狭山茶と製茶機械発明家 高林謙三展(令和元年7/27~8/4)

先日「狭山茶と製茶機械発明家 高林謙三展」へ行ってきました。

高林謙三、をご存知でしょうか?
ご存知だという方はかなり日本茶に詳しいはずです。マニア…?
筆者は数年前に某インストラクターの勉強をしていた時に初めて知りました。。

現在の日本茶が大量生産ができるようになったのは間違いなく彼の功績です。
展示の写真とともに、高林謙三の歴史や功績を追ってみたいと思います。

高林謙三という人について





1832年武蔵国高麗郡平沢村(現在の埼玉県日高市)生まれ。
日本の古医学を学び、医者として開業。

欧米諸国と通商条約を結んだ日本の輸出品は生糸と茶であり、茶の生産量を増やすことが急務だと考えた謙三は川越に土地を買い、開墾して茶園経営を始めます。

しかし、従来の手揉製茶法では一日に作れる茶の量は限られるため、製茶機械の開発に取り組み始め、医者として蓄えた財産を製茶機械開発に投じていきます。

試行錯誤の末に1884年(明治17年)に「焙茶器」が完成。
翌年には「生葉蒸し器」と「製茶摩擦器械」も完成。
特許も取得しましたが、止むことなく次々と新しい機械を世に生み出していきます。
1886年(明治19年)には「茶葉揉捻機」でも特許を取ります。

謙三は「自立軒製茶機械」という、蒸しから乾燥までを一括で行う、つまり製茶機のオートメーション化を目指していました。
その開発のために医者を辞め、命を懸けて取り組みます。
しかし、完成したと思われた「自立軒製茶機械」は失敗に終わります。

その後も諦めずに製茶機の開発を続け、1897年(明治30年)に「茶葉揉乾機」を完成。(現在の粗揉機)

現在の製茶機の基礎を作った人として歴史に名を残します。
謙三の作った製茶機はいまだに「高林式製茶機」と呼ばれています。

参照:お茶街道文化会

「狭山茶と製茶機械発明家 高林謙三展」について

★日時:令和元年7月27日(土)~8月4日(日)
★場所:高麗神社 参集殿2階 大広間
★開催時間:9:00~16:00(入場無料)
※トークセッションが7/28、8/4に行われていましたが、筆者は参加できず…


↑こちらが高麗神社


↑「蒸す」道具の変遷
現在も正式な手揉茶は、丸蒸籠のような「まんとう」というもので生葉を蒸しています。(まだ実際には見たことないのですが…。)


↑茶葉蒸熱機(通称、青葉蒸機)


↑生葉蒸器械複製
1884年(明治17年)特許第2号
丸蒸籠より蒸しムラがなく、大量に生葉を蒸すことが出来るとのこと。

こちらの「高林式粗揉機」の中を見ると、今の粗揉機と全く同じであることが分かります。

小さいですが、「旅の思い出2019年5月‐京都府茶業研究所②(製茶機械)‐」にミニチュア製茶機の写真を載せていますので、よろしければ見比べてみてください。



結び

何が彼をこんなにも駆り立てていたのか考えていました。

財を捨て、命を懸けて、死の間際まで製茶機械を作り続けた彼は日本茶のどんな未来を描いていたのでしょうか。
今は彼の思い描いた未来になっているのでしょうか。

実は筆者、製茶機械を先に見るよりも手揉茶を体験しました。

手揉み茶体験の初回、先生に「この手の動きすべてが今の製茶機械の元になっている」ということを聞き、しばらくしてから実際に製茶機械を見る機会に恵まれました。

手で葉を揉みながら製茶機の動きを想像すると確かに同じで、感動したことを改めてい出します。

本で名前と功績だけは知っていたものの、実際に謙三の生き様等は知りませんでしたので、今回非常に勉強になりました。

▼手揉み茶の記事はこちら

ちなみに、「色は静岡 香りは宇治よ 味は狭山でとどめさす」とよく聞くフレーズがあります。
狭山茶は火入れが強く、甘いお茶ということなのですが、筆者はまだ「これがとどめをさす狭山茶か!!!」というお茶は飲んだことがありません。

これから探してみたいと思います。
↓こんなお茶???

旅の思い出2019年4月‐第28回さぬき二ノ宮ふる里まつり(香川県)‐





色々飛び飛びのブログです。。
5月の茶旅の続きから少し遡り、非常に心に残ったとあるイベントのこと。

今回の4、5月の旅では丁度新茶シーズンということもあり、2つのお茶のイベントに参加できました。

一つは宇治新茶 八十八夜茶摘みの集い(2019/05/02)。
もう一つが今回ご紹介する「第28回 第28回さぬき二ノ宮ふる里まつり」(2019/04/29)です。
▼「宇治新茶 八十八夜茶摘みの集い」(2019/05/02)関連記事:

ほんわかした高瀬茶のイベントについて、(いつも以上に)軽めにまとめます。

第28回さぬき二ノ宮ふる里まつり(香川県)について

場所はこちら。

高瀬茶業組合周辺では茶摘み体験、茶畑ろ~どウォークが行われ、二ノ宮小学校の入り口ではうどんや筍のてんぷら等の販売。
グラウンドではライブや手揉み茶実演、バザー販売等盛りだくさん。

★日時★
平成31年4月29日(月・祝)
午前9時~午後3時(小雨決行)

当然、茶メインでの参加の我々。(いえ、うどんは食べまして、非常に美味しかったですけれども。)

まずは朝一で茶摘みを。

こちらはやぶきたの畑のようです。
他の品種を育てているところもあると聞きました。(めいりょく、べにふうき等)

新芽が元気いっぱいで、力を入れなくてもぽきぽきと自然に折れてくれます。
旅の途中ですので、ほんの少しだけ摘んで終わりにしました。

ちなみに、いくら摘んでも100円!!!
年配のおじさまとおばさまが鬼のように摘んで、袋にたっぷり入れて持ち帰ったのを見逃しませんでした。業者の人?!っていうレベルの摘み具合…。

胸に残る「茶畑ろ~どウォーク」





茶摘みから二ノ宮小学校へ向かう途中、当然「高瀬茶業組合」で新茶を購入。
二ノ宮小学校で、うどんと筍ごはんとてんぷらをモリモリ食べて、グラウンドを見て回り、その後「茶畑ろ~どウォーク」へ。

「茶畑の中を歩きながら、スタンプラリーをし、豪華賞品をもらおう!」というような内容。(少々適当)

茶畑の中を歩けるなんて、最高!とカメラのレンズ調整をしながら、いざ出陣。

ん?

あれ??

筆者の知っている茶畑とはどうも様子が…。(;^_^A

ジャングル…???!!!

細かいことは存じ上げませんが、放棄茶園らしき、手入れしていない茶畑があちらこちらに…。

茶は通常機械で摘み取ることが多いので、あまり伸びてしまわないように刈り揃えるのですが、刈ることすらされずに自然と上に伸びています。(しかも元気いっぱい)

とはいえ、茶好きな人間としては、こういうところを近くで見られるのも面白い訳でして、写真を撮りまくりました。

小さな新芽が必死で生きています。

人間の手が加わっていないため、あちらこちらから新芽を伸ばそうとしています。

野性味あふれる茶の木…!!!
素敵だ…!!!←変態(たち)

歩みを進めていくと、少し小高い丘へ。


※写真はいつか直します…。どうしても横になる…。

こちらはおばあちゃま一人で「茶」と見えるように茶の木を植えて、管理をしているそうです。

映える!!!(興奮)

この「茶」が見える場所にスタンプラリーポイントがあり、ハンコを押してもらうのですが、そこにいたおばちゃまが近くで柑橘類の栽培をしているそうで、なんと無料でふるまっていました。(おばちゃんは「売る」って言っていたけど、それは多分「あげる」が正しいよ…?)

丁度無くなっていたのですが、旅の途中なので「ま、いいか」とおばちゃんとお別れ。

さらに道を進んでいくと、

あ、茶畑らしくなってきた!!!

そうそう、筆者の知っている茶畑はこういうやつ!!!

…いや、もしかしたら多くの人が茶畑と思っている茶畑は、本当の茶畑ではないのかもしれない…とかいろいろなことを考えながら、ぼちぼちと歩いていると、先ほどのおばちゃんが軽トラで登場。

袋一杯のいよかん?やら金柑やら(しかも枝ごとw)を袋に入れて、「持っていきなー」と追いかけてくれました!

わーーーー!!!!
すげーーーーー!!!
おばちゃん、ありがとう!!!!

とテンションは上がったものの、現在6キロの道のりの半分ほど。
恐らく5キロ以上はあるであろう大量の柑橘類入りの袋…。

それを持たされた方の「思いが重い…」という名言をここに記しておきます。

その後は整備された茶畑を離れ、神社を通過し、果てしなく続く道路を汗だくで歩いていると、神社のスタンプラリーポイントにいたおじさんが再び軽トラで登場。

「もうスタンプラリー終わったから、これあげるわー」

と、参加賞のペットボトル入り茶やお菓子を下さいました。
っていうか、終わったんだ…w

わーーーーーー!!!
おじちゃん、ありがとうーーーー!!!!

「思いがさらに重くなった…」という名言②とともに、まだまだ続く道のりをひたすらに歩き、二ノ宮小学校に戻ったのでした。



結び

地元の美味しいうどんや、筍と地元の方たちの優しさに触れて、非常に心温まる楽しいイベントでした。

元々は茶を手で摘んでいたのだから、きっと放棄茶園のように上に伸びる茶の木から新芽を摘んでいて、そこから管理しやすく腰くらいの高さに刈り揃えるということをするようになったのでしょうし、「茶畑ろ~どウォーク」では茶栽培の進化を見せてくれたような気がしています。(意図しているのかどうかは知りませんが…)

また、この温かい土地での茶の栽培も下火になってきているのではないかと心配になったり…。

 

何より素晴らしいと感じたのは、地元の方たちがとても楽しそうにイベントを行っており、老若男女問わず多くの方が集まってきていたこと。

綺麗で美しい茶畑ばかりではないけれど、「茶」が生活に自然な形で取り込まれているのを見たこと。

仕事柄、日々都会的でちょっと尖ったお茶ばかりを好んで飲んでしまいますが、この素朴で温もりのある高瀬のお茶を飲んだ時、心から「ほっ」としたのを今でも忘れません。

こういう「茶」もいいなぁと心から思ったのでした。

本当に楽しいイベントでした。
是非来年も参加したいです!

台茶24号誕生!台湾生まれ台湾育ちの新品種?!




中華民国(台湾)の行政院に属している、行政農業委員会(日本の農林水産省にあたる)茶業改良所が2019/8/6に新品種台茶24号が発見されたというニュースをアップしています。
日本の茶業試験場、茶業研究所と同じイメージですが違っていたらどなたか教えてください。

台湾の茶業界では「タイワンマス(中華民国指定国宝魚)」ほど希少な在来種が発見され、19年間育種をしてきたものだそうです。
原木は氷河期時代にあったものだとのこと。

マッシュルーム、アーモンド、珈琲のような独特な香りを有しているそうです。

台茶24号って何?

台湾の茶の品種には通し番号がついています。
台茶1号、2号、3号…今回の台茶24号。

筆者が個人的に馴染み深いのは「台茶18号」です。
通称、「紅玉」と言われる、紅茶用品種です。
※りんごではありません

初めて≪台湾の紅茶≫と聞いて飲んだのがこの「紅玉」で、スリランカのウバのようなサリチル酸メチル(スーッとした薄荷のような香り)を感じ、強く印象に残っていました。

紅茶を例に出したので、日本の紅茶品種で見てみますと「べにふうき」という品種があります。

「べにふうき」は<べにほまれ>と<枕cd86>を親に持ち、鹿児島県枕崎の茶業試験場で
育てられました。
1993年には≪茶農林44号≫として品種登録がされています。
ちなみに、農林水産省の品種登録ホームページにていつ登録されたのか等が検索できます。



そもそも育種って何?

そうそう、そもそも育種って何?という方もいらっしゃるかと思います。
筆者もよくわかっていませんでした。(今も細かいところは分かりません。やったことないから)

かなり前に試験場に話を伺いに行った際、お話を伺ったことがあります。

“チャノキ”(学名カメリア・シネンシス)は自家受粉しません。(他花受粉)
つまり、花が咲いて、自分のおしべとめしべで受粉しないのです。

そのため、茶業試験場で茶の花が咲くと、育種したい品種の花粉を取り、違う品種に受粉させます。
そして、他の花粉が混じらないように花に袋を被せ、実が成るのを待つそうです。

結実しないこともあり、結実したものを土に植えても発芽しないものもあり…。
さらに、発芽して数年経っても枯れたり、うまく育って新芽を取って茶を作っても病害虫に弱く品種として登録できなかったり…。

さらに言うと、ある程度病害虫に強いとか耐寒性があるとか、新品種として特徴があるものは、農家さんに里子に出され、実際その土地でどのように育つのかを調べます。

よって、たった一つの品種が生まれるのにも十数年かかるということでした。
話を伺っているだけでも途方に暮れました…。
研究員一人が一つの品種を生み出すだけでも奇跡に近いんじゃ…?

品種って簡単に言うけど、ものすごいたくさんの方のたくさんの貴重な時間が費やされて生まれているのだと思うと堪らなく愛おしく思えます。

と。
ちょっと余談が過ぎました。。

今回の台茶24号は原木が氷河期のもの、とのことですので種が見つかったのでしょうかね?
それを茶業改良所で大切に大切に育てて、挿し木で増やして…とやったのではないかと勝手に推察します。(違ったらごめんなさい)

【追記】
中央通訊社の記事に記載がありました。
氷河期の遺存種で、「台茶」シリーズの中で初めての在来種の山茶となるそうです。(2019/8/8)

結び

台茶24号の≪マッシュルーム、アーモンド、珈琲≫の香りが、緑茶、烏龍茶、紅茶と作り分けた時にどのような変化を見せるのか、味はどうなのか、非常に気になります。

台茶23号もデビューしたばかり。
※こちらは紅茶用品種とのこと。

日本の新しい品種も全く飲めていないっていうのに、世界中でどんどん新しいお茶が出てくるから大変です。←
公益社団法人静岡県茶業会議所では【新版 茶の品種】が2019年3月に刊行されておりますが、購入したもののあまり見ていないっていう…。
【新版 茶の品種】を購入したい方はこちら

チャノキに限らず、お米や野菜なども美味しいものや珍しいものが年々増えていくのは、農業試験場(研究所)の方々のおかげですね。

農業(茶業)の奥深さを感じつつ、今後も新品種の動向を追っていきたいと思います。

参照:行政院農業委員会茶業改良所HP



【大人の社会科見学】ビート資料館―白砂糖は悪?-





北海道帯広市にあるビート資料館へ行ってきました。

「白砂糖は体に悪い」「白砂糖は体を冷やす」等の話を以前からよく聞き、隙あらば謎の健康食品を勧めてくださる方たちがいらっしゃるのですが、本当に体に悪いのか、体を冷やすのかは甚だ疑問です。

科学(化学、物理、数学…)に滅法弱い筆者は正直具体的なことは分かりませんし、分かろうともあまりしていません。
そこはどうでもいい、というところが本音です。

ただ、≪自分の目で見たものを信じる≫という信念があるため、ひとまずビート資料館に行ってみることにしました。

というかそもそも、砂糖は紅茶と切っても切れない縁があります。
その辺りの勉強を進めていきたいため、まずは資料館へ。

ビート資料館(日本甜菜製糖株式会社)

ビート資料館は日本甜菜製糖株式会社(以後日甜と表記)の創立70周年を記念して、平成元年にオープン。

てんさい糖の栽培、製法から日甜の設立から歴史、てんさいが北海道にもたらした経済効果など、様々なことが学べます。

ちなみに、館長さんのお話は是非聞いた方が良いです。
知識の豊富さ、日甜への愛に溢れていて、非常に勉強になります。

【場所】
〒080-0831
北海道帯広市稲田町南8線14

外観はこのような瀟洒な建物。
敷地内には鉄道のレールと模型、コーリス式蒸気機関および発電機などが展示してあります。

また、昭和天皇行幸の際の記念碑も鎮座しています。



てんさいの栽培

てんさい(甜菜)は和名で、サトウダイコンとも言います。
英名はシュガービート。
ヒユ科、フダンソウ属です。

ヒユ科の仲間にはほうれん草があるようです。

形は大根とかぶの中間のような感じですね。


なんだろう、このキャラ…。おそらくシュガーちゃん…。そしてなぜ縦にならないのか…。

「砂糖」には≪てんさい(甜菜)≫と≪さとうきび≫原料のものが二種類あります。
今回はてんさいの砂糖について。
自身が見た限りですが、札幌市内のスーパーに流通している砂糖はてんさい原料がほぼ100%に見受けられました。←実は地味に必ずチェックしている

春に種を撒いて、秋(10-11月くらい)に収穫されます。

サトウキビは暑い地方でしか栽培されていませんが、てんさいは寒冷地で育つので現在北海道のみの生産で、北海道の特産品となっています。

さて、てんさいの栽培ですが、日甜ではオリジナルの栽培方法を確立し、オートメーション化を進めてきました。

例えば、ロングピッチチェーンポットというものを利用し、苗を育てます。

こちらの一つ一つの枠に種を入れて、苗を育て、そのまま畑に植えられるとのこと。
ロングピッチチェーンポット自体は時間が経つと自然に土に還りますし、他の種に成長を邪魔されずに根を伸ばせるという利点があり、現在全体の75%ほどのビートの育苗に使用されているそうです。(道内で7万haほどのビート畑があるそうですので、相当量ですね…)
※他の野菜にも多数使用されています。



こういうものを見ると、「茶では使えないんだろうか…」とつい考えてしまうのですが、そういえば品種によって下に根を伸ばすものと、横に根を広げるものとあることを思い出し、「茶は無理かも」とぼんやり思っていました。
※実際のところはどうなのか知りたいので、もしご存知の方がいらしたらお教えください。

【追記】
「図解 茶生産の最新技術‐栽培編‐」にロングピッチチェーンポットと同様のポットを使用して苗を育てている写真が掲載されておりました。
ただし、3-4か月ポットで苗を育てると、根がかなり伸びて土に植える際には断根をしなければならないため、ポットの底面以下に根を伸長させないよう、「コンテナ内ポット育苗法」が開発されたそうです。(2019/08/08)

てんさいから砂糖へ

見た目大根のようなかぶのような植物からどうやって砂糖が作られるのでしょうか。

最初に申し上げたのですが、「砂糖は悪」と考えている方に「砂糖は漂白しているから体に悪い」「白砂糖は体を冷やすので三温糖を使っている」等を伺ったことがあります。

こちらの館長は力を込めて、「漂白などしていません!」と訴えておられました。
それだけたくさんの方に言われているんだろうな…。お気の毒…。

ビート資料館内でも多くの映像を見ることができますが、Youtubeでビートの育成、砂糖への加工等の映像がありましたので、こちらを貼っておきます。

石灰を混ぜて、不純物を取り除くところが問題なのでしょうかね…。
(異物混入的な?)

例えば漂白剤を使用して黒い砂糖を白くしているところなどは映像にありません。
化学変化を利用して、不純物を取り除いている、ということです。

筆者はその辺りの化学変化等はよくわかりませんが、上記映像で砂糖の栽培や製法は理解できました。

また、館長がこちらも声を大にして仰っていましたが、「三温糖が白砂糖より体に良いというのは迷信」ということ。

映像の中にもありましたが、てんさいを細かく切り(コセット)、70℃のお湯に漬けて糖分を抽出します。
抽出された糖液に石灰を加え、炭酸ガスを吹き込んで不純物を取り除きます。
その後イオン交換樹脂を用いて、残った不純物を取り除き、糖液を熱で煮詰めさらに濃い糖液を作ります。
そこに、結晶の元となる粉糖を加えて、結晶化を進め、ブドウ糖と果糖が結びついて砂糖が出来上がることになります。

結晶化した砂糖と蜜を遠心分離機で分離して、最初に出来上がるのがショ糖分が高い(精製度が高い)「グラニュー糖」。

残った蜜にはまだまだショ糖が残っているので、再度煮詰めて結晶を取り出すという工程を何度か繰り返します。

三温糖はグラニュー糖を取り除いた後の蜜を煮詰めて、結晶化させる工程を三回行った際に、加熱によってカラメル化し、茶色く着色されたものです。
※三回加熱するので、「三」という数字がついているとか。

よって、三温糖は他の砂糖よりミネラルが多く含まれているから茶色という訳ではありません。
※灰分が0.25なので、グラニュー糖(0.01)よりは多いですがごく微量。

グラニュー糖は三温糖よりショ糖の純度が高く、無色透明のショ糖の結晶が光を乱反射することにより白く見えているだけです。

プリンのカラメルなどを思い出すと分かるかと思いますが、強い甘味が感じられますよね。
カラメル化している三温糖は甘味を感じやすいため、煮物などに向いているといわれます。(中ザラ糖も同じ原理でカラメル化されています)
多分「健康に良い」とか人気があるから価格も若干高いのだと思われます。何か騙されている感じ…

砂糖からミネラルを多く摂取したいなら、所謂不純物(ミネラルを含んだ)を精製していない砂糖を選ぶのが良いと思います。


とはいえ、砂糖はそもそも調味料であって、料理の脇役。
あくまでも甘味をつけるためのものです。

ミネラルが取りたいなら、海藻や野菜等をきちんと摂取すればいいのでは?という話です。

以下は今回見学に行ったビート資料館を運営している日甜が出している商品ですが、館長曰く「お客様からのご要望が多く、割と最近市場に出るようになった」とのこと。


結び

紅茶とペアリングする砂糖の種類については今後も学びを深めていきます。

例えばはちみつを紅茶に入れると黒ずむのははちみつ中の鉄分と紅茶のタンニンが結びつくためと言われています。(ちなみにはちみつも筆者は大好物で、また記事を書く予定です)

それと同様にミネラルが多い砂糖を紅茶液に入れた時の水色や味わいの変化等を、実際に試しながらまとめていきたいと思っています。

実は紅茶と砂糖は歴史的にも切っても切り離せないところがありますので、その辺りももっと深めたいです。
砂糖がなければ今日の紅茶はなかったかも?

また、筆者が大切に持っている砂糖の本をご紹介しておきます。
砂糖の歴史について詳しく書かれているので、サトウキビ栽培や奴隷制度等砂糖にまつわるエトセトラを知りたい方には必読の書かと思います。

機会がありましたら、ビート資料館へも是非足をお運びください。


お茶にまつわるものを調べだすと面白くて止まりません。

お茶って本当に良いものですね~。
さよなら、さよなら、さよなら~。←

旅の思い出2019年5月‐京都府茶業研究所②(製茶機械)‐




もう8月となってしまいましたが、5月の旅を振り返りたいと思います。(いまさら感が酷い…)
先日ご紹介した<旅の思い出2019年5月‐京都府茶業研究所①(玉露の本ず栽培)‐>の続きとなります。

さらに昨日アップしたインド紅茶局の方が作った小さい製茶機械の記事も合わせてご覧いただけると幸いです。

小ロットで製茶ができる機械セット~インド紅茶局スタッフが作った小さな製茶機械セット~

蒸し製煎茶の作り方

宇治新茶 八十八夜茶摘みの集いに伴う京都府茶業研究所の見学には、蒸し製緑茶の製茶機械の説明がありました。

写真多め、説明少な目(?!)で製茶機械のご紹介をしていきたいと思います。

日本で主流の<蒸し製緑茶>は生葉を収穫して、すぐに酸化酵素を熱で壊し、そこから揉んで、形を整えて作られます。

工程としてはざっくり以下となります。

<摘採(茶葉を摘む)>

<蒸熱(茶葉を蒸して急冷)>

<葉打ち、粗揉(水分を切りながら、軽く揉む)>


<揉捻(水分を均一にするため揉む)>

<中揉(ほぐしたり、軽く揉んだり整えたり)>

<精揉(形を整えながら、乾燥を進める)>

<乾燥(茶葉の水分含有量を5%くらいまで乾かす)>

 

ざっくりが過ぎますが、このような流れです。

製茶工場見学(京都府茶業研究所)

では、製茶の機械を見ていきましょう。

こちらが蒸し機です。
<蒸熱(じょうねつ)>の工程に当たります。

生葉を入れ、高温の蒸気に当てて葉の中の酸化酵素を一網打尽にします。


なぜかどうしても縦になってくれません…。

<粗揉機>は飛ばして、<揉捻機>です。
こちらでは茶葉に圧は加えますが、熱は加えません。
茶葉全体の水分を均一にする目的があります。

35Kですので、かなり小さいです。
メーカーによっても違うのかも知れませんが、寺田製作所では、35K、60K、90K、120K、200K、250Kとあるようです。

そして、<中揉機>。
<揉捻機>から出た茶葉は丸まっていたりするので、ここでほぐしたり、さらに軽く揉んだりします。

手揉み茶を体験すると、非常にこの流れがよくわかるようになります。
手揉み茶の記事はこちら

こちらは<精揉機>。
茶葉を細く撚る工程となります。
合わせて、乾燥も進めていきます。


なぜかどうしても縦になってくれません…。パートⅡ

<乾燥機>です。
棚型の乾燥機でした。
この工程で13%ほど残っている水分を5%まで下げます。

 

で。
ざっくり写真を入れて説明をしてみたのですが、ところどころ無い(粗揉機とか)機械もありますし、わかりやすいように動画を探してきました。←今までの説明全部無駄w

ちなみに、筆者は製茶工程がなかなか覚えられず、某インストラクター試験の前はYouTubuで動画を見まくりました。
下の動画に出てくる工場は3年前ほどに伺いましたが、製茶機械もそれほど大きいものではなく逆に工程が分かりやすいかと思いますので、参考にどうぞ。




マニア涎垂の…

ここまではどこの茶工場でも大きさは異なりますがあります。

筆者がテンション上がりまくったのは上記機械のミニチュアです。

2Kって!!!
先ほど寺田製作所の最小が35Kな訳ですよ。

それが2K!!!
欲しい。←漏れ出る本音

ちょっとした実験用に使用したりするそうです。
以前静岡の金谷に行ったときも同様の機械があり、欲しい欲しい欲しい…とずっと言っていたのを記憶しています。

昨日インド紅茶局の方がお作りになった製茶機械の話もそうですが、ミニチュアが昔から好きな筆者は小さい、というだけで胸がときめきます。←

ということと別に、ちょっとだけ製茶をしたいという時にこのサイズは非常に良いなぁと思います。(小ロットで様々な種類のお茶が作れるから)

欲しい。
ただ、欲しい…。

結び

製茶機械は個人の方が所有している小さな機械も見たことがあります。
とはいえ、茶工場では1日に処理する生葉の量が多いので、大きい機械がメインかと思います。

5月の旅はすべて書ききれる自信がすでにありません。。
書きたいことは山のようにあるので、少しずつ更新をしていきたいと思います。

そして気づくとどんどん本性が出てきた文章になっているな、と実感中。
最初は固い感じで書き始めたんですけどね。
最近の軽いこと軽いこと。

まぁ、いいでしょう。

全然関係ない結びでした。←




小ロットで製茶ができる機械セット~インド紅茶局スタッフが作った小さな製茶機械セット~




少し前の記事となりますが、インド紅茶局の方が簡単に製茶ができる機械を開発したという記事がありました。

インド紅茶局のアシスタントディレクターである男性が2キロのお茶を作れる小さな製茶セットを作ったというもの。

筆者は趣味で時折お茶作り(製茶)をやらせていただきますが、すべての工程を手で行うため、それはそれは高尚な趣味な訳です。

簡単な茶種であっても数時間は最低かかります。(すべての茶種を作ったわけではありませんので、自身の知る限りですが)

そして1日で作れる量も生葉で1キロくらいがせいぜい。
生葉を手に入れるのもなかなか困難なため、完成品も当然少量です。
※あくまでも筆者の話です。

そもそも製茶機械とはどんなもの?

作る茶の種類(緑茶、烏龍茶、紅茶等)により、必要な機械は異なります。
すべてを釜だけで作り上げる中国の緑茶などもありますので、一言でまとめることができません。

今回は紅茶用機械の例を写真とともに簡単にご紹介します。。

▼萎凋(槽)<いちょう>

葉を揉みやすくするために、萎れさせるところです。
自然の風で行う場合もあれば、温風を当てる場合もあります。


インドダージリンの茶園

 

▼揉捻<じゅうねん>

萎れた葉を機械で揉みます。
手で行う場合は、板やざる、布などで揉む場合もあります。


静岡

インドやスリランカの揉捻機の大きさが分かりやすい写真がなかったため、静岡で和紅茶をお作りになっている農家さんの揉捻機の写真を載せておきます。

2枚目の写真をご覧いただくと、人が簡単に入るくらいのサイズ感であることがお分かりいただけるかと思います。

 

▼酸化発酵<さんかはっこう>


インドダージリンの茶園

上記写真では自然酸化発酵を行っていました。
電熱線が下に入っていて、温度を上げて強制的に酸化発酵を促すこともあります。

 

▼乾燥<かんそう>

揉んだ葉を乾燥させます。
大きな機械に葉を投入し、乾燥を行います。

 

▼ふるい分け


インドダージリンの茶園

乾燥した茶葉を大きさに分けてふるい分けやゴミを省いたりします。
人の手でゴミや悪い茶葉を取る茶園もあります。

非常に簡単ですが、このような流れで紅茶は作られます。
※オーソドックス製法



インド紅茶局のアシスタントディレクターが作った製茶機械とは?

こちらです。


写真出典(元記事)⇒こちら

本当にコンパクト…!!!

この機械は、<萎凋槽><ローラー(揉捻機?)><発酵室><加湿器><乾燥機>を装備しているそうです。

残念ながら実物を見なければどれがどのように動くのか、どうやって使用するのかが分かりませんが、実際にこの機械を導入してから3か月以内に【白茶】【緑茶】【烏龍茶】【オーソドックス製法の紅茶】を作ったそうです。


写真出典(元記事)⇒こちら

美しい茶葉の形状…。
これがあの機械でできるのか…。ほしい…。←本音

しかもしかもしかも!!!
こちらをお作りになったアシスタントディレクターによれば、家庭にあるような道具で作れ、1,5000ルピーで出来るとのこと!!!

1,5000ルピーですと、おおよそ2,5000円くらい!!!!!

小さめの揉捻機だけでも数十万円するというのに!!!!!
すべての機材がそろって、2,5000円!!!!!

送料を考えたって、作って送ってほしい…と記事を読みながら何度もつぶやいたのでした。←心の声が漏れ出てる状態

とはいえ、こちらは趣味で作ったわけではなく、小さな茶農家が自家製茶が作れるように開発されたものだそうです。

茶葉のみを大きな茶工場に持ち込んで売っている、小さな茶農家がそれぞれ自分のところで自家製茶を作ったら…。
将来的にはとても面白いお茶が小ロットで登場するかも知れません。

茶好きとしては非常に興味深いので、是非普及していってほしいです。

結び

茶業試験場には試験的に製茶を行う機械が置いてあります。
こちらも2キロくらいずつ作れると話だったかと思います。

先日京都の茶業試験場でも製茶機械を見せていただく機会がありましたので、そちらも追ってアップしたいと思います。

昔は手ですべて行っていた製茶ですので、実際に手作り茶を作ると、茶の成り立ちが見えて、非常に面白いです。

ちなみに、手で製茶する際の道具はこんなものを利用しています。(ごく一部)

こちらは萎凋用、揺青用に使用しています。
梅や野菜を干すのにも使えます。(というか、本来はこちらが正しい使い方)

こちらのザルの上で茶葉を揉むこともあり、酸化発酵を行う時もあります。
なんなら、粉も振るえます。

かなり必要不可欠な道具かも?



こちらは揉捻機の代わりに茶葉を揉む時に使用するもの。

紅茶をしっかりと揉みこみたい時に使用しています。
茶汁がしみ込んで、着色するのも素敵。←マニアックで伝わりにくい(笑)

などなど。

生葉を茶農家さんに販売していただける、家の庭に茶の木がある等、生茶葉が手に入りやすい環境にいる方には是非自分で手作り茶(自製茶、自家製茶)をお試しいただきたいと思います。(農家さんのご迷惑にならないようにしてくださいね~)

簡単にお茶を飲めるグッズ③ーHARIO/ハリオ フィルターインボトル・ポータブルー




本日はしばらく更新をさぼっておりましたため、軽いネタからアップしたいと思います。
おススメのお茶グッズ、HARIOのフィルターイン・ポータブルです。

お茶を入れたまま持ち運べるポータブルボトル

個人的にヘビーに使用しているHARIOさんのボトル関係です。
前回紹介しているのがこちら⇒HARIOのカークボトルはすごい

お茶の仕事されている方がこぞって使用していまして、お茶関係のイベントに行くとびっくりの登場率です。
さぞかしHARIOさんは儲かって…(略)

お茶関係の方たちが好んで使う、ということはそれだけ使い勝手が良く、利便性に優れていると言えます。
筆者もかなり活用させていただいています。
今はカークボトルが水出し用にフル回転です。(もう少し本数を増やさないと間に合わない…)

お茶の教室、イベントにも大活躍。
オシャレですし、使い勝手が良く本当におススメばかり。

HARIOのフィルターインボトル・ポータブルはどんな感じ?

作りは前回ご紹介したカークボトルに似ています。
パッキンがついていて、茶こしがあり、そのまま茶葉を濾して注げます。

ポータブルなので、今回の売りとしては「水出ししたものをそのまま持ち運べる」「茶葉を入れたまま移動ができる」というところです。

分解ができるのはカークボトルと同じですが、サイズは少し小ぶり。
サイズは、幅が7.4㎝、高さが24㎝。
これで400mlも入ります。

お茶好きな人間としましては、常にお茶を持って歩くわけです。
その日の気分によって、仕事前に茶葉を選び、途中で茶葉を入れかえることを考えたりするのも楽しいものです。

筆者の職場ではマグカップ等が持ち込めないため、どうしてもお茶ライフのクオリティは下がってしまいます。(QOTとでも言いましょうか。←)
ですが、きちんと密封されてこうして茶葉を入れたまま持ち歩けますと家で飲むのと同じ(少々言い過ぎ)味が楽しめます。

さらに、軽い!(水なしで230g)

筆者が使用していた茶濾し付きボトル

筆者がつい先日まで使用していたのはビタントニオのツイスティ―なのですが、お茶が300㎖弱しか入らず、さらに少々重かったです。(ちなみに水なしで420g)
あとは少し茶葉を入れる茶漉しが小さい印象。



しかし、特筆すべきは茶を抽出した後、さかさまにして本体を捻ると、お湯が切れてこれ以上味が出ないという部分です。(茶葉が入っている部分に湯が流れないようにできる)

さらに、二重構造になっており、保温力が高いという点ではおススメです。
若干重いですが、しっかりした作りなので落としてもそうそう壊れません。
←何度も落とした人

余談ですが、ビタントニオの前に使用していたのが以下のものなのですが、こちらは500㎖入り、重さも水なしで280g。
茶葉を入れて、お湯を注ぎ、そのまま持って歩けるのですが、持ち手部分(ウエストの部分)が細く、ゴム製のため持ち歩きやすいです。少しスリムなので、リュックの脇のポケットにも入るし、こちらは長らく使用していました。


他にもガラス製のもの等々ありますので、ご自身の好みでお選びいただくのが良いと思います。

結び

HARIOさんはお茶に興味を持ち始めた時からずっとティーポットや急須、グラス、ピッチャ―とお世話になり続けてきました。

時代に合わせたオシャレなデザインや、何よりお茶好きな人の心をつかんで離さない多種多様な商品(珈琲も色々あるんですよねー)がたまりません。

最近は新商品が出ると、Twitter等でお茶好きさんがいち早くお知らせをしてくださるので、拡散も早いです。
気づくとみんな持ってる。笑

HARIOさんだけに限らず、ご自身で色々探してみて、試してみるのが良いと思います。
フォルムにひとめぼれして買ったけど、結局外には持ち歩けず、家で使用しているというものも、実はあります。

ただし、真夏は茶葉を入れっぱなしにして持ち歩くのは少々危険です。
茶葉を抜いて、保冷がしっかりできるものを持ち歩く方が良いと思います。
実は一日入れっぱなしでおなかを壊した経験があります…

あと、パッキンの清掃もしっかり行ってください。

筆者は歯ブラシと併用してボトル用のブラシセットを常備しています。


お安く販売されていますので、是非!
あとは時折うすーい漂白剤に漬け込みましょう。
よく水で洗い流し、その後熱湯を入れて振れば、ほとんど臭いも気にならなくなります。暑い夏は水分補給とともに、菌の繁殖にお気を付けくださいませ!

水分補給についての記事は【熱中症と思ったら何をする?】、【熱中症予防に給茶やお茶Bar】なども合わせてご覧ください。




旅の思い出2019年5月-日本最古と言われる日吉茶園-

ちらりとですが、日本最古の茶園と言われている日吉茶園を見ることができました。

≪日本最古の茶園≫と呼ばれているところは2か所あります。

一つは「栂尾山 高山寺」。
もう一つが今回見に行くことができた「日吉茶園」。

日吉茶園の場所はこちら

 

日吉茶園と天台山について




805年(延暦24年)最澄が中国浙江省天台山から、茶の種を持ち帰り植えたとされています。

最澄が一番多く学んだのが天台山だったそうで、天台山は「雲霧茶」という緑茶も作られています。
(残念ながら筆者は飲んだことがないのですが)

中国の辞書サイト「百度百科」で≪天台山雲霧茶≫を検索すると、
雲霧茶の説明とともに、「公元804年,日僧最澄天台山拜师学法,回国时带去茶籽,播种在比睿山,人称“日吉茶园”。」と記載があります。

同じく「百度百科」によれば、雲霧茶が作られているのは海抜800m~900mのところで、年間平均気温は12.2℃。
年間降水量は1900mmで、夏は涼しく、冬は寒い気候だそうです。
茶は日本のように畝になっているわけではなく、点々と植えられており、その間には寒さや風を防ぐために他の木が植えられているとのこと。

日本も冬は寒くなりますので、こうした環境で育っている茶の種なら問題なく根付いたことでしょう。

現在の日吉茶園

お茶好きな方でここまでお読みいただいた方でしたら、きっとワクワク感があるのではないかと思います。(勝手な思い込み)

では、日本最古と言われている現在の日吉茶園のお写真を!!!

あれ?!
案外小さい…。
数秒で一回りできるほどの大きさです。

ですが、大切に管理されていることが分かります。

新芽は力強く伸びています。

この木たちが、はるか昔、浙江省の天台山からやってきたのかと思うと胸が熱くなりますね。(筆者だけでしょうか…?)

何年か前にDNA鑑定を行ったところ、確かに天台山の茶樹と同じものであったことが分かったそうです。(論文を見つけることはできませんでしたが…)




結び

思っていたよりは少々小さいものでしたが、毎年ここで新茶が摘まれ、日吉大社と延暦寺にお供えされるというニュースを見ていましたので、感慨ひとしおです。

参照:御鎮座1350年祈念事業 日吉茶園お茶摘み体験(5/2-5/5)のご案内

20株ほどしかないため、一握りしか茶葉は摘めないそうですがご利益がありそうです。

また、こちらの日吉茶園だけでは販売できるほどの収量がないため、こちらの木を分けて甲賀市で栽培され、そのお茶が2017年頃から販売されています。

中川誠盛堂茶舗

筆者も以前お茶仲間とこちらのお茶をいただきました。
ワイワイ騒ぎながら飲んだためあまり記憶にないのですが、最澄が中国から持ってきた茶種の遺伝子を持った希少な茶であると思うと、もっと大切に飲めばよかったと後悔しきり…。(;^_^A

またこの背景を踏まえた上で、今度はしっかりと味わいたいと思います。

そして次に京都に行く際にはもうひとつの高山寺を目指します!

 

旅の思い出2019年5月-京都府茶業研究所①(玉露の本ず栽培)-

GWに茶旅をしてきました。
プロフェッショナルの友人にアテンドしてもらい、あちらこちらに連れて行ってもらいました。
頭が上がりません。ありがとう!!

筆者がまずテンションマックスになった数か所からご紹介しようかと思います。

京都府農林水産技術センター 農林センター茶業研究所

茶業研究所は全国にいくつかあります。
静岡、熊本、三重、埼玉…などなど。

筆者は数年前に静岡の「野菜茶業研究所 金谷茶業研究拠点」の見学をさせていただきました。
その時もテンションが降り切れんばかりに写真を撮りまくりました。

茶業研究所では、その名の通り茶の研究を行っています。
業務内容は多岐に渡りますが、例えば、新しい品種の開発等が行ったり、茶業の指導などを行っています。

今回筆者は「宇治新茶 八十八夜茶摘みの集い」という5/2に行われたイベントに参加し、茶業研究所の見学をしました。
手揉茶の体験、茶摘み体験などなど様々なイベントが行われており、研究所の中も一部のぞくことができます。
なかなか一般人は中に入ることがありませんので、こうした公開イベントは非常にありがたいです。

参照:宇治新茶 八十八夜茶摘みの集い



宇治と言えば…

宇治と言えば、抹茶を思い浮かべる方も多いかと思います。
★以前の抹茶の記事はこちら

もしくは玉露を思い浮かべる方もいらっしゃるかも知れません。

抹茶も玉露もどちらも覆いを被せて、摘み取る前に日光を遮ることによって旨味を増す栽培方法になります。
これを「覆い下栽培(おおいしたさいばい)」と言います。

日光を遮ることにより、旨味の成分テアニンがカテキンに変化するのを防ぐことができます。(ざっくり説明)

その覆いをかける方法にはいくつかあります。

①支柱を立てて覆いをかける

 

②直掛け

「直掛け」はその名の通り、茶葉に化学繊維を直に掛けます。
めくると、緑の葉っぱが元気に出てきます。

この黒い化学繊維は「寒冷紗(かんれいしゃ)」と言います。
霜害を防ぐために掛けることもあります。
こちらでは、いつ頃どれくらいの遮光率のある寒冷紗をかけているのか、実験を行っているようでした。(それぞれに札がついていました)

他にも、野菜のようにアーチ形に支柱を立て、そこに繊維をかける方法もあるようです。(筆者はまだ生では見たことがありません)

野菜を育てている畑などでも見かけるので、見たことがある方は多いかと思います。
最近は色も黒や白だけではなく、様々販売されていますね。

煎茶の場合は、直射日光に当たったまま摘み取られますが、抹茶や玉露、かぶせ茶は摘み取りの数週間前から数日~数週間覆いをし、旨味成分が多く、柔らかい芽を育てます。
※日数や期間などはその年によっても異なりますし、作る茶種によっても異なります。

昔はどうやって作っていたの?

16世紀後半にはこの宇治で「覆い下栽培」が始まったといわれています。
これが千利休をはじめとする、抹茶のスタートです。
※ちなみに、煎茶はさらにあと、江戸中期くらいに作られるようになります。

千利休の頃、さすがに今使用している化学繊維の寒冷紗はないですよね…。
どうやって覆っていたのでしょうか…。

その時代は、「本ず栽培」でした。

「本ず」というのは、<よしず>と<藁>で茶を囲う栽培方法です。
<よしず>はすだれのようなもの。
<藁>は…わらです。

<よしず>は実家の日よけに、昔使っていたのを思い出します。
<よし>の別名は<あし(葦)>というイネ科の植物です。

かの有名な「人間は考える葦である」の<あし>です。
※フランスの哲学者、パスカルの名言



横道に逸れましたが、つまり天然の植物を使用して覆いを作っていました。
当然、今のように支柱は金属ではありません。
竹などを組み合わせ、その上に命綱もつけずに乗っかり、藁を敷きます。

とんでもない手間と労力がかかることは想像に難くないですよね。
風が強ければ、藁は飛んでいくでしょうし…。
当然、化学繊維が現在は主流です。

なんと、今回、茶業研究所でその「本ず栽培」を見学することができたのです。
ここはとんでもなく、テンションが上がりました。(マニア)

<本ず>の中に入ると、少しだけひんやりしました。
丁度前日に雨が降っていたということもあり、下がぬかるんでいました。

歩くと、ふわふわと柔らかい土を足裏に感じます。

一方こちらは、化学繊維の寒冷紗。

半分ずつになっているため、<本ず>と<寒冷紗>をどちらも体験できました。

入り口で職員の方がご説明してくださっていたのですが、寒冷紗の方が黒いということもあり、熱がこもりやすいそうです。
確かに寒冷紗を下から触ると熱いのですが、よしずは熱をほとんど感じません。
そして、よしず下の土は柔らかかったのに、寒冷紗下の土は少し硬い印象を受けます。
おそらく、藁が落ちて土を柔らかくしているそうです。

さらに、<本ず>はなぜか寒冷紗より紫外線を通さないそうです。

茶業研究所での研究結果により、明らかに紫外線量に違いがあることが明らかになっているとのこと。
そして、官能検査による味の違いでも、<本ず>栽培のお茶の方が美味しいという結果が出ているとか。




結び

「本ず体験」をしながら、

昔の人、すげぇ。

と何度呟いたでしょう。
※感想が貧相

職員の方も仰っていましたが、今後もっと科学が進めば<本ず>を越えるほど紫外線を防ぐ寒冷紗も登場するのだと思います。

現在<本ず栽培>を行っている茶畑は、数えるほどしかなく、希少な存在になっています。
数年前には京都府で「本ずづくりプロジェクト」という活動を行っていたようですが、最近はどうなったのでしょう…。

一番最初に<よしず>と<藁>を使って、「本ず栽培」を考えた人もすごいですし、それで作ったお茶が美味しいと分かった人たちもすごいなぁとただただ昔の人の知恵に脱帽です。

昔の栽培と今の栽培を比べることができる、という貴重な体験をさせていただいて感無量でした。

茶業研究所にはまた是非伺いたいと思います。
他にもお伝えしたいことがたくさんあるのですが、今回はここまでで。

南九州市知覧の茶商が初めてのFSSC22000取得。日本茶はますます海外へ。

明治維新ののち、開港してしばらくは日本の主要な輸出品目が「茶」「生糸」「米」などであったことは学校でも学びました。

当時の茶の輸出先はアメリカ。
次第にインドやセイロンの茶に押され、低迷していきます。
その中には和紅茶もあったのですが、そちらはまた別記事で書きたいと思います。

ここ10年程、日本茶の国内消費は減少しているものの、輸出や輸出国は増加しています。
クオリティは高いとの評価があるものの、価格の面では他国の緑茶(中国やベトナム等)よりは高価であること、また、輸出国の基準(※)に満たしていないこと等で伸び悩んでいることも事実です。
※農薬等の基準

積極的に輸出を進めていっている企業、農家も増えており、国際基準を取得するところも増加中です。

少々前となりますが南九州市の茶商が初めてのFSSC22000を取得したというニュースがありましたのでご紹介していきたいと思います。

関連記事:
▼インド、アッサムティの地理的表示(GI)保護制度
▼東京オリンピック・パラリンピックに向けた茶の取り組み。GAPについて。
▼ユネスコ無形文化遺産に日本茶を!大切な日本の文化を守ろう。
▼「宇治茶の普及とおもてなしの心の醸成に関する条例」、「府『宇治茶』新条例」(仮称)とは?

 

FSSC22000とは?

オランダの食品安全認証財団(FSSC)が開発した食品安全マネジメントシステムの一つで国際的な認証を取っている食品安全規格です。

一般財団法人日本品質保証機構のHPによれば、「ISO22000をベースに、より確実な食品安全管理を実践するためのマネジメントシステム規格」とのこと。

では、ISO22000とはいったい何でしょうか?




まず、「ISO」とは何を指すのでしょうか?
以下一般財団法人日本品質保証機構のHPより抜粋

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ISOの主な活動は国際的に通用する規格を制定することであり、ISOが制定した規格をISO規格といいます。

ISO規格は、国際的な取引をスムーズにするために、何らかの製品やサービスに関して「世界中で同じ品質、同じレベルのものを提供できるようにしましょう」という国際的な基準であり、制定や改訂は日本を含む世界165ヵ国(2014年現在)の参加国の投票によって決まります。身近な例として、非常口のマーク(ISO 7010)やカードのサイズ(ISO/IEC 7810)、ネジ(ISO 68)といったISO規格が挙げられます。これらは製品そのものを対象とする、「モノ規格」です。

一方、製品そのものではなく、組織の品質活動や環境活動を管理するための仕組み(マネジメントシステム)についてもISO規格が制定されています。これらは「マネジメントシステム規格」と呼ばれ、品質マネジメントシステム(ISO 9001)や環境マネジメントシステム(ISO 14001)などの規格が該当します。つまり、「ISOマネジメントシステム規格」とは、“ISOが策定したマネジメントシステムに関する規格”ということになります。

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今よくニュースなどで報道されている、2020年オリンピックに際するピクトグラムの変更の話題はISOと関係があります。

日本で長らく使われてきた案内用図記号(ピクトグラム)を外国人にもわかるように数年にわたって協議がされてきました。
経済産業省のHP参照


JIS規格     ISO規格

例えば上記の温泉のマークを外国人も認識しやすいマークに変える、というような話。

左側の見慣れた温泉のマークだと外国の方の中には「何かを焼いている=食堂?」と想像されるため、湯気の下に親子3人を加えることにより、より温泉であることが分かるようにするということが検討されていました。

この従来の温泉マークはJIS規格と言い、ISO規格を日本で流通しやすくするために作られた日本独自の規格となります。

結果として、日本人は圧倒的にJIS規格が良いという意見で、外国人はISOの方が良いということになり、平行運用となったようです。




…話がそれましたが、ISOは【食品安全マネジメントシステムに関する国際規格】であること。

また、FSSC22000はISO22000の追加補強規格であるということです。

ISO22000+ISO/TS22002-1(ISO/TS22002-4)=FSSC22000
※それぞれの規格については、一般財団法人日本品質保証機構のHPを参照ください。

つまりは≪消費者に安全な食品を提供することを目的とした食品安全マネジメントシステムの確立≫のために、世界で通用する規格を定めている、ということになります。

 

茶商で初めてFSSC22000を取得した「お茶のはまだ」

お茶のはまだHP

鹿児島県南九州市知覧町郡にある茶商です。
南九州市は日本の市町村の中で日本第一位の生産量を誇ります。

最初に書きましたが、2020年のオリンピックに伴い(それ以前から)日本の茶が外国人に注目されてきています。

日本茶輸出促進協議会のHPには日本茶輸出の現状や促進のためのノウハウなどが様々記載されていますので、是非参照ください。

日本の茶商がFSSC22000を取得したというのは今回が初のことですが、これには多くのご苦労があったものと考えられます。

茶商ですので、合組(日本茶のブレンド)を行ってオリジナルブランドの茶を販売されている訳ですが、合組する茶の品質すべてが国際基準をクリアしていなければなりません。

また、包装、工場の清掃、輸送等すべての工程において厳しい国際基準が設けられていますので、それらをクリアするまで何年もかかっているものと思います。

「お茶のはまだ」の茶をまだ飲んだことがないので、近く新茶が出た際に購入してみたいと思います。




結び

世界規格に近づけることによって、輸出を増やすという試みは以前から目や耳にしていますし、個人の農家でもすでに積極的に輸出を行っているところも少なくありません。

中国では何年も前から国をあげて茶業界の整備を行っていると聞きます。

日本の文化である「茶」に関してはなぜか後進国であるように見えるのは筆者だけでしょうか。

オリンピックや今後より多くの外国人が日本に来日した際、世界に通用する<日本茶>を胸を張って提供できるようになりたいと願います。

筆者自身もせめて英語で呈茶ができるようになりたいと思っています。(数年言い続けて結局全然できておりませんが…)