されるほどの異常な量の化学肥料を与えているかも知れない、ということは考えないものです。

「安心」と見せかけて、実は「安全」とは言い切れないこういったケースが全くないとは言い切れません。

でも、あなたが見た優しいおじいさんからいただく茶は安心だと感じるのです。

その「安心」はあなたの心がそう判断しているから。

「安心」と「安全」にどう向き合うべきか

安心か安全か

まずは「安心」と「安全」を切り分けて考えていくべきではないかと最近考えています。

「安全」が保障されている上で、気分的に「安心」して買えるものがベストです。

ですが、大抵のものは表面的には同じに見えます。
茶の場合で言えば、茶葉を見たところで、飲んでみたところで、安全かどうか簡単に分かるものでもありません。
明かな異物が入っていたりすれば分かりますが、農薬を過剰にかけた葉と全くかけてない葉の違いなど一般的には分かりません。

例えすべてを見極めることは難しくとも、消費者である自分自身が、我々一人一人が、口に入れるもの(ここでは茶ですが)について「知ろうとしなければいけない」のだと思います。

残念なことに国内での茶の消費量は減り続け、物価は上がり続け、安いもの、安いものと追い求めがちです。

また、オーガニック万歳、有機栽培でなければ認めない、と非常に偏った考えを持っている方たちも増加しているように思います。

「安ければよい」でもなく、「有機栽培であればよい」でもなく、食品表示をしっかり見て、HPを見て、判断して購入する力を身に付けなければならないと思うのです。

茶に関して言えば、売り文句に流されない、販売員の口車に乗せられないなども大切になってきます。

嘘だらけのSNSも世の中にはあふれかえっています。

疑問に思ったことを販売員に尋ね、きちんと答えられるような知識を持ち合わせている人のところで購入すべきだとも思います。

時代は確かに生産者の顔が見えるような農業、人にも地球にも優しい農業を求めています。

安全であることは言うまでもなく、消費者に安心を与えられるような販売者、生産者が今後は勝ち残っていくのでしょう。

それは茶を作る現場にいる筆者にも言えることで、書いていて耳が痛いです。。

偏らず。
騙されず。
正しい眼で見る。

消費者も販売者も生産者もそうやって信頼を重ねていくしか方法がないのではないでしょうか。

コロナ禍で制限されていましたが、消費者と生産者が触れ合う機会がまさに今後安心安全な茶を一緒に作り上げるために必要だとも感じています。

茶(和紅茶)でいえば、かなり前に書いたブログにいくつか生産者と会えるイベントのことを書いていますので参照ください。
▼参照:日本でも紅茶が作られている?-和紅茶(国産紅茶)の歴史やイベントなどについて-

結び

うまくまとめきれていないのが悔やまれるのですが…。

今後また少しずつまとめたり、整理していきたいと思っています。

「有機栽培=安心安全」とは言い切れず、慣行だからとか農薬をかけているから危険とも言い切れません。
そういう表面上の言葉に流されないでほしいのです。

有機栽培だからと言って美味しい茶とは言い切れないケースも多々あります。

また、お茶作りをするようになってよくわかったことがあります。

筆者の畑は確かに無農薬、無化学肥料です。
ですが、製法によって胃にダメージを与えるような茶が出来る場合もあります。

飲んだら具合が悪くなるような茶も色々作り出せます。(笑)

大事なのは茶農家がどういう茶を目指し、その目指した茶に行き着くためにどういう畑の管理をしているかだと思います。

弱った幼木が数枚の新芽を伸ばしていたら、その芽が光合成しなければ木は死んでしまいます。
新芽は害虫にやられやすいですから、農薬をかけて守ってあげることも必要でしょう。

葉を落としている茶の木には即効性のある化成肥料を与える必要もあるでしょう。

「農薬、化成肥料=悪」という安易な考え方もどうかと思います。

このあたりはまた改めて書きたいと思っていますが、いつになるやら。。

うまくまとまっていないような気がしてなりませんが、一旦上げます。
ここはオカシイということがあればご指摘ください。

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