茶の新品種が今後はスピーディに増えるかも?-静岡大がDNA情報から茶の新育種技術を開発ー





お茶好きな方でしたらあちこちでこのニュースを目にしたのではないかと思います。

そして、とても期待を持って読んだことと思います。
筆者も当然その一人。

本を読んだり、実際に育種を行っている農家や茶業研究所の話を聞いて育種がどれほどの時間と労力がかかるのかを認識しています。
▼参照記事:台茶24号誕生!台湾生まれ台湾育ちの新品種?!

新しい品種が生まれるまで20年~30年は普通にかかってしまうため、自身が生きている間にあといくつの品種と出会えるのだろう、と思ったことがあるくらいです。(笑)

それが今回の研究によってかなりスピーディに今後新品種に出会えるようになるのではないかと期待しています。

育種について

筆者も現在種から茶を育てています。
▼参照記事:茶を育てる‐種から育てる編-
▼参照記事:茶を育てるー種から育てる編②ー
▼参照記事:茶を育てるー種から育てる編③ー

以前の記事中にも流れは書いているのですが以下のような流れです。

①めしべに交配させたいおしべの花粉を受粉させる
②1年後に結実したらその種を植える
③芽が出てきたらそのまま5年ほど育てる←筆者はイマココ
④芽が摘めるようになったら、少量で緑茶、紅茶、烏龍茶等を作ってみる
⑤適性がありそうだと判断すれば、挿し木をして増やす
⑥苗を農家にも配って、活着具合や耐寒性等を判定する
⑦合格すると名前がつけられ、農林認定品種の登録がされる

※民間育種もあるので、これ通りではない場合もあります。
※あくまでもざっくりであることをお許しください。

①~②の間に1年。
②~④までで5,6年。
⑤で2,3年。
⑥~⑦で8~10年ほど。

この通りにざっくり、スムーズに進んだと考えたとしても15年程度はかかってしまうのではないでしょうか…。

まず①で受粉させても②で結実しないことも非常に多いそうです。

研究員の方たちが育種している間で見られる新品種は数種類ほどしかなく、運が悪ければ一つも見られない場合もあると聞いた時は衝撃でした。。

自分の子どもを産み育てるくらいの覚悟でやらないといけないものだと。

大変…。
その一言に尽きます。



今回開発された新育種技術とは?

今回の論文はこちらで見ることができます。
Genomic predictions and genome-wide association studies based on RAD-seq of quality-related metabolites for the genomics-assisted breeding of tea plants

【概要】

150品種の同時期に出た新芽の一芯三葉を摘み、1時間以内に-30℃で冷凍。

凍結乾燥後、粉末にしたもので実験。
※施肥は日本の緑茶用と同じもの

そこから遺伝子検査を行い、EC、ECG、EGCG、総合カテキン、カフェインの含有量を調査、解析。

発芽して新芽があればこの遺伝子情報を調べることが出来るため、交配して発芽した種の特色を迅速に見通せる。

※具体的な実験の様子などは筆者には分かりかねますのでご自身でお読みください。

これにより、「育種について」で記載した③~⑤くらいまでの時間をごっそり短縮できるようになるのではないか、と言われています。

また、広いほ場も必要がなくなるとのこと。(育てて製茶しなければいけなかったのでどうしても広いほ場が必要だったのです、従来は)

今後、遺伝子情報を蓄積していき、オーダーメードの品種等にも対応していく予定だそうです。

この短い情報だけでも、非常に今後の育種が期待できます。

筆者の気になっているところ

The 150 accessions comprised three subspecies: 83 Japanese var. sinensis, 38 exotic var. sinensis, and 29 Assam hybrids.

論文中にこのようにありましたので、29種類(アッサムハイブリッド)には紅茶や烏龍茶向きの品種も含まれていると考えられます。

日本の気候や土壌で、インドやスリランカのような紅茶を作れる品種が生まれたり、台湾や中国のように美味しい烏龍茶を作れる品種も出てくる可能性があると考えられます。

今現在進行形で茶を育てている人間からすれば、非常に楽しみです。

ただ、今回の研究ではEC、ECG、EGCG、総合カテキン、カフェインのみでしたので、香りや味についてはさらなる研究に期待するしかありません。

また、香りや味は製茶による複合的な産物の場合が多いのでその辺りはやはり農家が実際に作ってみてから判断できることなのかも知れません。

先ほどの研究がそのまますぐに適用され、今後有用な新品種をバンバン作るとすれば「花粉症に効果がある」とか「動脈硬化を防ぐ」というような「機能性成分高含有」品種がメインになるのでしょう。

いずれにせよ、非常に面白い研究ですので今後に期待していきたいと思っています。

結び

多くの人が茶に求めているもの、と考えるとやはり「飲むと痩せる」とか「花粉症状が改善した」というような薬効成分なのでしょうね。

筆者は「美味しいから茶を飲む」派ではありますが、人間の体への有用性があるものの方が進化していくのでしょうから致し方ありません。
▼参照記事:茶を飲むのは体に良いから?茶=薬?特定保健用食品?機能性表示食品?(追記あり)

ですが、そこからもっと美味しいお茶を作れる品種が生まれ、茶のバリエーションが広がるのは楽しいことです。

新型コロナウイルス関連で茶の価格が落ち、茶を栽培している世界中の産地が茶離れを起こしつつあります。

そのためには、不要なものをそぎ落とし、未来に向けた改革がより一層必要になってくることでしょう。

世界中の茶産地でも同様の研究が進んでいくことを切に願います。

品種については以下参照いただければ幸いです。
▼参照記事:日本の茶には様々な品種がある?品種について学びたい!
▼参照記事:世界お茶まつり2019!<セミナー編④>「茶の品種から考える<これまでとこれからの日本茶>」



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