ご当地紅茶学会主催オンラインセミナー「和紅茶の会ー水無月 みなづきー」に参加して

和紅茶の本 レビュー


どうしてこんなに月日の経つのが早いのか。
気づいたら2021年も半分過ぎているじゃないですか。。

2020年から引き続き、2021年も合間を見てはオンラインセミナーに参加させていだいています。

すべてをこちらのブログで紹介はできませんが、主催者の方に許可をいただき書いても良いということでしたら勝手にご紹介させていただきたいと思っています。

今回は以前から興味があった「杵築紅茶」の飲み比べが体験できるということで喜び勇んで参加させていただいた内容を簡単にご紹介したいと思います。

今回の講師は「和紅茶専門店 紅葉〜くれは〜」の岡本氏。

和紅茶に興味のある方はご存じの方が多いかと思いますが、佐賀県にある「和紅茶専門店 紅葉〜くれは〜」の岡本啓さんです。

筆者の和紅茶のバイブルの著書でもあります。


見てみると2013年の第一版ですので、かなり前になりますね。

和紅茶専門店 紅葉〜くれは〜」さんでは厳選した和紅茶を生産者から直接仕入れて販売始めた先駆者と言っても過言ではないのではないでしょうか。

筆者自身も何度か和紅茶を購入させていただいています。

筆者自身がお茶カフェを始めた頃からずっと佐賀県の「和紅茶専門店 紅葉〜くれは〜」に遊びに行きたい!と言い続けたものの行く機会に恵まれず。。

現在の土地に越してきて茶畑をやるようになってからもなかなかタイミング合わず、岡本氏ご自身にお会いすることすら叶わずにいました。

オンラインとは言えど、今回岡本氏のお話が聞けて感無量でした。

岡本氏は現在ペアリングの本を書くために店をお休みして原稿に向かっているそうです。

今回の飲み比べは「杵築紅茶」

テイスティング杵築
本来はファーストフラッシュの飲み比べにしようかと考えていたそうですが、杵築紅茶が非常にクオリティが高かったので3品種飲み比べさせていただくことができました。

1,べにひかり
2,そうふう
3,みなみさやか

筆者は2.5gずつテイスティングカップ(150㏄)で「べにひかり」「そうふう」は3分、「みなみさやか」は2分で抽出しました。

以下筆者の主観です。

1,べにひかり
どこか埃っぽさ、少し重み、後口に仄かなメントール
→来年のお正月くらいまで寝かせた方が良い、何気なく飲むにはちょうど良い紅茶

2,そうふう
葡萄の香り強い、心地よい渋み
→アントラニル酸メチルが多く含まれるので葡萄の香り、ジャスミンの香りが高い

3,みなみさやか
梔子様の香り、フラワリー、優しい甘味、(淹れ方優しかったが)収斂味
→幼木で製茶すると香りが立ちやすい。萎凋や乾燥で失敗しやすい。火入れに弱い品種

「杵築紅茶」の名前は以前から聞いているのですが、実は初めてだったのですが一言で言えば「紅茶らしい紅茶」でした。

和紅茶で出がちのえぐみではなく、海外の紅茶と同じ「渋み」があり、品種の香りもそれぞれきちんと出ていて、のど越しもクリア。

「紅茶らしい紅茶」という表現が正しいかどうかは不明ですが、飲みやすくまろやかな和紅茶が多い中、しっかりとパンチのある海外産の紅茶にも負けない紅茶という印象です。

淹れ方を工夫するとスリランカやインドの紅茶と言っても分からないのではないかと思います。(和紅茶慣れしている人にはわかると思いますが…)

今現在の杵築紅茶の主力は「べにふうき」、「べにたちわせ」だそうです。

「べにたちわせ」は今はほとんど聞かない名前ですが、昭和40年代くらいまでは「はつもみじ」「べにほまれ」「べにたちわせ」が昭和の時代は有望品種として多く育てられていたとのこと。
「べにたちわせ」は筆者もいまだに飲んだことがありません。

ちなみに「べにほまれ」の血?を引くのが現在和紅茶会の主力である「べにふうき」です。

杵築紅茶は全体的に渋みが強いのですが、柑橘系のフルーツと相性が良く、フルーツのお菓子とも合うそうです。

また、通常は軟水で淹れた方が香りが立ちやすいのですが、杵築紅茶の場合は少し硬水の方が香りが立ちやすいと岡本氏は仰っていました。
▼参照記事:水と茶との関係。ウォーターサーバーの水はお茶も美味しく淹れられる?

杵築紅茶の歴史


参加者全員がテイスティングをした後に、岡本氏からまず「杵築紅茶」の歴史をお話いただきました。

現在の生産者である阿南康児氏の義祖父は戦後杵築の町長にヘッドハンティングされて、杵築にやってきました。

杵築の町おこしの一環として、当時紅茶の輸出ブームがやってきた時代に杵築紅茶を始めることになります。

昭和時代には紅茶の品評会は17回ほどで、15回程度は三重県の川戸紅茶、残り2回ほどは杵築紅茶だったそうです。
農林水産大臣賞を取ったのは実質2人しかいないそうです。

また、昭和の時代に独自のブランドで勝負していたのもこの「川戸紅茶」と「杵築紅茶」のみ。あとの紅茶は「日東紅茶」や「日の丸紅茶」等の財閥系紅茶。

しかしながら、農林水産大臣賞を取っていざ輸出を始めようという時期の1971年に海外紅茶の輸入自由化が起こり、義父の会社は倒産。
驚くことに種苗研究所まで立ち上げていたとか。

一時期は衰退してしまったものの、義祖父の借金で差し押さえになっていた土地を阿南康児氏は買い戻し、お茶作りを始めます。

阿南康児氏が煎茶作りで大分県で一位を取って、当時「紅茶作りだけはやめておけ」という周囲の声を押し切って紅茶作りを続け、今確固たる「杵築紅茶」の歴史を踏み固めていらっしゃるそうです。

「杵築紅茶」は20年くらいから有名紅茶屋などでも取り上げられて、空港等でも取り扱われているようです。
以下のようにネットでも販売されていました。


筆者としては、「和紅茶専門店 紅葉〜くれは〜」の岡本氏のセレクトを信用しているのでそちらで購入したいと思います。

結び

海外紅茶の輸入自由化は1971年。
▼参照記事:日本でも紅茶が作られている?-和紅茶(国産紅茶)の歴史やイベントなどについて-

長い歴史から考えればつい最近と言ってもおかしくはありません。

明治の時代に拓かれた和紅茶の歴史が一度終焉を迎え、その後再興していくお話をあちらこちらで耳にするにつれ、今まだ和紅茶の歴史は道半ばなのだと感じます。

和紅茶を再興してきた先人たちも次第に年を召し、次世代に代わってきているところもパラパラと見受けられるようになりました。

これからまた和紅茶は大きく伸びていくのか、もしくは淘汰されて、衰退していくのか。

筆者自身も紅茶を作っていますので、将来の和紅茶について色々と考えます。
そして、まだまだ過去も学んでいきたいとも思っています。

和紅茶再興をされてきたレジェンドのような生産者がご健在のうちにお話しを聞き、その方の紅茶を飲み、自分なりに学んでいきたいところです。
▼参照記事:【追記あり】丸子紅茶の村松二六さんに日本の烏龍茶製造を体験させてもらった!

最後になりましたが、今回この会を企画してくださった「ご当地紅茶学会」が今回送ってくださった「Tea Note」が初心者の方におススメだと感じました。

とても見やすく、自分なりにカスタマイズできるのも良いですね。

Teanote表

Teanote中

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