お茶を鑑定する道具、というものがあります。
紅茶の場合は「テイスティングカップ」、日本茶や中国茶台湾茶の「評鑑組」、日本茶の「拝見茶碗」。
筆者はお茶カフェをやっていたため、お茶を仕入れした際には必ずすべてのお茶の鑑定(テイスティング)を行っていました。
今もお茶を購入した際には急須やポットと同じくらい普通に使用しています。
お茶の鑑定(テイスティング)について少しまとめてみたいと思います。
茶の鑑定(テイスティング)が必要な訳
どの茶種でも、方法や道具は若干異なっているとは言え必ず鑑定(テイスティング)を行います。
紅茶にはまり始めた頃、紅茶屋の店主が使っているのを見て、ただ単純に「カッコイイから欲しい」と思っていたのは内緒。。
例えば紅茶の場合、鑑定(テイスティング)はあちこちで行われています。
・工場で作った紅茶をテイスティング。
・オークション会場でのテイスティング。
・オークションにかける前の茶葉のテイスティング。
・紅茶メーカーでのテイスティング。
・ブレンダーによるテイスティング。
・小売店でのテイスティング。
様々な場所で鑑定(テイスティング)が行われます。
当然行っている人達の目的はそれぞれ違いますが、その茶の味、香り、品質等を確認するということが第一です。
◎その茶にカフェインがどれくらい入っているのか。
◎その茶のポリフェノール量はどれくらいか。
というような数値で表せるものは機械で測定することが可能です。
しかしながら、味わい、香りなどを見定めるのに人間の舌にかなうものはないそうです。
これだけ科学が進んだ世の中でも、味や香りを数値化することは難しい、逆に人間の嗅覚や味覚はそれだけ優れているとも言えます。
茶の味、香りに関してはまた別の記事でまとめたいと思っています。
嗅覚や嗅覚の本なども読むと非常に面白いです。
▼参考記事:45種類の茶の香り成分が嗅ぎ比べられる?!-TEA SENSORY KITS-
実際の鑑定(テイスティング)について
紅茶のテイスティングカップはこちらです。
「注ぎ口がついている蓋つきのカップ」と「茶液を出すための碗」のセットです。
鑑定の基準としては「3gの茶葉に対して150㏄のお湯を注ぎ、3分抽出」となります。
蓋つきカップには丁度150㏄注げるようになっています。
(150㏄はおよそティーカップ1杯分)
ちなみに、中国台湾茶の場合は、こちら。
似たような形ですが、若干異なります。
注ぎ口が一つ穴になっています。
おそらく、紅茶の場合は細かい茶葉(BOP等)が多いため注ぎ口のギザギザが多いのだと思われます。
中国茶台湾茶の場合は広げると一芯三葉、四葉のものが多いですので、注ぎ口のギザギザは必要ないのかも知れません。
とはいえ、紅茶用のテイスティングカップを烏龍茶でも使用しているところも見たことがあるので、それほど厳しい決まりはないのかも?
詳しいことは分からないのでその辺りは専門家の方にお尋ねください。
ただ、台湾の農家に行くと、この鑑定杯を使っているのを見たことがほとんどありません。(;^_^A
大体お椀に茶葉を適当に入れて、そこにざぶざぶとお湯を注ぐだけ。
茶をすくうのはレンゲで、茶杯に移して飲みます。
これはむしろ日本茶の鑑定に近い気が…。
日本茶の場合は?
日本茶の場合、まず拝見と言って、黒い「拝見盆」というトレイに茶葉を乗せて形状を見ます。
手で触ったり、香りを嗅いだりもします。
その後「拝見茶碗」に茶葉を3-4g入れて、そこに熱湯200㏄を注ぎます。
「拝見茶碗」は満水で200㏄入るようになっているので、溢れないくらいのギリギリまで注ぎます。
3分ほど待ってから、開いた茶殻の様子を見たり茶液の色を確認。
その後「網匙」を入れて茶殻を掬い上げ、香りや形状を改めて見ます。
そのままスプーンを入れて味を確認する場合もありますし(茶市場などではそのようにしていました)、茶殻をすべて掬い上げてから茶液を飲む場合もあるようです。
その工程は静岡茶市場のHPに詳しく記載されていますのでご覧ください。
結び
茶の鑑定が必要か必要でないか、と言えばその方の状況によるかと思います。
茶のプロを目指す方でしたら道具を揃えた方が良いと思いますが、「楽しく飲めれば良い」という方は道具を揃えてまで鑑定をする必要もないかも知れません。
ただ、鑑定(テイスティング)で大事なのは、「それぞれの茶の個性を知る」ということにあります。(また、製造不良を知る)
茶は茶種や作り手、時期によっても変化するものですから、いつも同じ条件でお茶を淹れることで個々の比較が出来るようになります。
例えば紅茶でしたら、毎回必ず「ティースプーン2杯に対して300㏄の熱湯で3分抽出する」というような基準を設けておくとよいでしょう。
新しい紅茶を買ってきても、まず最初は上記と同様の淹れ方で淹れてみます。
「前の紅茶は香りが良くて、渋みも少なかったけど、今回の紅茶はとても渋くて飲みにくいなぁ」というような感想を持つはずです。
出来ればその際にテイスティングノートをつけることをお勧めします。
「テイスティングノート」と検索しますと、色々な画像が出てきますのでご自身の使いやすいものをExcelなどで作ると良いと思います。
筆者も当然作っていますが、以前ノートに記していたので検索できずに困りました。そのためExcel等をお勧めします。
最近はOnenoteがお気に入りです。写真なども貼り付けられるので。
二回目以降は茶匙の調整をする、もしくは販売店おススメの淹れ方をしてみる、というようにすると茶の個性も分かりますし、ご自身の好みも分かってきます。
特にお茶の初心者の方には是非この方法で淹れていっていただきたいと思います。
これは筆者が経験に基づいて必ず最初のお茶の教室でお話する内容です。
まずは、どんなお茶に出会っても同じ淹れ方を試みてください。
そして茶葉の個性を知って、ご自身の口に合うように調整しましょう。
とはいえ、紅茶と烏龍茶、煎茶を全部同じ淹れ方で淹れる訳ではなく、それぞれの茶種の基本の淹れ方に従っていただくのが良いです。
烏龍茶は形状によって抽出時間も異なるので、そういうところは本を一冊購入してみると良いかもしれません。
茶は飲まないと経験値が上がりません。
ワインもそうだと思いますし、料理もそうです。
▼参照記事;三井農林の「お茶科学研究所」の研究がすごい!茶の鑑定に必須のキャラクターホイール
絶対に毎回同じものしか飲まない、という方はそれでよいと思います。
ですが、大概お茶を飲みだすと他のお茶も飲みたくなるものです。
そしてお茶好きな人間としては、是非他のお茶も飲んでほしいものなのです。
筆者は紅茶から中国茶台湾茶へ移行し、その後日本茶に行きました。
今は何でも嗜みます。
飲めば飲むだけ世界が広がり、茶の面白さに目覚めるはずです。
是非、基本を押さえつつ、楽しくお茶の世界を広げていっていただければ嬉しいです。
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