紅茶のミルク後入れ派が8割?!2003年王立科学協会の発表から15年

茶のニュース

紅茶をカップに入れる際、ミルクをカップに先に入れますか(MIF)?
それとも紅茶を注いだ後にミルクを入れますか(MIA)?

MIF(MILK IN FIRST) VS MIA(MILK IN AFTER)の論争は英国では遥か昔からなされていました。

2003年に王立科学協会という英国の組織で、《ミルク先入れ》が正しい!と科学的な研究結果を元にMIFの勝利を結論付けていたのに…。

実際に紅茶を日常的に飲む人に現在リサーチしたら《ミルク後入れ派》が断然多かった、というお話です。

筆者、これに関してはかなり思い入れが強いです。長くなります。

ミルク先入れ、後入れとは?

英国のリサーチ会社YouGov Omnibus(ユーガブオムニバス)は、2018年の7月24日、25日で調査した結果、《紅茶にミルク後入れ派》が79%であることを明らかにしました。

MIA(ミルク後入れ派)の有名な擁護者として、英国の有名作家ジョージ・オーウェル(1903年~1950年)がいます。

彼は自身のエッセイ「一杯のおいしい紅茶」(1946年)の中で、「紅茶の正しい淹れ方」を11項目にも分けて説明をしています。

その中で、「紅茶をカップに入れた後でミルクを注げば、好みの分量や味を調整できる」として、《ミルク後入れ》を主張しています。

しかし、ジョージオーウェルのエッセイの100年ほど前に、主婦の雑誌「ファミリー・エコノミスト」という家庭向け雑誌に《ミルク先入れ》が正しいと紹介されていました。

英国人で紅茶を飲む方はこの二派に分かれていました。
面白おかしく、皮肉ったりしながら150年以上に及ぶ論争を繰り広げてきたのです。

《ミルク先入れ》派の主張
■紅茶を先に入れるとカップが割れる可能性がある
■カップに茶渋がつかない
■ミルクを先に入れることにより紅茶とミルクがよく混ざる

《ミルク後入れ》派の主張
■紅茶を先にカップに入れて、後からミルクを入れることで好みの味に調整ができる
■ストレートティとミルクティと両方楽しむことができる
■(ミルクを先にカップを入れるのは、安いティーカップが割れないようにするためだ等々)



2003年王立科学協会の発表

その論争に終止符を打つかのように、英国の王立科学協会がミルクティの美味しい淹れ方を《科学的な根拠》に基づいて明らかにしたのです。

王立科学協会はロイヤルの称号を与えられた権威ある団体です。
イギリス人だけではなく、外国人も含み5万人ほどの科学者や研究者で構成されています。

2003年6月24日に突然「How to make a Perfect Cup of Tea」というニュースリリースが世界中に配信されました。
丁度ジョージオーウェル生誕100年に当たる年でした。

このニュースリリースの中で、「紅茶の淹れ方」を細かく記載しています。

その中に、「紅茶をカップに先に入れてからミルクを注ぐと、タンパク質が変質して美味しくないミルクティができてしまうため、ミルクをカップに先に注ぐことが正しい」と化学的な根拠に基づいた結果が書かれているのです。

権威ある団体が、《ミルク先入れ》が正しいということを世界中に配信したのです。

とはいえ、ここには色々な話が絡み合っているので、また別記事にしたいと思います。
日本と英国のミルクの違いや文化の違い等、結構話は長いです。←すでに長い

15年後のYouGov Omnibus(ユーガブオムニバス)のリサーチ結果は?

2003年の王立科学協会の発表から15年。

今の英国人は《ミルク先入れ》派?《ミルク後入れ》派?というリサーチをしたところ、全体の79%が《ミルク後入れ》派だったそうです。

18歳~24歳の《ミルク先入れ》派は全体の4%。
25歳~49歳では15%。
50歳~64歳では24%。
そして65歳以上では32%に上昇するため、年齢によっても異なっていることが分かります。

しかし、トータルすると《ミルク後入れ》派が全体の8割近く。
社会的な階層(労働者階級等)の間にも差はなく、全体的に《ミルク後入れ》派の勝利。

また、このリサーチで「どれくらいの濃さのミルクティが好きか?」「どのメーカーの紅茶が好きか?」を聞いています。

ミルクティの色の濃さについては、8段階に分かれ、8→1へと色が薄くなっていきます。
47%の方が選んだのは4のクリームブラウンでした。

メーカーは
1位→Yorkshire Tea 25%
2位→PG tips 22%
3位→Tetly 16%
4位にTwinings、5位にTyphooと続きます。

どれも英国で有名なメーカーですね。
世界的にも名前を知られています。
1位 Yorkshire Tea


こちらの紅茶はいつ誰に出しても美味しいと言われるので安心して購入できます。

水での大きなブレも少ないように思います。
淹れる時に味の変化を気にしなくてよいというのは日常気軽に飲むには最適な紅茶だと言えます。
2位 PG tips


こちらのPGチップスはイギリスに留学していた友人や旅行大好きな知人も以前から必ず「ミルクティならこれ!」とお勧めしてくる紅茶です。

価格も量の割には高くなく、毎日遠慮なく使えるデイリーティです。
3位 Tetly


こちらも安定の紅茶です。

結び

YouGov Omnibus(ユーガブオムニバス)の今回の記事を読みましたが、気になるのはリサーチ総数が書いていないことです。

果たして何人のうちの8割なのでしょうか。気になる…。

日本人が通常ミルクティにして飲む時のミルクとイギリスの通常のミルクは製法の違いがあり、そもそも2003年の王立科学協会の発表の時点で《ミルク先入れ》でも《ミルク後入れ》でも良かったのですが、その辺りはまた記事にします。

2003年の王立科学協会の発表をリアルタイムで見てきた筆者としてはこの記事を扱わないわけにはいかないため、かなりの長文となりました。

非常に面白い分野ですので、ご興味ある方はぜひ本文を読んでみてください。

YouGov Omnibus(ユーガブオムニバス)

【追記】
2021年に民間企業が行った調査結果があります。
▼参照記事;2000人を対象に英国人の紅茶の飲み方調査!ティーバッグはお湯の前、後?ミルクは何を使用?

こちらでは2000人の英国人対象に調査を行っており、全体の75%の人はミルクティの際牛乳を、残り25%の方は牛乳以外の植物性ミルクを使用しているとあります。
こちらの記事もなかなか面白いですので是非ご覧ください。

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