茶はがんの抑制効果がある、という話はあちこちで聞く話。
先日の紅茶がインフルエンザに効くという話と同じで、本当に目に、耳にします。
先日、烏龍茶が乳がんの抑制効果があるという論文が「Anticancer Research」誌に発表されたというニュースを見ましたので、茶とがんについての話をまとめてみたいと思います。
烏龍茶が乳がんの抑制をする?
「Anticancer Research」誌で発表された新しい論文には烏龍茶が乳がん細胞の増殖を防ぎ、進行を妨げる効果があると記されているそうです。
ミズーリ州セントルイス大学の研究者チームが緑茶、烏龍茶、紅茶および濃茶の抽出物(dark tea extracts、黒茶?)の濃度を変えて、6種類の乳がん細胞株に対する生物学的効果を調査したそうです。
結果として、烏龍茶は乳がん細胞の増殖、および腫瘍形成において抑制的役割を果たしていることが判明したとのこと。
乳がんに対する化学的な抑制剤として大きな可能性があると結論付けています。
ただ、上記はあくまでもシャーレの中での話であって、人間(動物)で実験を行っている訳でも、臨床実験が行われている訳でもありません。
「乳がんに対する化学的な抑制剤として大きな可能性がある」ということです。
※詳細は医療従事者でも、研究者でもないただのお茶好きな筆者には難しいため、概要のみの説明となります。
ご興味ある方は「 Anticancer Research」誌の論文をお読みください。
緑茶にはがん予防効果があるという話は?
緑茶にはがん予防効果がある、という話も今のところは上記の「烏龍茶が乳がん抑止に効果がある可能性がある」と同様のレベルに近いのではないかと思います。
確かに、お茶屋さんの宣伝文句としても多く見られますし、テレビやラジオのメディアでも時折耳に、目にします。
「緑茶はがんの予防に効果がある」
なら良いのですが、
「緑茶はがんに効く」
と断言してしまっている方も(少数ですが)いらっしゃいますので問題ですよね。。
そもそも、病気の治療、予防を目的とするものは「医薬品」となります。
上記のような表示や宣伝文句は「医薬品」として国の承認を受けたものにしか許されません。
薬事法によって、そう定められています。
茶は薬ではありませんので、がんの治療や予防については言及してはいけません。
※こちらは以前に特定保健用食品についてまとめた記事も参考にどうぞ。
ダメ、誇大広告!
公的にはどうなっているの?
国立がん研究センターでは「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」を行っているそうです。
緑茶と胃がんリスクという内容がHPにまとめられています。
様々な研究論文をまとめた結果、
「疫学研究と生物学的メカニズムの両面から、日本人女性においては、緑茶の摂取が胃がんリスクを低下させる可能性があるという結論になりました。しかし、男性に関しては緑茶と胃がんリスクの関連を示す十分な疫学的エビデンスは得られていません。」
と結論づけています。
つまり、やはり残念ながらカテキンや紅茶(烏龍茶)ポリフェノールのがん抑止効果についてははっきりとした科学的証拠がないというのが実情のようです。
結び
筆者の友人が若くして乳がんにかかった際に「お茶ががんに効くと聞いてから、お茶ばかり飲んでいる」と言っていたことを思い出します。
その時ばかりは
「間違いない。絶対に効くよ」
と断言した記憶があります。
そして、効くことをただひたすらに願いましたが残念なことに彼女は再発した乳がんにより、旅立ちました。
筆者にはがんになった方の気持ちは汲み取ることができません。
しかしながら、「がんに効く(可能性がある)」と言われた方が藁にも縋る思いで茶を購入する気持ちはある程度想像ができます。
筆者自身も大病をした経験があるのですが、その時に健康食品の押し売りに心動いたことがあったからです。
あとから、「あー、こうやって詐欺は生まれるのだなぁ」と思ったり。
そういった経験から「せめて茶についてはできうる限り正しい情報を、正しく伝えたい」と強く思うようになりました。
勉強不足で分からないことも多々ありますし、勘違いをしている部分も多々ありますが、茶を愛する者としてせめて気持ちだけでも「正しく伝える」を意識していきたいと思っています。
「茶ががん予防に効く」と大きな声で言えるようになることを願いつつも、美味しいから飲んでほしいというお茶好きとして複雑な心境ではありますが。笑
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