茶の情報をネットで確認できる時代に?インド紅茶局のトレーサビリティ(茶情報追跡)に関する試み

お茶を手に取った時、そのお茶の情報は何が分かるでしょうか。

パッケージの表紙に書かれている茶名。
裏に書かれている賞味期限、原産地、販売者など。

販売者や生産者によっては、淹れ方、「そのお茶の作られた日」や「産地の土の状況」等のマニアックな情報を書いてくださっている方もいますが、それくらいが限度ではないかと思います。

それが例えば牛肉のように、バーコードやQRコードを読み込めばその牛が「いつ、どこで生まれて育てられ、いつ食肉にされたのか、品種は何か」等の詳細情報が分かるようになったら、とても安心ですよね。
▼関連記事:インド、アッサムティの地理的表示(GI)保護制度

数か月前にスターバックスが豆の追跡ができるように、「アジュール・ブロックチェーン・サービス」を導入していくというニュースがありました。こちら
筆者チラ見だけして覚えてませんでしたが…

生産物の追跡、これからの茶生産にも大きく関わってくるかも知れません。



スターバックスのアジュール・ブロックチェーン・サービスとは?

アジュールはMicrisoft Azureというマイクロソフト社クラウドサービスの集合体だそうです。

アジュールの<ブロックチェーン・サービス>というのはスターバックス、ブロックチェーン・サービスの導入のニュースが流れた(2019/05)一週間前に発表されたばかりのもの。

※<ブロックチェーン>というのは、「金融取引などをインターネット上の複数のパソコンで分散して保管する方法(ブロックを繋げるイメージ)」で、もともとは仮想通貨ビットコインの取引を行うために開発されたものだそうです。

2018年には「Bean to Cup」というプログラムで、ブロックチェーンを利用して農園と消費者をつないでいく試作を行うと発表していました。

アジュールのブロックチェーン・サービスを取り入れることにより、「いつ、だれが、どこで作ったもの」で、「どこの製造工場からいつ流通し、どこの小売店で販売された」か等の情報がブロックチェーン上に都度保管されるため、消費者がネット等で確認の上購入することが出来るようになります。

他にもメリットは様々あるようですし、スターバックスはこの研究結果をオープンソース化して、多くの企業が利用できるようにするそうです。
太っ腹…!

茶もブロックチェーンを利用?

先日インド紅茶局がブロックチェーンを利用した茶のトレーサビリティを国家レベルで行っていくことを発表したとのこと。
▼元記事:Amazon, Infosys respond to Indian tea board’s blockchain call

インド珈琲委員会ではすでにブロックチェーンを利用した珈琲市場を立ち上げ、約3万人の契約農家がいるそうです。

インドは国全体でブロックチェーンを取り入れて産業を盛り上げていこうとしていると記事にあります。

また、こちらも少し前ですが中国でも雲南省の普洱茶でブロックチェーンを利用して原材料調達、加工、倉庫、流通、店舗での販売からエンドユーザーまでを記録するプラットフォーム(基盤)を発表しました。

茶のデータは、すべての段階でIoTデバイスでVeChainThorブロックチェーンにアップロードされます。
スマートフォンを使ってQRコードやNFCチップをスキャンすることで、実績と生産データを見ることができるようにするそうです。
▼元記事:VeChain launches blockchain platform for tea traceability in China

システム的なところなどは筆者もよく理解できていませんが、
つまりは、ブロックチェーンというシステムを利用して茶の生産と流通を管理し、エンドユーザーにも見えるようにしていくという取り組みが世界中で行われ始めているということです。



ブロックチェーンを利用するメリットは?

珈琲生産国も茶生産国もこぞってブロックチェーン・システムを利用しようと試みているということは大きなメリットがあると判断されているものと考えられます。

何度も書いていますが、

原材料調達、加工、倉庫、流通、店舗での販売からエンドユーザーまでを明らかにできるということ。

これに尽きます。

正直、お茶を購入する際には産地名が分からないもの等がたくさんありました。。

そして、整備が進んでいっているにしても未だにまがい物の茶は世界で流通しているものと思われます。
以前の記事でも書きましたが、例えば地理的表示保護制度(GI)
のような取り組みがあるにも関わらずです。
▼関連記事南九州市知覧の茶商が初めてのFSSC22000取得。日本茶はますます海外へ。

先ほど例に挙げたインドは世界第2位の輸出国です。
しかし、伝統的なルーズリーフ茶の価格低下が続いており、このままだと摘採する労働者はいなくなり、伝統的な茶の製法はなくなってしまうのではないかとインド紅茶局は懸念しているとのこと。

また、中国の雲南省の普洱茶も価格の高騰により、粗悪品や模造品が横行していたことがあると耳にしたことがあります。

ブロックチェーン・システムの導入により、今まで以上に「正しく作られたもの」が「正しく評価される(価格面でも品質面でも)」ようになることを期待します。

言うまでもなく、購入するエンドユーザーにとっても安心ですよね。

スターバックスが挙げているメリットとしては他にも、
・ドライブスルーでの注文予測
・コーヒーマシンへの新メニュー一斉記憶
・小規模農家との直接的やり取りによる価格の安定
・産地偽造の防止

等、様々あるようです。

いずれ仮想通貨での取引も視野に入れているのでは?とも言われています。
(スターバックス側は否定しているようですが…)

茶に関して言えば、考えられるのはやはりトレーサビリティの面でしょうかね。

日本ですでにブロックチェーン・システムを取り入れているところがある?!


SHIZUOさんによる写真ACからの写真

そう考えると、日本の茶業はどうなっているのかなぁと思いますよね。(強要)

こちらもかなり前にニュースで見たのですが、静岡の「富士山まる茂茶園」がブロックチェーン・システムを導入した緑茶を販売したという内容。
こちらもちらっとニュースを見て終わっていました…
そして、まる茂さん、とてもお茶に熱く、様々なお茶をお作りになられていますので是非ネットショップで!

こちらの記事に詳しいです。
▼参照:VeChain ブロックチェーンとICチップで日本茶の生産地を証明

どういったものか、YouTubeで紹介していて分かりやすいです。

日本国内の場合、産地を偽装するもの等は今はほぼないのではないかと思います。
知らないだけかも知れませんが…。

ただ、今問題になっている偽「宇治茶」が中国で横行しているという話から考えますと、「日本国内で正しく作っているお茶」が「海外でも正しく販売される」ようになるのではないかという希望が持てます。
▼参照:【2019/11/18追記あり】中国で「宇治」が商標登録?!今後宇治茶と名乗れなくなる?!



結び

今後急速に、世界的にブロックチェーン・システムを導入する輸出国、輸入国は増えていくだろうと思われます。

どうなんでしょうね。
例えば、日本の慣行栽培の茶の場合、いつ、どの農薬をかけたか、等も明記されるようになるのでしょうか。

また、いつ摘採されたのか等も分かったら、面白いですね。
生産者としてはちょっと恐ろしいことでしょうが…

「正しく作られたもの」が「正しく評価」され、「正しくエンドユーザー」に届く、これは農作物(生産物)にとっては非常に大切なこと。

筆者が死ぬ頃には当たり前のシステムになっていそうだなぁ。

ブロックチェーンの仕組み等についてはあいにく理解しきれていないため、今後もニュースを追って調べていきたいと思っています。

そしてこれはただの呟きですが、こういうシステムを取り入れない(取り入れられない)小さな農園や茶園はつぶれていってしまうかも知れません。
筆者自身が弱小新規就農に片足を突っ込んでいるため、少々胸がざわつかなくもない…

小さなところは生き残れなくなり、大きなところに吸収される。もしくは廃業。

何か策を講じていかねばなりませんね…。(悩)

製茶を始める前に。「茶の絵本」がおススメ!





筆者が製茶に興味を持ったのは、7年ほど前のことでした。

お茶カフェをやっていたので、メニューブックにそのお茶の特徴を記載したり、新商品のポップを作ったりもすべて自分で行っていました。
いくら色々な茶を飲み、茶の本を読んでみても、茶の味や香りを表現する言葉が見つからずに毎回頭を悩ませていました。
そして、ベストな状態でそのお茶を淹れるのに試行錯誤の日々。

「そもそもこの茶は<どこで><どうやって>育って、<どういう状態>でここにいるのか」

そのお茶がどうやって育って、どうやって製茶されているのかが分かったら、もっとうまく説明が出来て、美味しく淹れられるのではないか、と思ったのが始まりでした。

あいにく店に立っている必要があるため、茶産地に度々足を運ぶことも難しく、実際に学べることが圧倒的に少なかったのです。
それでも時折休みを取って、行っていましたが…

そんな風に思っている方、もしくは茶に興味をもってお茶がどうやって作られているのかと思ったことがある方におススメの本をご紹介します。

茶の絵本?



【本名】つくって遊ぼう25 [茶の絵本]
【著】ますざわたけお へん やまふくあけみ え
【出版】農文協

農文協の本は知る人ぞ知るな名著に溢れています。
先日ご紹介した村松二六さんの本「チャとともに: 茶農家 村松二六 (農家になろう)」も農文協から出ています。
▼参照:丸子紅茶の村松二六さんに日本の烏龍茶製造を体験させてもらった!

取材に立ち会った方の話を伺ったところ、「とにかくライターさんの農業の知識がすごい」と仰っていました。

農文協の「つくってあそぼう」シリーズは①の<とうふ>から始まり、全40巻あるそうです。
しょうゆとかすとかキムチとか…。気になって仕方ないですよね!ね!←強要

子供がいるご家庭には非常におススメの絵本ばかりです。
そしてお茶の勉強をしたい方には

ちなみに、よく本屋でみかけるのは「うかたま」ですかね。


時折、欲しくなって購入します。
別冊も時々買ってしまいます。
個人的に「うかたま」のフォントが好きです。癒される感じ。

「茶の絵本」のすごいところ

この絵本のすごいところは、製茶をするようになった今読んでも学びがあるところです。

煎茶や釜炒り茶や紅茶の作り方を非常に簡単に写真とともに書いてあるのですが、脇にあるちょっとした説明などに「なるほど!」となります。
しかもホットプレートや電子レンジを使用して、簡単に作れると書いてあります。

蒸し製の煎茶の作り方の一例をあげます。

例えば…。

①蒸す
茶葉にラップをかけて1分30秒くらい電子レンジにかけ、青臭みがとれたらOKだ。

②蒸し露をとる(約20分)
蒸された茶葉は熱いので、最初は、敷物の上に広げてできるだけ早く冷まそう。
冷ました茶葉を温度120℃くらいに調整したホットプレートの上で、片手に手袋をしてほかの手に菜箸を持ち、よく混ぜながら蒸し露と茶葉の一部をとるよ。
茶葉がやや黒みを帯び、芽や茎の部分にしわが少しできたら、もみの作業にうつろう。

などなど。

手揉み茶の記事を何度か書いていますが、正しくは焙炉がなければ手揉み茶を作ることは難しいと思います。(細く撚れた美しい形状の手揉み茶を作ろうと思ったら)
▼参照:煎茶伝統の手揉み茶が危機?手揉み茶とは?皇室献上茶とは?

ですが、そこまで体験の場合は求める必要はありません。
まず家にある電子レンジとホットプレートで煎茶を作ってみようと思いました。

 

さらに、絵本、というとお子様が読むイメージですが、こちらの絵本は容赦ありません。←誉め言葉

紅茶のページにこう記載があります。

②揉みの作業(約1時間)
萎凋が終わったらもみの作業だ。
茶葉の組織や細胞を破壊することで、酵素の酸化反応が進み、葉色がわずかに赤褐色に変わり、青臭い香りがへって甘い紅茶特有の香りがでてくるんだ。

しかも、すべての感じにフリガナがふってありますが、「茶葉」は「ちゃよう」、「葉色」は「ようしょく」…!←筆者も使わないですw

とにかく、1ページ1ページの重みがすごいのです。
お茶に興味ある人は是非手に取ってほしいです。
購入しなくても、図書館とかにあれば絶対見て!!!

さらに、もう一冊おススメの農文協の絵本があります。

【書名】そだててあそぼう44 チャの絵本
【編集】ふちのうえひろこ
【イラスト】いいのかずよし
【出版】農文協

こちらも、濃厚な内容です。
是非二冊一緒に!!!
※筆者と農文協には縁もゆかりもありません。

結び

「お茶を飲まなくなった」という嘆きをあちこちで聞きます。
そして確かに必要とされなくなった茶畑は手放され、耕作放棄地となっています。

それはお茶がどうやって、どこで育って、どうやって作られているかを知らない人が多いということにも原因があるのではないでしょうか。

子供の時に畑に行って、もぎたての野菜を食べたことがある子はその野菜を好きになるとよく言います。
緑茶、烏龍茶、紅茶も小さい頃から飲んで、畑に行って茶を摘んだことがある人はきっとお茶に興味を持つでしょう。
例え好きにならなくとも、記憶の片隅に残るはずです。

「茶育」という言葉が言われて久しくなりました。
茶処の小学校の家庭科の授業には「茶を沸かして飲む」という授業が行われているところもあります。

茶業者による「T1グランプリ」というイベントも毎年開催されています。
小学生の子供たちが大人より茶について勉強し、美味しく上手にインストラクションを行います。

あと10年、20年経った時、若い人たちが新しいアイデアを出し日本の茶業は劇的に面白くなっているはずです。

そんな次世代を育てる活動を、筆者もしていきたいと思っています。
小さくとも、確実に次世代の「お茶好き」を育てる活動を。




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丸子紅茶の村松二六さんに日本の烏龍茶製造を体験させてもらった!

2019年の11月は毎週のようにイベントが続き、あちらこちら顔を出しているうちにあっという間に時が流れています。汗

まだ、和紅茶や国産紅茶、という言葉がメジャーではない頃から、「丸子紅茶」を作っている村松二六さんの工房にお邪魔して、烏龍茶の製造を実際に葉に触れながら体験させていただきました。



村松二六さんとは?



和紅茶(国産紅茶)に馴染みのない方には村松二六さんの存在はあまり分からないかと思いますが、この本を読んでいただくと彼の茶農家としてのすばらしさは伝わると思います。

前に記事に書きましたが、多田元吉がインドから持ち帰った原木が静岡県の丸子に植えられていましたが、それらが山の開発で切られることになった際、移植をして今もその近くの工房で紅茶作りをされています。
▼参考記事:日本でも紅茶が作られている?-和紅茶の歴史やイベントなどについて-

日本で紅茶を作っている人はほとんどいなかった20数年前から紅茶用品種の“べにふうき”を民間で最初に育成し、紅茶を作り始めました。

農薬も使わず、天然の有機質肥料だけで工夫しながら紅茶作りをしてきたそうです。

そんな様々な二六さんの想いがたっぷり書かれているこの本を是非読んでいただきたいと思います。

二六さんは今も若手の生産者を集めて、製茶を教えたり、イベント等で新しい情報を常に収集されている非常に熱心な方です。
素晴らしい先輩がいることに感謝しなければなりません。

烏龍茶の製茶体験について

和紅茶や国産紅茶はかなり市民権を得るようになってきましたが、烏龍茶も各地で作られるようになりました。
お茶のイベント等に行くと、茶農家の多くが今烏龍茶作りを積極的に行っているように感じます。

日本で作られた烏龍茶を原料にしたペットボトルも販売されています。


筆者が到着したのが12時過ぎ。
10時くらいから茶刈りを行い、すでに「日干萎凋」中。
※製法については細かい説明省きます。なにせ烏龍茶系は疎い…

そのあと室内に入れて、「室内萎凋」。
温度と湿度を調整しながら、時間を置きます。

1時間半ごとくらいに軽く「揺青」。
茶葉をゆすって、香りや成分の変化を起こさせます。

少しずつ水分も抜け、「揺青」をしながら皿の量を減らしていきます。
11月半ばで夕方になると気温が低くなってきたため、暖房をつけて、加湿器も付けます。

少しずつ優しくゆする「揺青」から、激しくゆする「攪拌」へ。

最後の「攪拌」が終わったのが20:30。
あっという間に時間が過ぎていきます。オソロシイ。




酸化酵素の働きを止めるため、「殺青」を行います。
この殺青機の度計は150℃くらいを指しています。

ぐるぐると回転をしながら、葉を炒ります。
こちらが20分くらい。

殺青機から葉を取りだしたら、布で少しくるんで休ませます。
その後「揉捻」。

台湾式(望月式)揉捻機で10分弱揉みます。

揉み終わった葉は少し黒くなっています。
そして撚れている。

「乾燥」。
こちらは「中揉機」という緑茶を作るときにも使う機械に入れて、しばらく乾燥させます。25分ほど。
これもぐるぐる回るやつ。

「中揉機」から出た段階で試飲。
今回は“べにふうき”を使用していますが、台湾の包種茶のように花のような優しい香りと甘味。

ここまでの経緯を見てきたので、香りの変化に感動してしまいました。

「棚乾燥機」に入れて、6時間で完成。
この時すでに12時を回っていました。

星がきれい…。←もはや疲れて細かいところを覚えてないw

結び

烏龍茶の製法、確かに本で読んだことがありますし、なんとなくの工程も分かります。
ただ、実際に葉の変化を生で見ると非常に感動するものがありました。

機械摘みで行っており(今回摘み取りの機械が壊れてしまったそうで…)、時間的には本場のものに比べて短いですが、それにしても乾燥まで入れたら丸々一日仕事です。

手で攪拌を行っていましたが、最初の工程を行ってくれるという機械も今は販売されています。
先日の世界お茶まつり2019でも、萎凋工程をすべて行ってくれる機械の開発をしたと静岡県農林技術研究所茶業研究センターが紹介していました。
(これは「香り緑茶」を作るためのものだそうですが…)

昨今、「渋い、苦い」お茶ではなく、「香り」の良いお茶が好まれる傾向にあります。

時代は常に変化しており、香りの良さに重きを置く烏龍茶は今後日本でより多く作られるようになるでしょう。

楽しみです。
そして、自分でも烏龍茶を作りたい…!

 

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世界お茶まつり2019!<番外編>井村園の紅茶作り体験に行ってきた!

世界お茶まつりの会場内ではないのですが、井村園がこの期間に行っていた紅茶作り体験に参加させていただきました。

井村園は今和紅茶界で有名な「ももか」という桃の香りがする紅茶を作っている生産者です。
桃の香りがして、しっかりと紅茶らしい渋みを感じることが出来ます。
この桃の香りが出るのは限られた場所で作られたものだけだとか。

本を読んだ限りで適当に製茶をしている筆者にとっては貴重な経験となりました。



紅茶作り体験-ダイジェスト-

今年の夏摘みのウンカ芽を使用した萎凋葉を使用して、発酵度を変えながら紅茶作りをします。

はじめに製茶の流れを説明をしてくださいました。

製茶の流れとしてはこうです。

摘採⇒萎凋⇒揉捻⇒発酵⇒発酵止め⇒乾燥⇒焙煎

①摘み取り

今回は機械摘みの芽を使用。
手摘みだと芽がそろうので問題ないが、機械だとどうしてもバラつきがでてしまう。

②萎凋

日干萎凋は葉にムラができてしまうため、現在井村園では行っていない。
風を当てながら長時間室内で萎らせる。
気温もうまく調整が必要。
※今回は萎凋させた茶葉を冷凍しているため、細胞が壊れて赤くなってしまっている。

③揉捻

茶葉の水分を均一にして、発酵を促す。
優しく揉むと淡泊で水色は薄くなる。
強く揉むと水色は濃く苦渋みが出やすい。
最初はやさしく、次第に強く。

④発酵

茶温30℃以上に上がってしまうとダメ。
乾燥しないように水で濡らした布に包んで30分~2時間程度置く。
イメージは「酸味のあるりんご」から「熟したリンゴ」。

少しこのまま置きます。

⑤発酵止め

出来るだけ高い温度を茶葉に当てていく。

⑥乾燥

少し温度を落として水分率で5%くらいのところまで乾燥させる。
水分が残っていると後から酸味が出る。
乾きにくい大きな葉がぱきっと折れるくらいになればオッケー。

今回は上記写真の棚乾燥機で発酵止めをし、そのまま乾燥。
少しぱきっと折れるくらいまで置きました。

⑦焙煎

出来上がったお茶にアクセントをつける。
焙煎が弱ければフレッシュに。
強ければ香りも強く重厚になる。

今回はホットプレートと小さな火入れ機で軽く焙煎します。
ここを出すタイミングが難しい!
香りが立つ頃が良いそうなのですが、焦げるのが怖くて香りが立ってすぐに出してしまいました。。

⑧熟成

出来上がったばかりだと苦みやえぐみを感じるが、時間を置くと良くなる場合がある。
湿気は大敵なのでそれを防いで1か月、半年と変化を楽しむ。



製茶している間の色々

井村園の一番茶べにふうき紅茶を使用した水出しボトリングティ。(三井農林作)
甘くて、桃の香りがして美味しい。

よくももかには【SF-2Y】というようなロットナンバーがついています。
Yは八木式揉捻機のYとのこと。
通常は違うメーカーの揉捻機を使用しているけれど、一部変えて揉捻しているそうです。(コンテスト用に別に作ったり)

ちなみに揉捻機はこういうもの。

こちらは井村園さんに置いてあった小さな揉捻機。
生葉で2キロくらいしか揉めないそうですが、葉を入れて揉む機械です。
用途は若干異なりますが、緑茶にも紅茶にも揉捻という工程があります。

時間に余裕がある時に工場見学もさせていただきました。
うまく写真が撮れてないので、こちらは割愛させていただきます。無念。

ティスティングをしてみた!

今回10人の参加者がおり、萎凋葉をすぐに発酵止めしたチームと揉捻して発酵を進めたチームに分かれて作りました。

チームごとに同じものが出来ている訳でもなく、十人十色とはまさにこのこと。

全く違う味、香りの紅茶が出来上がりました。
筆者の作ったものはなんだかえぐみが強く、香りもない。。

今回ご指導くださった井村典生さんによれば、「1か月ほど熟成させれば美味しくなる(はず)」とのこと。

その言葉を信じ、まだ熟成中です。
パッケージは販売されている「ももか」と同じものに入れていただけて、持って帰ることが出来ました。
プレミアム感がすごい…!



結び

先生のご指導のお陰で、きちんとした紅茶が出来上がった印象です。
ティスティングをした限りではあまり…でしたが化けるのを待ってます。笑

筆者が通常製茶体験するのは「やぶきた」という緑茶用品種のため、「べにふうき」という紅茶用品種で作ることが出来たのは良い勉強です。

紅茶の知識だけではなく、井村園の製茶についてや他の方との交流もとても楽しかったです。

次に井村さんにどこかのイベントでお会いできるのかな…?
▼参考記事:日本でも紅茶が作られている?-和紅茶の歴史やイベントなどについて-

また、美味しい紅茶をいただきたいです。
(煎茶も美味しいんですよ!)
井村園のみなさま、本当にありがとうございました!

Twitterで話題になっていた「自家製正山小種(ラプサンスーチョン)」をやってみた

TwitterなどのSNSを見ていると、時折とても素敵な茶席を設けている方や美しい茶器でお茶を召し上がっている方がいて、目が潤うのと同時に勉強になります。

もう1か月くらい前ですが、Twitterで話題になっていたものを真似させていただき、作ってみました。

自家製正山小種(ラプサンスーチョン)です。



正山小種とは?



紅茶屋でラプサンスーチョン、を頼むとまるで正露丸の香りのような深紅の紅茶が出てくることがあります。
中国茶の世界では正露丸の香りではなく、フルーティでまろやかな香りの紅茶が出てくることが多いように思います。あくまでも主観。

「正山」とは紅茶や烏龍茶が最初に作られたとされる「武夷山」のことを指します。
「小種」とは元々烏龍茶作りに使われた野生種のことのようです。(諸説あります)
▼関連記事:茶の故郷、中国武夷山茶ブーム。価格はますます高騰中

17世紀の明から清へと変わろうとする転換期。
元々烏龍茶作りをしていた武夷山の桐木村に軍が侵攻してきました。
途中まで作った烏龍茶を置いて、農民たちは逃げ、戻ってきた頃には湿った茶葉が残っていたそうです。

それを乾燥させる際に、室内を温めるため松の木を燃やしたことから茶葉にその香りが移ったというのが正山小種の由来とされています。

そのお茶が大英帝国(イギリス)に渡り、オリエンタルな香りに魅了された貴族たちがこぞって嗜んだとか。

かなり昔ですが、テレビ番組で罰ゲーム的に使われていたこともありました。
正露丸的な香りが苦手、という方も当然いますが、ハマる方も結構多いです。
筆者はすごく疲れている時、無性に飲みたくなります。

このお茶は非常に歴史が長く、まだ解明されていないことも多いようですので筆者はわからないことが多いです、すみません。。



自家製正山小種とは?

元ネタはこちら

このツイートを見て、「おおお!!!」と興奮し、作り方を教えてもらいました。

瓶の中に入っているのは松ぼっくりと貝殻。
そこに仕切りをして、お茶を入れています。(茶種は伺わず)

茶器の美しさ、松ぼっくりを燃やして、茶葉に香りをつけるという発想!!!

センス皆無の筆者にとっては、目からうろこが落ちる内容でした。

で。
やってみました。
やりたかったんです!!!

まず、拾ってきた(←)松ぼっくりと貝殻を瓶に入れます。
紅茶は悩んだ挙句、先日自分で作ったやぶきたの和紅茶。こんな感じ。

松ぼっくりに着火。

しばらくすると瓶の中が燻ってきます。

見えるでしょうか、煙。

瓶の蓋を完全に閉めると酸素がなくなるので、少し開けつつ、火が消えたら他の部分に火をつけながら一時間ほど。

葉っぱから確かにラプサンスーチョンの香りが!!!

いざ、試飲!

とにかく、富士華名(@_fujibana)さんの写真がどれも美しいので、筆者もとっておきの茶器を探し出して淹れてみました。

仄かに香る燻煙。
決して嫌みがなく鼻に抜けていきます。

残念だったのは、自家製のやぶきた紅茶の作りが悪くて味は残念なものとなってしまいました。。
茶葉の選定は大事!

これは岩茶や鳳凰単欉などを使用しても、十分楽しめます。

松ぼっくりはたくさん拾ってきた(←)ので、また違う機会に違う茶葉で試してみようと思います。

楽しい遊びを教えていただきました。
富士華名(@_fujibana)さんに本当に感謝です。



世界お茶まつり2019!<セミナー編④>「茶の品種から考える<これまでとこれからの日本茶>」

今回の世界お茶まつりで筆者が参加したセミナーはこれが最後となります。
品種茶専門店心向樹の川口さんのセミナーです。

「茶の品種から考える<これまでとこれからの日本茶>」とはなんとも心惹かれるタイトルです。

数年前から品種に興味を持ち始めたものの、あまり詳しくないため心向樹さんのセミナーを今回とても楽しみにしていました。




品種茶専門店心向樹とは?

心向樹さんはお茶好きな方ならご存知かと思いますが、茶の品種をメインに扱っています。
例えば緑茶なら「やぶきた」と「さえみどり」と「おくみどり」等を販売しており、品種による違いを楽しむことが出来ます。

ありがたいのは一煎パックでも販売しているところです。
家で飲み比べが出来ます。

今まで品種ごとの飲み比べをする際、単一品種の茶を販売しているお店で購入していましたが、どうしても店によってクオリティが異なるため、品種の違いを感じるまでには至らないことが多々ありました。
そういった意味で一煎パック、ありがたいです。

さらに、茶の苗も販売していますので、お茶好きさんにはたまらないです。
一般の方が好みの品種の苗を手に入れるのはなかなか難しいことだったのです。
筆者もこちらで苗を数品種購入しました。(写真はいずみ)

埼玉にカフェもあるので、是非ご興味ある方は行ってみてください。
お茶のイベントにもよく出店されていますよ。

今年中に心向樹さんにお会いできるイベントは以下だそうです。

国産紅茶フェスティバル@愛知県尾張旭市 11/24

地紅茶サミット@愛知県豊橋市 12/8-9

どちらも愛知県でした…。

 

品種から考える“これまで”と“これから”

この「茶ート」は以前から見たことがあり、非常に素晴らしいと思っていました。
日本茶を鑑定する際に香りや味をみますが、正直ピンとこないことが多かったのです。。
こちらを見ながら茶を飲むと「そういえばサンルージュって渋みはあるけど香りはしないなぁ」というような自分の中での指針ができます。

さらに、「茶付箋」も非常に便利。

自分が飲んだ時の印象を書き込んでチャートにします。
この作業により、品種の特徴が自分なりに整理できるというもの。

静岡でお茶のツアーを行っている「そふと研究室」で主に製造しているそうで、心向樹にて監修をしているとのこと。

話がそれますが…。
そふと研究室はお茶に興味がある方におススメのツアーを多数行っています。
筆者も数回参加させていただいていますが、なかなか車がないと行けない場所にも案内してくれて、生産者の話を聞いたり、畑を見せてもらったり、作った茶を飲ませてもらったりできます。

他にも茶市場見学だったり、茶町歩きだったり、全く茶関係でない人も気軽に静岡の茶を満喫できます。
「茶処静岡に行ってみたいけど…」とためらっている方にはかなりおススメです。
※ちなみに茶マニアの人も楽しめる工夫がされており、非常に良いです。
※さらに、茶には関係ない富士山トレッキングツアーなども行っていますので、本当に静岡全部が満喫できます。




今回のセミナーで10種類の鑑定をさせていただきました。
茶付箋に自分の印象を書き込みつつ…。

最初に座学として、今回の10種類の品種の説明がありました。
品種の勉強をする際に必須の「新版 茶の品種」を参照しながら話は進みます。
こちらの本は品種の細かい情報が入っています。親は何か、茶農林〇号、何年に登録等
※こちらは公益社団法人静岡県茶業会議所で購入が出来ます。
もちろん、心向樹さんでも購入可能です。

<やぶきた>は母親(めしべ側)が静岡県在来種。
父親(花粉側)は不明です。

<やぶきた>は杉山彦三郎氏(日本茶界では有名人)が育成した現在日本茶のおよそ8割がこの品種だと言われているスター品種です。

「静岡県在来種」にどこからか飛んできた花粉がついて、種ができ、その種を撒き、その中から優良と思われる苗を繁殖させたもの。

<あさつゆ>は母親が京都(宇治)在来種。
父親は不明です。

天然玉露と言われる旨味が強い品種です。

<やぶきた><あさつゆ>を人為的に掛け合わせたものが<さえみどり>
<やぶきた><あさつゆ>の良いところを取り、旨味が多くて美味しく作れる品種が生まれます。

この<やぶきた><あさつゆ>が茶の第一世代。
第一世代の子供<さえみどり>が第二世代。

第一世代は在来種の中から優良なものを選抜したものです。
第二世代はその第一世代よりもっと美味しいもの、収量が取れるもの、やぶきたと収穫時期が被らないもの(早生か晩生)を目指して人為的に交配して作られたものとなります。

そして今は第三世代へ。

<きらり31>は母親が<さきみどり(第二世代)>
父親は<さえみどり>

<はると34>は両親が逆で、母親が<さえみどり>で、父親が<さきみどり>となります。

また、<やぶきた>が母親で父親が不明な<さやまかおり>
そこから母親が<さやまかおり>で、父親はやぶきたの血を引く<枕崎13号>を掛け合わせて生まれた<なんめい>は、病害虫にとても強い品種です。
※枕崎○○号というような名前は品種登録される前(されていない)の系統名だそうです。

病害虫に強いということは農薬を使う必要が無くなります。
無農薬でも美味しいお茶が作れれば、増加傾向の欧米諸国への日本茶の輸出はより増えていくはずです。
なにせ、欧米諸国は農薬基準が非常に厳しい。。。

第三世代は今の時代に合った品種を作っています。
他にも耐寒性が非常に強い<おくはるか>やアントシアニンが豊富ということで機能性に優れる<サンルージュ>等が生まれています。

▼参照:茶を飲むのは体に良いから?茶=薬?

両親の特徴が分かった状態で鑑定を行うと、子供の特性がよくわかるようになるそうです。
とはいえ、10種類を鑑定すると小さな違いは分かるのですが、品種香等まではさっぱり分かりませんでした…。




日本茶のこれから?

第三世代の品種として、「輸出できるもの、機能性があるもの、環境に耐えうるもの、(香りの良いもの)」が様々出てきているそうです。

そして、今日本茶のおおよそは<やぶきた>で成り立っていますが、あと20年ほど経てば<やぶきた>以外の品種がコンテストの上位を占めるのではないかというお話でした。(例えばきらり31)

現在の状況を考えると第三世代というのは多様性に富んでいますが、今後第四世代になってくると果たしてどんな特徴を持つ品種が生まれるのでしょうか。

筆者が苦肉の策で考えたのは、例えば宇宙で育つ品種(空気がいらないとか)やより機能性に特化して病気を治す品種とか。

機能性表示食品のペットボトルのように、「この品種の煎茶を飲み続ければ風邪が治る」というようなもの。
今はべにふうき煎茶は「メチル化カテキンが豊富で花粉症に効く」と言われています。
こんな感じ。


そういった効能に重視したほとんど薬と同じ扱いとなる品種なんかが生まれたりしませんかね…?
素人考えすぎますので、まぁその辺りは研究者の方にお任せして…。

結び

他にも品種茶トリビアなど様々お話をいただき、非常に勉強になりました。

頭を整理させて、改めて品種茶を鑑定していきたいと思っています。
実は心向樹さんの一煎パックが家に山のようにあります。笑

改めて「新版 茶の品種」を読み返し、品種茶を飲んでみて知識を蓄えながら、頭を整理していきたいと思っています。

今回の筆者が受講した日本茶のセミナーはすべて「未来」に向けたもので、非常に良かったと思います。
過去を振り返るだけではなく、未来へ向けて今後日本茶の世界はどうなっていくのか。
自身も未来を見据えて、考えながら学びを深めていきたいと思います。

世界お茶まつり2019!<セミナー編③>「日本茶のビンテージを知る」

セミナーは出れば出るほど知識が蓄積され(ている気がす)るので、こうして思い返して資料を読み返すのはよい勉強になります。

今回、自身が好んで出席したセミナーは日本茶のものが多かったです。

<セミナー編②>での晩茶の話の中にもありましたが、いまだに5月の新茶がもてはやされる日本茶業界。
日本茶関係の仕事をされている方は「新茶でなければ売れない」とよく仰います。
5月の新茶が出た頃は非常に売れますが、夏以降は売上が落ちるそうです。

その「新茶至上主義」を打破するかもしれない、「熟成」についてのセミナーを受けてきました。



どんな内容のセミナー?

講師は「日本茶専門店 錦園石部商店」の石部健太朗さん。
日本茶通の方はご存知の方が多いかと思いますが、「茶の涙」という漫画に出ていらっしゃいます。


どこに出ているかはご自身で探してくださいませ。

ヒントはこちらの写真。(スウェーデンの有名人も一緒にいらっしゃいました)

セミナーでは、4℃で保管されたシングルオリジンの日本茶を24種類飲み比べるというものです。
古いものだと2002年からあります。

拝見茶椀は200㏄お湯が入ります。
茶葉は4gです。

お湯を入れていき、葉がゆっくり開いていく姿を見て、香りを嗅ぎます。
そのあと、網匙を入れて葉をすくい、香りや形状を見ます。
さらに、茶殻を救い上げ、茶液も飲んで味を確認します。



実際に拝見してみると?

24種類もあるので、なんとなく違いは分かりますが、正直全く何が何やらな状態になります。
こういう拝見茶椀を使って茶を観るのは、あくまでも欠点を探すものになります。

一番はっきりと分かったのが築地2004年産の5キロのバルク(大きな保存袋)で保管していたとそれを小分け(50g)にして保管したお茶の香味の差でした。

これは素人でも分かります。

バルクのお茶は、酸味のあるフルーツのような香りがし、飲むとスパイシーで海苔のような風味も感じました。
50gのお茶は何事もないかのように澄んだ綺麗なお茶。

筆者は勝手に大きな袋に入っている方が香味の変化が少ないだろうと思っていました。
問屋さんはそうやって保管しているから。

実際ヒネ臭が出ると、お茶屋さんや問屋さんは再火入れを行い、香りを飛ばすそうです。
それが悪いことというわけではなく、今までずっとそうやって販売されてきた歴史があります。

石部さん自身も保管をする中でヒネ臭が出て、どうしようと思ったことがあると仰っていました。
ですが、そのまま数年保管しているうちにヒネ臭は消え、品種特有の風味だけが残ったとのこと。

お話の中で何より頭に残ったのは、

「最近は萎凋香をつけた煎茶が人気がある。(花のような香りなど)
今、ヒネ臭を一般の方が飲んだ時に「劣化臭」とは感じない。
ヒネ臭がある煎茶を甘い良い香りがあるいう方がいる。
同じものを均一に作ろうというルールの中で従来「ヒネ臭は悪い」という品質評価をしていただけであって、ヒネ臭を良い香りだとするならば、大事なのは健康被害がなく美味しく飲めること。」

という話でした。

確かに、ここ数年、<萎凋緑茶>というようなものが多く作られるようになりました。
従来はタブーとされてきた「萎凋香」をあえて付けた煎茶も発売されるようになっています。

今回の世界お茶まつり2019でも、静岡県農林技術研究所茶業研究センターが「香り煎茶」の機械を開発して、それを試飲することもできました。(一括して萎凋を機械で行うそうです)
試飲させていただくと煎茶としての香味の他に、花のような香りがして若い方に好まれそうな味わいでした。



結び

「煎茶は仕上げの段階で水分量は5%以下。
賞味期限はあっても、腐るものではない。
きちんと作られているもので、低温(4度)で保管をすれば自宅の冷蔵庫で熟成させることが出来る。」

つまり、普洱茶やワインのように購入者自身で長期間楽しむことが出来ます。
子供が生まれた時に購入した茶を成人した日に開封して飲む、というようなこともできるようになるということです。素晴らしい!

新茶だけを良しとするのではなく、熟成させるという楽しみ方もあるというだけで飲み方の幅が広がります。

売上が伸びない、新茶しか売れない、放棄茶園が増えている等々。
悲しい話しか聞かない日本茶業界。

これからより科学的な根拠なども研究されていくのだろうと思いますが、日本茶の未来は明るいのだと感じさせていただけるセミナーでした。
他にも個人的に勉強になったことが多数ありましたが、是非多くの方に受けていただきたい内容なので胸にとどめておきます。笑

世界お茶まつり2019!<セミナー編②>「熟成を愉しむ 晩茶の未来を考える」

筆者は緑茶から紅茶、ハーブティやフレーバードティ等、すべて飲みます。
体調によっては所謂<茶外茶(ちゃがいちゃ)>と言われる桑茶、ドクダミ茶等も飲みます。
ただ、全般的にそれほど詳しくはないです。
好きなだけ。

長年お茶を飲んでいると、嗜好が変わってくることがあります。

▼緑茶を毎日飲んでいたけれど、急に胃が痛くなって飲めなくなった。
紅茶をたくさん飲んでいたけれど、トイレが近くなるため夕方から飲まなくなった。
フレッシュな香りの良い台湾茶が好きだったが、最近は焙煎強めのものを好むようになった。

などなど。

一時的な体調もあれば、年を重ねたことによる変化の場合もあります。

ある程度年齢を重ねた方が筆者の周りに多くなってきたのですが(つまりは筆者も年を取ったということ…)、最近晩茶ブームが来ているような気がしてなりません。

元々興味はありましたが、GWの旅の際、晩茶について生産者の方から話を聞き、より興味を持つようになりました。
晩茶はお茶の原点に非常に近いものだと考えられます。
※こちらはいずれ、自身で製茶体験をしてから記事にしたいと思っています。

今回は晩茶研究を長年されている、松下智先生のセミナーを受けてきました。



松下智先生とは?

1930年  長野県生まれ
1970年  茶の文化振興のために社団法人 [豊茗会]を設立
1998年  愛知大学国際コミュニケーション学部教授 (後に定年退職)
2003年  O-CHAパイオニア賞 受賞  学術研究大賞 受賞
2016年 茶道具類・研究資料を静岡県袋井市に寄贈
2019年 ふじのくに茶の都ミュージアム客員研究員

現在 ~ 松下コレクションを活かす会 名誉会長 / 袋井茶文化促進会 顧問
※出典:袋井・茶文化資料館

筆者も松下先生の著書をいくつか持っています。


茶の原産地を探る旅を長らく続けられた50年の歴史が詰まった著書です。
お茶を食べる文化についてもたくさん語られています。
ずいぶん前に読んだきりなので、改めて読みなおしたいと思います。

他にも…(多分まだ出てくるはずですが…ちょっと奥底にありました)

こちらもずいぶん前に読んだきりでした。。
茶の歴史は日々動いていて、今を追うことだけで手いっぱいになってしまいますが、時には過去を振り返り、歴史を学ぶことも大切ですね。
勉強せねば。(;^_^A

御年89歳の茶研究の第一人者である松下先生の話は大変貴重です。
今回、実は初めて松下先生のお話を伺う機会に恵まれました。

晩茶の未来を考える

以下、先生のお話の概要です。

1、日本茶業の現況

①消費の低下
②放棄茶園の増加
③茶価の低下

2、日本茶の長所・短所

①テアニン
⇒過剰摂取により、茶が肥満児になっているのではないか。
②茶の歴史を反省すること
谷啓が昔アミノ酸飲料のCMで「アミノ酸が足りないよ♪」と歌っていた。
  茶でもアミノ酸を摂取できるようにと窒素肥料の過剰投与が行われた。
③茶 タンニンを考える

3、茶タンニンの効果

①茶の歴史はタンニンにある
②茶以外のタンニン食品の有無
③タンニンの人体への効用
茶の健康効果は10種類程度あるが、その中で「カフェイン」「カテキン」の効果
  は大きいものの、「テアニン」は“脳の興奮を抑えてリラックスさせる”という
     効果しか明らかになっていない。

4、茶の多様性
①晩茶の再生
②晩茶、烏龍茶、紅茶、黒茶他
③晩茶研究会の発足
茶葉を煮るか茹でるかして始まる製茶の元祖が晩茶である。
  古きに立ち戻り、晩茶のことを学びなおすべき時期なのではないか。

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中でも個人的に面白かった内容が以下二点でした。

①宇治市内は元はほとんど茶畑だったそうですが肥料のやり過ぎて地下に茶が吸いきれないほどの窒素以外の養分(?)が含まれた場所(盤?)が出来てしまったそうです。
そこに行くとそれ以上根が伸びることが出来ず枯れてしまい、宇治市の茶畑の荒廃が起こりました。
時同じくして田中角栄の改造計画によって茶畑がほとんど住宅になってしまったとのこと。⇒宇治市内の茶畑が壊滅

②肥溜めの下肥を秋頃大量に畑にまき、春の摘み取り前になると下肥と一緒にまかれたティッシュを取る作業があったとか。(先生も実際には見たことがないそうですが)
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科学が発達し機能性のある茶なども出てくる現代において、テアニン過剰の茶から人は離れて行ってしまった。

本当に多量のテアニンは必要か?
山で無施肥で育っている茶にもカテキンやカフェインは入っていて、古くから茶は作られてきた。

5月の新茶ばかりをもてはやす傾向から離れ、年中茶の芽があれば作れる晩茶を作り、今こそ茶製造の原点に近い晩茶について学びなおすべきではないか。

ざっとまとめると上記のような内容であったかと思います。
ご興味ある方は是非、松下先生の「晩茶研究会」へ!

▼FBページ:晩茶研究会

▼HP:晩茶研究会

結び

晩茶は茶が育つ場所で古くから作られていたものです。
阿波晩茶、美作番茶、石鎚黒茶、碁石茶などなど。

先生が仰っていた通り、今の煎茶のように美しい形状ではありませんが、優しいほっとする味わいです。
筆者も最近やかんで煮だして、よく飲んでいます。
ほうじ茶と並ぶ癒し効果。

世界お茶まつり2019でも「Kamikatsu-TeaMate」が出店されていました。
上勝阿波晩茶を生産者別に扱っていたりして、非常に面白いです。
飲み比べると味が違うのです。
(作り手によって味がかなり変わるとか、性格が出ているとか面白い話も聞けました)

阿波晩茶はネットで購入もできます。
一時期乳酸菌発酵茶ということで、テレビで紹介されたようで今人気ですね。


少し酸味があるので、苦手という方もいらっしゃいますが、一度試してみる価値はあると思いますよ。
なにせ、茶の原点ですから!

世界お茶まつり2019!<セミナー編①>「幻の極上セイロンティ~ゴールデンティップス&シルバーティップス~」

前回参加した時は仕事で行っていたため、ブースをちらっと見るだけで終わってしまいました。

今回はセミナーも予約して、参加することができたので、セミナーの内容も少し書いていきたいと思います。



「幻の極上セイロンティ~ゴールデンティップス&シルバーティップス~」でシルバーティップスとゴールデンティップスを堪能する

三階の大ホール北ホワイエ・ロビーで、「スリランカ日本親善クラブ」の方がセミナーを行っていました。



こちらのブースは予約をしていたわけではないのですが、丁度空きがあったためセミナーを受けさせていただきました。

紅茶好きな方は必ず聞いたことがあるはずの「シルバーティップス」と「ゴールデンティップス」。

産毛たっぷりの新芽が入っている紅茶に魅了される方は少なくありません。
新芽たっぷりの画像はこちらに出ていますので参照ください。

紅茶は一芯二葉という、ひとつの新芽に対して二つの葉がついている状態で摘むのが良いとされています。

日本の茶産地でよく見る機械摘みですとどうしても一芯二葉だけではなく、その下の三葉が入ったり、茎等も混入してしまうため、現在でもスリランカやインドは手摘みで摘んでいるところが多いです。
※今は機械摘みのところもかなり増えているようです。
また、大きなハサミのようなものを使用して刈り取っているところもあります。

その中でもさらに、芯芽だけを集めて作っているのが「シルバーティップス」と「ゴールデンティップス」なのです。

一芯二葉を手で摘むだけでもかなりの重労働。
それがあの小さな芽だけとなると、もうそれだけで頭が下がります。

筆者も何度か茶摘みを体験しておりますが、油断するとクモの巣に引っ掛かったり、動物が空けた穴に足をとられたりします。
茶畑って実は結構危険がいっぱいなのです。

遥か昔、スリランカの茶畑を訪れた際に、お茶摘みをされる女性たちの中の数名は裸足だったことを思い出しました。
蛇がいたり、ヒルがいる畑もあると聞きます。
大丈夫だったのでしょうか…今になって非常に気になります。。

その貴重な紅茶をいただく





シルバーティップスから淹れてくださいました。

産毛がキラキラと輝いています…!
見慣れている日本の品種より明らかに芽が大きいです。
<Watawara Tea Ceylon>とパッケージには記載されています。

見てください。
このジュンサイ感!笑

所謂、中国茶の白茶とほぼ同じものでして、芯芽のうまみがしっかりたっぷりです。

こちらと同じものではありませんが、出展者の方が知り合いの農家で作り方を見せてもらった時は、摘採して5日間、ただ室内に置いておくだけだったとのこと。(その後に乾燥機にかけたのか等は不明)

製法は基本的に教えてもらえないので詳細は不明ですが、おおよそ中国茶で言うところの白茶に近いものと考えてよいのではないかと思います。

こちらはゴールデンチップス。
綺麗ですねー。
本当に美しい…。

やっぱりジュンサイ。笑

スリランカの様々なお話を伺いながら、スリランカ産椰子菓子<タラグリ>をいただきティータイム。

目にも心にも麗しい時間でした。

シルバーティップス、ゴールデンティップスを飲んでみたい!

出展者の方のお話によると、ティップス(芽だけ)を摘むスペシャリストがいて、
通常の方が一芯二葉を摘むと18キロで900ルピーだそうですが、スペシャリストがティップスだけを摘むと750gで900ルピーを得ることが出来るそうです。
※茶園によって異なると思われます

ゴールデンティップスはシルバーティップスにさらに工夫を加えて作られているそうで、出展者の方も製法は全く分からないと仰っていました。

他の方にお話を伺ったところ、シルバーティップスに茶汁をかけて着色(着味)をしているのがゴールデンティップスだとか。 
製法は門外不出。
詳しく知りたいものです。

そんなシルバーティップスですが、ネットでも購入できます。
味や香りにはランクもあり、好みもあると思いますので何とも言えませんが試しに飲んでみる価値はありますよね。

気持ちは完全にスリランカへ。
幸せで楽しい時間でした。

また3年後に飲ませていただきたいと思っています!
いえ、スリランカに行って飲みたいです!!!←ただの願望

【注】シルバーティップス、ゴールデンティップスと記載しておりますが、シルバーチップ、シルバーティップ等で記載されていることの方が多いように思います。すべて同じ意味ですが、今回は世界お茶まつりのパンフレットに記載されていた通りの記述とさせていただきました。

3年に一度の茶の祭典!「世界お茶まつり2019」に行ってきました。<概要編>

3年ごとに行われている「世界お茶まつり」。
筆者は前回初めて行きましたが、今年は時間をとってじっくりと行ってきました。

どんなイベントなのか筆者が体験したものを中心に簡単にご紹介します。




【世界お茶まつり2019】
▼期間:2019/11/7(木)-11/10(日)
▼時間:10:00~16:00(7日は11:00から)
▼会場:静岡県コンベンションセンター グランシップ

 

JR東静岡駅南口に向かうとグランシップの看板が見えます。

階段を下りて、数分でトップ画像のグランシップが見えます。

写真の通り、毎回世界お茶まつりの際はグランシップ前の芝生のところで近隣の手作り作家等が出店をしています。
雑貨や布製品、お菓子や陶芸品、また、芝生に布をひいてその上でマッサージを行ってくれる店もあり楽しめます。

グランシップ前の広場では静岡おでんや茶そば、タピオカミルクティなどが購入できるスペースもあります。
外ステージもあり、飲食をしながらアーティストの歌を聴いたりもできたようです。(あまりそこにはいなかったので詳細不明)

ちなみに静岡おでんはこんな感じ。


黒はんぺんと牛すじが入っているのが鉄板なのでしょうか?
どこで食べても一本ずつ串に刺さっており、色が黒めの割りに味はあっさりのおでんです。
削りぶし粉をかけて、からし(味噌)をつけて食べる感じです。
今回は四回食べました。美味しいです。

グランシップに入る前から楽しめるポイント

【ポイント①】グランシップの茶の木

グランシップ向かって右側に入り口があるのですが、先ほどのトップ画像のもっと駅寄りの場所に茶の品種が数種類植えられています。
※垣根も茶の木なのでお見逃しなく!


こんな珍しい品種まで!
ここからすでにお茶好きの血が騒ぎますよね。

【ポイント②】外の展示販売

「日本紙通商」では茶の苗を500円でポットに植えて持って帰ることができます。
筆者が聞いたときは<べにふうき>でしたが、<きらり31>も出ていたとか。
結構多くの方が苗を持って歩いています。
お子様が楽しそうに植え替えをしていたのを何度か見ました。記念になるからいい!

そこを通り過ぎると、グランシップ入り口までテントが並んでいます。

世界農業遺産系の茶草場農法、わさびの伝統栽培、岐阜県長良川の鮎などの展示販売等。

手揉み茶も実演が!
手揉み茶についてはこちらの記事をどうぞ。

中でも常に人が絶えなかったのは「世界農業遺産高千穂郷・椎葉地域」で、試飲もたくさんいただきました。

釜炒り茶の実演も行われていたようです。
こちらは見逃したため、3年前の写真を⇊
(わかる人にはわかる、超有名人)

こちらのブースでスタート早々散財したのは内緒。←多分多くの方がやらかしてる

【ポイント③】世界のお茶を飲める「世界の路上茶屋体験」

様々な世界のお茶を飲めるコーナーが!

時間がなかったので、悩みに悩んでミャンマーへ。

こちらは糯米茶。
オーム、という植物と茶が一緒に入っていて、煮て飲むそうです。
時間が経っていたようで、かなり苦渋かったです。。

揚げパンをつけて飲むのがミャンマーのミルクティ(朝食、イチャクエというそうです)だそうです。
アルミの容器にミルクティが入っていてかわいいです。(注ぐ時に絶対にこぼすけど)

他のコーナーも非常に面白そうでした。
行けなくて無念…。

もうこの段階でかなり財布の体力を消耗。笑

グランシップ内はどんな感じ?

入り口入ってすぐ正面に上下エスカレーター。
左側に総合案内所。
右側にステージ。

そのさらに右奥には中ホールエントランスで、「世界緑茶コンテスト2019入賞茶」が並んでおり、さらに奥から二階では「ティスティング・フェスティバル」が土日に行われていました。

メインとも言えるのが、入り口入って左にある<大ホール:海>の「ワールドO-CHAメッセ

ホールに入ってすぐ、「静岡県農林技術研究所茶業研究センター」が研究結果の展示や品種登録する前のお茶や開発した商品の試飲、アンケートを行っていました。

病害虫の展示なども非常に興味深かったです。(実は今回筆者が一番テンションが上がったところ)

👆こういうやつ。

あとはもう天国です。

お茶の試飲購入もできるし、生産者の話も聞けるし、製茶機械も見ることが出来ます。
日本茶インストラクター協会のブースでは日本茶アワードのお茶を飲むこともできますし、小さい茶席も設けられているところがあります。

もう一回言いますが、天国です。



ゆっくりお茶を飲みたい!

3階に上がると、様々なお茶席を楽しめるコーナーが。
陶器のショップも数件出ていて、涎が出そうでした。(むしろすでに涎が出ていたと思われます)

「体験、工夫茶席」「イギリスの紅茶 最新事情とティスティング」「日本で一番高価な茶を愉しむー八重奏は極上手もみ茶のための究極の淹茶法ー」などなど、数百円から数千円くらいでミニセミナーが受けられます。
もちろん、お話を聞きながらお茶もいただけます。
※無料のコーナーもあります

3階南ホワイエでは、「まるのみしずおか」。
こちらは静岡の生産者が自らの茶の説明をしながら、茶を淹れてくださるというなんとも贅沢なコーナー。(しかも湯呑付きで500円!!!)


筆者は入り口でイベント限定の湯呑を購入して、こちらを使用したため別途茶葉をいただきました。ありがたい!

お久しぶりの生産者、初めましての生産者、数日で多くの方にお会いできてとても楽しむことができました。
購入して飲んだことはあるけれど、生産者の制作秘話や意図などを聞くと余計に興味や愛情がわいてくるから不思議です。

今回筆者はセミナー目当てだったので、それほどフロアは回っていませんが他にも面白そうなブースやコーナーがありました。

4日間まるまる居るというマニアなお茶好きから色々な話を聞いていると、「まだまだ修行が足りぬ」と思いました。←
11月はイベントが多くて、結構お茶好きさん同士会う機会が多いですね。笑

結び





セミナーなどについてはまた別の記事にまとめていきたいと思います。

3年前に比べるとブースが少し減ったような気がしなくもないですね。。
あとは、会場の静岡がやはり多いので、「世界」というからにはもう少し様々な茶葉の購入もできたら嬉しいと個人的に思いました。

台湾茶が多かったような…?

思えばブースの写真は少し撮ったりしていましたが、フロアの写真がないことに後から気づきました。。
これでは伝わりませんね、雰囲気。(;^_^A
Twitterでは「#世界お茶まつり」で検索すると写真や情報がたくさん出てきますので、そちらにお任せします。←

また、今後もイベント続きですので、よろしければこちらの記事も参考にどうぞ。