どうしても新型コロナウイルス絡みのニュースばかり見てしまいますね。。
今回も新型コロナウイルス関係です。
少し前ですが消費者庁から新型コロナウイルス予防効果を標ぼうする商品への注意喚起が行われました。
※第2報が昨日3/27に出ました。
時折SNSで、一般の方のみならず茶関係者までもが「茶はコロナウイルス予防に効果がある!」と言っているものを見てヒヤヒヤしています。
人の弱みに付け込む商売には腹が立ちますが(転売ヤーとか)、茶業者も注意しないとうっかり関係してしまう可能性があり得るこの問題。
少しまとめてみました。
消費者庁からの注意喚起の内容
消費者庁では令和2年2月25日~3月6日(第2報では3/9-3/19)までの間、新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうするウイルス予防 商品の表示について、景品表示法(優良誤認表示)及び健康増進法(食品の虚偽・誇大表示)の観点から緊急監視を実施。
この結果、インターネット上の広告にウイルス予防商品を販売している30事業者、 46商品(第2報では34事業者、41商品)の表示について新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする文言等があったとのこと。
一般消費者が当該商品の効果について誤認をし、新型コロナウイルスの感染予防について誤った対応をしてしまうことを防止する観点から、当該表示を行っている事業者等に対し、緊急的に改善要請等を行いました。
当該事業者がオンライン・ショッピングモールに出店している場合には、ショッピングモール運営事業者に対しても協力を要請。
(第2報ではさらに、マスクの在庫がないにも関わらず、チラシ等にあたかも在庫があるように表示している2事業者に、景品表示法(おとり広告告示)の観点から再発防止の指導を行ったとあります。 )
▼参照:消費者庁HP
例としていくつか実際の表記法が掲載されています。
以下のような表記はアウトです。
・新型コロナウイルス対策、ポリフェノールとカテキン
を配合した青汁
・非常に強力な抗菌、免疫賦活の特質の精油を配合、新
型コロナウイルス(COVID-19)の予防対策用ブレンド
精油。ラビィンツァラ、タイム、スターアニス、ジンジ
ャー、シナモンカシア他 12 種類の精油をブレンド。
・新型コロナウイルス肺炎対策に、肺炎の改善に関する
特許を取得した乳酸菌
・新型コロナウイルス対策に!光触媒/除菌・抗菌・消臭
スプレー、マスクや服に吹き付けたり、ソファーや壁、
空間に吹き付けてもOK
タンポポ茶で家宅捜索
2020/3/19のニュースで、大阪にある薬局が“新型コロナウイルス感染予防に効果がある”と違法に宣伝し、店内のチラシ等にも効果を書き込んでいたとのこと。
医薬医療機器法違反の疑いで家宅捜索が入りました。
消費者庁の注意喚起は2020/3/10に出されていますので、その直後にこちらの家宅捜索が行われたようです。
この手の話は通常の時にもあるものですが、新型コロナウイルスに対する不安が高まっている今、軽率に「〇〇に効く!」と謳ってしまうのは非常に危険です。
第2報を確認したところ、こちらにも違うところのタンポポ茶の文言が掲載されています…。
こんなにも大々的に家宅捜索のニュースがあったというのに…。
▼関連記事:茶を飲むのは体に良いから?茶=薬?特定保健用食品?機能性表示食品?(追記あり)
▼関連記事:麦が珈琲に?!キリン CEBADA!代用コーヒーの代表、たんぽぽコーヒー(茶)とは?
ちなみに、医薬医療機器法違反とは
正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。
一般的に「薬機法」と呼ばれています。
目的としては、以下「第一章 薬局」に記載があります。
「第一条 この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。(国の責務)」
▼参照:e-Gov
「品質、有効性及び安全性の確保」がなされていない、つまり「新型コロナウイルスの感染予防に効果があるかどうか」の有効性は確保されていないということです。
消費者庁のHPには、
新型コロナウイルスについては、その性状特性が必ずしも明らかではなく、かつ、 民間施設における試験等の実施も不可能な現状において、新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうするウイルス予防商品については、現段階においては客観性 及び合理性を欠くものであると考えられ、一般消費者の商品選択に著しく誤認を与 えるものとして、景品表示法(優良誤認表示)及び健康増進法(食品の虚偽・誇大 表示)の規定に違反するおそれが高いものと考えられます。
と記載されています。
現状、何が予防効果があるのか、研究することもできないような状態であるわけですから販売者としては「新型コロナウイルスの予防に効果がある」という文言は決して使うべきではありません。
茶の世界ではどう?
実は消費者庁の第2報で「緑茶に含まれるカテキン類が新型コロナウイルスに効果的 」という文言もアウトになっています。
▼参照:消費者庁HP
大きな声では言えませんが、実際にお茶屋などで「茶カテキン(茶ポリフェノール)は抗ウイルス作用があるから、新型コロナウイルスの予防にもなる」というようなことを言っている方を何名も見かけています。。
いやいや待て!!!(;´Д`)
と、今も似たようなSNSを見る度にゾッとします。
タンポポ茶の件はタンポポ茶自体に全く罪はありませんが、こうした販売者によってタンポポ茶やタンポポ茶を販売している人たちに対しても少々疑いを持ってしまう方もいらっしゃることでしょう。
他のタンポポ茶を正しく販売している人たちにも迷惑がかかるのです。
すでに正しい研究によって明らかになっている効能等までもが疑われてしまう可能性を秘めているのです。
茶も同様なことが起こったら大変です。
筆者はそれを常に懸念しています。
もちろん多くの茶関係者はきちんと調べて、そのような軽率な言葉は口にしていません。
二度目となりますが、現状新型コロナウイルスの予防として何が効くのか、コロナウイルス自体について明確になっていないのですから分かるはずがありません。
研究者でもないあなたに何がわかるっていうんですか?という話ですよ!
まだ特効薬さえ世に出回っていないのですから…
茶業界全体への信用を失いかねませんので、筆者も含めて気を付けていくべきだと思います。
もし予防になると言うのであれば、正式な研究結果等の根拠を示すようにしましょう。
筆者自身もお茶を応援するものとして、「可能であれば新型コロナウイルス予防に効果があるというような研究が明なされればよいのに…!」と心の中で思っています。おそらくあちこちで研究中ではあるはずですので。
結び
少々感情も入った内容となってしまいましたが、こんなことを書くのには訳があります。
お店をやっていた頃、自身の勉強不足によりお客様に誤った案内をしてしまったこと、狭い世界にこもって、知識が足りなかったことが多々ありました。
今もそれはずっと後悔しています。
そしてずっと茶に携わっている大先輩たちは常に情報を更新し、時代の流れに合わせていらっしゃいます。
だからこそ信頼され、継続できているとも言えます。
新型コロナウイルスという未知のウイルスに遭遇している今、多くの方が不安を感じ恐れています。
そこに付け込むような販売方法、デマに近い情報を流すことや誇大広告等は茶に関わる人間として決して行ってはいけないと思います。
筆者も末席ではありますが、茶に携わる者として「正しい情報」を伝えることが責務だと感じています。
とはいえ、このブログも誤っていることがあるかも知れません。
出来る限り自身で調べて書いているつもりではありますが、足りない部分は是非ご教示ください。
笑うことは免疫力を高めると言います。
茶を淹れ、お菓子をほおばり、楽しい会話をすることはきっと免疫力を高めることにつながるでしょう。
手洗い、うがい、マスク、+αで「茶を飲む時間」を是非加えてください。
そうして、ウイルスに打ち勝ちましょう。
茶とともに!
【追記】
2020/3/30 APF通信でも「お茶を飲むことが新型コロナウイルスを治したり回復させるということに根拠がない」と言っています。
度重なるSNSでの投稿があるためだと思われます。。
▼元記事:No evidence drinking tea can cure or relieve symptoms of COVID-19, doctors say
【追記2】
▼参照記事:【新型コロナウイルス関連】進められている研究ー果たして「茶」は新型コロナウイルスに効果があるのかー
▼参照記事:「お茶で新型コロナを無害化」研究報道に関するあれこれ
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