南アフリカの「ルイボスティ」がEU認定入りー原産地呼称保護(PDO)と原産地保護制度(PGI)

ルイボス赤 茶外茶


もう2週間程度前のことですがいつものごとく、茶のニュースをチェックしていると「ルイボスティ」がEUのPDOに認定されたという記事がありました。
▼元ネタ:S.Africa’s rooibos tea joins champagne on EU protection list

PDOとはThe protected designation of originの略で、日本語では「原産地呼称保護」と言われています。

以前にご紹介したGI(geographical indications、日本語では地理的表示保護)と共に認証制度として有名です。
▼参照記事:インド、アッサムティの地理的表示(GI)保護制度

また、ルイボスティについては前回書きましたのでこちらを参照ください。
▼参照記事:ノンカフェインで多くの効能があるルイボスティ!どうやって栽培され、作られているの?

原産地呼称保護について

以下An official website of the European Unionよりそのまま引用させていただきました。

Protected designation of origin (PDO)

PDOロゴ
Product names registered as PDO are those that have the strongest links to the place in which they are made.

■Products
Food, agricultural products and wines

■Specifications
Every part of the production, processing and preparation process must take place in the specific region.

For wines, this means that the grapes have to come exclusively from the geographical area where the wine is made.

■Example
Kalamata olive oil PDO is entirely produced in the region of Kalamata in Greece, using olive varieties from that area.

Label
– Mandatory for food and agricultural products
– Optional for wine

Protected geographical indication (PGI)

PGIロゴ

PGI emphasises the relationship between the specific geographic region and the name of the product, where a particular quality, reputation or other characteristic is essentially attributable to its geographical origin.

■Products
Food, agricultural products and wines

■Specifications
For most products, at least one of the stages of production, processing or preparation takes place in the region.

In the case of wine, this means that at least 85% of the grapes used have to come exclusively from the geographical area where the wine is actually made.

■Example
Westfälischer Knochenschinken PGI ham is produced in Westphalia using age-old techniques, but the meat used does not originate exclusively from animals born and reared in that specific region of Germany.

■Label
– Mandatory for food, agricultural products
– Optional for wines

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お茶の場合を簡単にまとめますと、

■PDO
→特定の地域の受け継がれた伝統製法でその地域で生産、加工、包装されているもの。

■PGI
→製品の品質や評判が特定の地域と密接に関連しているもので、特定の地域にて生産や加工または包装された製品であることを示しているが、原料は必ずしもその地域とは限らない。

となるかと思います。

ダージリンの例で言えば、PDOに当たるのは「ダージリンで育った茶木から摘採した葉を使って、ダージリン製法で作られた紅茶」をダージリンでパッケージして出荷したもの。

PGIに当たるものは、「ネパールで育った茶木から摘採した葉をダージリンの工場でダージリン製法で作った紅茶」をダージリンでパッケージして「ダージリンティ」として販売するもの。

という感じでしょうか。
何か誤りがあれば教えてください。

今回のルイボスティに関してはPGIより厳しい、PDOに認定されたということです。

ところでルイボスって南アフリカ以外でも作られているの??

インターネットで検索すると、“南アフリカのセダルバーグ山脈の一帯のみで自生するマメ科の植物である”と何度調べても出てきます。

そして、日本でルイボスを販売している様々なサイトを拝見させていただきましたがどこも「南アフリカ産」と書かれています。

筆者自身も「ルイボス=南アフリカ産」と頭の中ではなっており、それ以外は見たことがありません。

そのためなぜ原産地呼称保護(PDO)が必要なのかがすぐに理解できませんでした。

例えば、以前もご紹介しましたが「ダージリン」が地理的表示保護(GI)認定されたのは、「ダージリン」で作られていない他の紅茶が「ダージリン」と偽って販売されていることが多すぎたためです。

日本で販売されているもので「南アフリカ産」以外がないのは、ただ単に日本の輸入会社が優秀だからなのでしょうか。。

PDO認定される理由を探してみた

ライセンス
色々と調べていると、2013年9月に南アフリカ貿易産業省は南アフリカ内で”rooibos”, “red bush”, “rooibostee”, “rooibos tea”, “rooitee” and “rooibosch”と名乗るには、「Aspalathus linearis」を原料としたものでなければならないと定めたそうです。

また、1994年にアメリカのある会社で「ルイボス」を米国特許商標庁に登録して名前を独占し、使用料を支払うかルイボスという名称を使用しないかを他会社に求めました。
その後2005年に他会社などによって商標を破棄することとなったようです。

ルイボスティの世界的な人気は今もなお続いており、2012年のAFPの記事によれば温暖化と乾燥によりルイボスが消滅の危機にあるということが書かれています。
▼参考:ルイボスティーが飲めなくなる?気候変動でルイボス消滅の危機 南ア

他にも先住民との問題もあるようですし、日本には入ってきていないもののAspalathus linearis以外で作られたルイボスティもどきも流通しているのかもしれません。

様々な定義を定めることで様々な問題を解決したいという意図もあるのかも知れません。

とはいえ、現在こちらはEUで定められただけですので、元ネタにもありますが今後は世界共通で保護していきたいものです。

結び

ルイボスティが個人的には少々苦手なのですが、いつだかセブンイレブンのPB商品のペットボトルルイボスティを飲んだところ案外美味しくてぐいぐい飲めてしまいました。

元々は南アフリカの原住民が薬として用いたものですからね。
そうなると茶もそうなのですが…。

ルイボスだけでは少々癖がありますが、ルイボスアールグレイは美味しく飲めますのでお勧めです。


筆者も最初の印象を払拭して、一度改めて購入して飲んでみようと思います。

何はともあれ、ルイボスティの価値や作る人たちの権利が尊重され、世界共通の意識で守っていく方向になることを願います。

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