茶の情報をネットで確認できる時代に?インド紅茶局のトレーサビリティ(茶情報追跡)に関する試み

茶のニュース

  1. Home
  2. /
  3. 茶のニュース
  4. /
  5. 茶の情報をネットで確認できる時代に?インド紅茶局のトレーサビリティ(茶情報追跡)に関する試み

お茶を手に取った時、そのお茶の情報は何が分かるでしょうか。

パッケージの表紙に書かれている茶名。
裏に書かれている賞味期限、原産地、販売者など。

販売者や生産者によっては、淹れ方、「そのお茶の作られた日」や「産地の土の状況」等のマニアックな情報を書いてくださっている方もいますが、それくらいが限度ではないかと思います。

それが例えば牛肉のように、バーコードやQRコードを読み込めばその牛が「いつ、どこで生まれて育てられ、いつ食肉にされたのか、品種は何か」等の詳細情報が分かるようになったら、とても安心ですよね。
▼関連記事:インド、アッサムティの地理的表示(GI)保護制度

数か月前にスターバックスが豆の追跡ができるように、「アジュール・ブロックチェーン・サービス」を導入していくというニュースがありました。こちら
筆者チラ見だけして覚えてませんでしたが…

生産物の追跡、これからの茶生産にも大きく関わってくるかも知れません。



スターバックスのアジュール・ブロックチェーン・サービスとは?

アジュールはMicrisoft Azureというマイクロソフト社クラウドサービスの集合体だそうです。

アジュールの<ブロックチェーン・サービス>というのはスターバックス、ブロックチェーン・サービスの導入のニュースが流れた(2019/05)一週間前に発表されたばかりのもの。

※<ブロックチェーン>というのは、「金融取引などをインターネット上の複数のパソコンで分散して保管する方法(ブロックを繋げるイメージ)」で、もともとは仮想通貨ビットコインの取引を行うために開発されたものだそうです。

2018年には「Bean to Cup」というプログラムで、ブロックチェーンを利用して農園と消費者をつないでいく試作を行うと発表していました。

アジュールのブロックチェーン・サービスを取り入れることにより、「いつ、だれが、どこで作ったもの」で、「どこの製造工場からいつ流通し、どこの小売店で販売された」か等の情報がブロックチェーン上に都度保管されるため、消費者がネット等で確認の上購入することが出来るようになります。

他にもメリットは様々あるようですし、スターバックスはこの研究結果をオープンソース化して、多くの企業が利用できるようにするそうです。
太っ腹…!

茶もブロックチェーンを利用?

先日インド紅茶局がブロックチェーンを利用した茶のトレーサビリティを国家レベルで行っていくことを発表したとのこと。
▼元記事:Amazon, Infosys respond to Indian tea board’s blockchain call

インド珈琲委員会ではすでにブロックチェーンを利用した珈琲市場を立ち上げ、約3万人の契約農家がいるそうです。

インドは国全体でブロックチェーンを取り入れて産業を盛り上げていこうとしていると記事にあります。

また、こちらも少し前ですが中国でも雲南省の普洱茶でブロックチェーンを利用して原材料調達、加工、倉庫、流通、店舗での販売からエンドユーザーまでを記録するプラットフォーム(基盤)を発表しました。

茶のデータは、すべての段階でIoTデバイスでVeChainThorブロックチェーンにアップロードされます。
スマートフォンを使ってQRコードやNFCチップをスキャンすることで、実績と生産データを見ることができるようにするそうです。
▼元記事:VeChain launches blockchain platform for tea traceability in China

システム的なところなどは筆者もよく理解できていませんが、
つまりは、ブロックチェーンというシステムを利用して茶の生産と流通を管理し、エンドユーザーにも見えるようにしていくという取り組みが世界中で行われ始めているということです。



ブロックチェーンを利用するメリットは?

珈琲生産国も茶生産国もこぞってブロックチェーン・システムを利用しようと試みているということは大きなメリットがあると判断されているものと考えられます。

何度も書いていますが、

原材料調達、加工、倉庫、流通、店舗での販売からエンドユーザーまでを明らかにできるということ。

これに尽きます。

正直、お茶を購入する際には産地名が分からないもの等がたくさんありました。。

そして、整備が進んでいっているにしても未だにまがい物の茶は世界で流通しているものと思われます。
以前の記事でも書きましたが、例えば地理的表示保護制度(GI)
のような取り組みがあるにも関わらずです。
▼関連記事南九州市知覧の茶商が初めてのFSSC22000取得。日本茶はますます海外へ。

先ほど例に挙げたインドは世界第2位の輸出国です。
しかし、伝統的なルーズリーフ茶の価格低下が続いており、このままだと摘採する労働者はいなくなり、伝統的な茶の製法はなくなってしまうのではないかとインド紅茶局は懸念しているとのこと。

また、中国の雲南省の普洱茶も価格の高騰により、粗悪品や模造品が横行していたことがあると耳にしたことがあります。

ブロックチェーン・システムの導入により、今まで以上に「正しく作られたもの」が「正しく評価される(価格面でも品質面でも)」ようになることを期待します。

言うまでもなく、購入するエンドユーザーにとっても安心ですよね。

スターバックスが挙げているメリットとしては他にも、
・ドライブスルーでの注文予測
・コーヒーマシンへの新メニュー一斉記憶
・小規模農家との直接的やり取りによる価格の安定
・産地偽造の防止

等、様々あるようです。

いずれ仮想通貨での取引も視野に入れているのでは?とも言われています。
(スターバックス側は否定しているようですが…)

茶に関して言えば、考えられるのはやはりトレーサビリティの面でしょうかね。

日本ですでにブロックチェーン・システムを取り入れているところがある?!


SHIZUOさんによる写真ACからの写真

そう考えると、日本の茶業はどうなっているのかなぁと思いますよね。(強要)

こちらもかなり前にニュースで見たのですが、静岡の「富士山まる茂茶園」がブロックチェーン・システムを導入した緑茶を販売したという内容。
こちらもちらっとニュースを見て終わっていました…
そして、まる茂さん、とてもお茶に熱く、様々なお茶をお作りになられていますので是非ネットショップで!

こちらの記事に詳しいです。
▼参照記事:VeChain ブロックチェーンとICチップで日本茶の生産地を証明

どういったものか、YouTubeで紹介していて分かりやすいです。

日本国内の場合、産地を偽装するもの等は今はほぼないのではないかと思います。
知らないだけかも知れませんが…。

ただ、今問題になっている偽「宇治茶」が中国で横行しているという話から考えますと、「日本国内で正しく作っているお茶」が「海外でも正しく販売される」ようになるのではないかという希望が持てます。
▼参照記事:【2019/11/18追記あり】中国で「宇治」が商標登録?!今後宇治茶と名乗れなくなる?!



結び

今後急速に、世界的にブロックチェーン・システムを導入する輸出国、輸入国は増えていくだろうと思われます。

どうなんでしょうね。

例えば、日本の慣行栽培の茶の場合、いつ、どの農薬をかけたか、等も明記されるようになるのでしょうか。

また、いつ摘採されたのか等も分かったら、面白いですね。
生産者としてはちょっと恐ろしいことでしょうが…

「正しく作られたもの」が「正しく評価」され、「正しくエンドユーザー」に届く、これは農作物(生産物)にとっては非常に大切なこと。

筆者が死ぬ頃には当たり前のシステムになっていそうだなぁと思います。

ブロックチェーンの仕組み等についてはあいにく理解しきれていないため、今後もニュースを追って調べていきたいと思っています。

そしてこれはただの呟きですが、こういうシステムを取り入れない(取り入れられない)小さな農園や茶園はつぶれていってしまうかも知れません。
筆者自身が弱小新規就農に片足を突っ込んでいるため、少々胸がざわつかなくもない…

小さなところは生き残れなくなり、大きなところに吸収される。もしくは廃業。

何か策を講じていかねばなりませんね…。(悩)

コメント

タイトルとURLをコピーしました