東京オリンピック・パラリンピックに向けた茶の取り組み。GAPについて。

茶のニュース





2020年の東京オリンピック・パラリンピックももう間もなくですね。
世界各国から多くの外国人の来日を見込み、様々な取り組みが行われています。

例えばこの世界的なイベントに向けて、イスラム教徒の方の食事を出すための「ハラール認定」を取得する飲食店も増えているようです。

宿泊先や飲食店などでは特に外国語で対応ができるスタッフの雇用、メニュー作り等に力を入れているところも増加しているとのこと。

日本の農作物や茶も着々と世界を見据えた取り組みが進められています。

GAP(ギャップ、Good Agricultural Practice)認証を知っている?

農林水産省のHP には「GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)とは、農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組のこと」と記載があります。
▼参照:農林水産省HP

GAPにはいくつか種類があります。

■GLOBALG.A.P

ドイツの非営利団体が始めた認証制度が現在はGLOBALG.A.Pとなり、欧州を中心に世界120か国で実践されています。
対象となる農作物を欧州へ輸出する際には原則GLOBALG.A.P認証を取得する必要があります。

■JGAP

日本発のGAPです。
一般財団法人日本GAP協会」にて、第三者認証制度が行われています。
対象となるのは、穀物、青果、茶です。
※第三者認証制度は民間団体が審査を担い、認証をする制度です。

■ASIA GAP

JGAPと同じく「一般財団法人日本GAP協会」の認定制度で、国際認証制度を目指しています。
国際基準であるGLOBALG.A.Pを日本の環境に合わせているもので、160項目以上の基準が設けられているため、取得が難しいとされています。
対象となるのは、JGAPと同様に穀物、青果、茶です。

 

他にもJAやイオングループなどの各団体ごとのGAPもあり、目指すところは「食品安全」や「環境保全」等になります。
しかし、その基準にはばらつきがあるため、消費者もよく見極めなければなりません。

実は東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は食料調達基準を設けており、GAP認証されていることが必須条件になっています。
世界中の方へ自身(自社)の農作物を世界へアピールすることができるチャンスですので、GAP認証を急ぐ企業や生産者が急増しているとのこと。
▼参照参照:日本GAP協会

茶産地での取り組みは?

JGAPを数年前に取得した農事組合法人では、以下のような効果が見られているそうです。

・継続した顧客との取引
⇒JGAPやISOを取得することにより、顧客に安心感を与えることが出来る
・農薬の扱いなどに対する意識の向上
⇒JGAPの内部監査が定期的に入ることにより、働く人たちの意識の変化がみられる
・データの習慣化における、在庫管理改善や経営改善
⇒常に様々な場所でデータを取ることにより、不良在庫の削減等も明るみに出て経  営改善に繋がる
・茶の品質改善
⇒データ収集により、より良い状態での摘採時期の把握や製茶方法を行うようになる

「長年の勘」のみで作られる茶ではなく、データに基づき製茶することが可能となれば、より良い茶作りを効率的に行うことができます。




2018年8月29日に、鹿児島での農作物のGAP認定が加速しているというニュースがありました。
平成30年3月時点で、鹿児島県内の623もの農場でGAP認定がされているとのこと。
さらにその数を増やそうと県を挙げて動いています。

鹿児島県だけではなく、静岡などの茶産地でも少しずつGAP認証を取得を進めています。

取得することにより、付加価値が付き「茶生産全体の底上げ」を計りたいところですが、問題はGAP自体の認知度の低さです。
農業従事者は6~7割程度が認知しているものの、消費者に至っては3~4割程度です。

東京オリンピック・パラリンピックにて一般の方へのGAPの認知度が上がり、消費者にその取組みの意義が伝わるようになることを願います。

結び

JGAPのように、国際基準に準じた基準をクリアすることにより、海外からのお客様へ茶の安全性や信頼性を訴求することが可能です。
また、輸出への準備として自社の管理体制などを見直す機会にもなります。

多くの基準がありますので取得は簡単ではありませんが、海外への輸出も視野に入れている企業や農場では今回の東京オリンピック・パラリンピックを機にGAP取得にチャレンジしていただきたいと思います。

日本茶は現在国内需要に留まらず、海外へ販路を求めている企業や農家が増加しています。
しかし、例えば農薬は日本国内と欧州連合(EU)での使用基準量にはかなりの差があります。

日本茶が今後より世界の方へ飲んでいただけるように、世界基準に焦点を合わせて行く農家や会社が増えていくと良いと思います。



コメント

タイトルとURLをコピーしました